2012.04.24
今日は蒸留所巡りの旅も一休み。オークニーにある世界遺産を観光に出かけます。
(この日の朝ご飯はスモークしたタラにポーチドエッグが乗っかったやつ。なにかしらシーフードが食べたくて、数あるメニューの中から一目で魚と分かるやつを選びました。美味しかったー)
(シリアルやヨーグルトと同じ並びにあった謎の植物。酸っぱいような味がした。これなんですかね?)
朝ご飯もしっかりいただき、チェックアウトも済ませいざ出発。という段になって、急に大粒の雨が降ってくる。しばらく出発を見合わせようかとも思ったが、チェックアウト後に長居するのも悪い気がして、そのまま折り畳み傘を差して宿を出る。
しばらくそのままで歩いていたのだが、雨はもとより風がとても強く、しかもひっきりなしに吹いている。
この風は、オークニーの特徴的な気候らしく、なんでも「もし風がやんだら、みんな倒れちまうさ」っていうオークニージョークまであるらしい。まさしくそんな具合で、風に向かって体を斜めにしながら歩き、最早、半ばちぎられそうになっている折り畳み傘をたたんで、レインウェアだけで歩く。
強風に雨。おまけに移動日のため、でっかい荷物を背負っての移動は中々苛烈で、周りの景色を楽しむ余裕などなく、ただひたすらに車に気をつけながら歩くこと1時間ほど。
ようやく雨脚が弱まってきて、一息つくことが出来た。彼方の空から日の光が差し込む様子はとてもきれいで、思わず見とれてしまった。
さらにそこから歩くこと30分強。ようやく本日の第一目的地、「スタンディング・ストーン・オブ・ステネス」が見えてまいりました。
(地面からにょきにょきっと)
(そそりたつ石柱群)
このスタンディングストーンは、古代の儀式に使われたとされているけれど、詳しいことは分かっていないんだそう。
(背丈をゆうに超えるほど大きな石柱。一見、頼りなく見えたので、戯れに思いっきり押してみたけど、びくともしない)
(中心にある祭壇を囲むように12本の石柱が立っている。祭壇では生け贄が捧げられたとか言われているらしい)
(近づいてみると、なにやら文字のようなものが刻まれていて、すわ古代文字か!と、俄にテンションが上がるも、どう見てもアルファベット。どこの国の世界遺産も似たような憂き目に遭っているのだな、と妙な親近感が)
地球の歩き方先生には載っていなかったが、このスタンディングストーンの脇を奥に進んでいくと、かつての住居跡といった遺跡がある、という案内板が出ていたので、そっちにも足を向けてみる。
(結構立派な遺跡。普通におじちゃんが犬の散歩なんかさせていて「ホリデーかい?」みたいに話しかけられたりした)
(「おじゃましまーす」と言いながら遺跡に侵入)
(いくつかの住宅跡が集まっていて、かつては集落であったことを思わせる)
しっかり堪能した後は、もう一つの世界遺産「リング・オブ・ブロッガー」を目指して、再び歩き始めます。
(雨はやんでも風はやまず、水面が荒々しく波立っていた)
(遺跡は巨大な湖に沿ってあった)
(荒く厳しい北の海という感じ。湖だけど)
(白鳥は寒くないのだろうか)
と、そんなこんなで30分かもっと歩いただろうか、ようやく次なる目的地が見えてくる。余談だけど、この道中でハイランドパーク・カーとすれ違って、かっけー!とテンション上がった。写真は撮り逃した。
(見えてきた「リング・オブ・ブロッガー」。雲の存在感がハンパない)
こちらの遺跡は、先ほどのよりも規模がだいぶ大きく、一周するのに20分くらいかかった。
(周りは壕になっていて、その内側を円形に27本の石柱が立っている)
(紫色のヘザーが生い茂っている)
(どっしりとした石柱。紀元前2500年頃に建てられたと推測されているらしいが、やはり使途は不明なんだそうだ)
写真でも分かるかもしれないが、先ほどまで降ったりやんだりしていた雨によって足場は最悪。ぬかるみまくりで、しっかり足下に注意しないと転んでしまいそう。などと言いながら見学していると、少し先におばあちゃんが倒れている。
最初は、腰でもおろして休んでいるのかな?と思ったのだが、このぬかるみでそんなわきゃあるまい、と近づいていき「アーユーオーケー?」。
どうやら滑ってころんで、どこかを打ったらしく、一人では立てそうもない。おろおろしながらも、とりあえず手をかして立たせ、泥を払って、足場の比較的安定している場所まで手を引いてあげる。
もっと出来たことがあったかもしれないが、とりあえず「サンキューベリーマッチ」って言ってくれたので、少しは役に立ったのだろう。この旅でも、今まで散々自分は言ってきた台詞だが、こっちが言われることは無いだろうなぁ、とか思っていたので、少しく嬉しかった。
(全景を一枚に収めるのはちょっと難しいくらいの規模の遺跡だった)
存分に世界遺産観光を堪能した後は、一旦ストロムネスまで帰ることに。この日はカークウォールまで行くつもりなのだが、ストロムネスの町をまだ見ていないので、そっちに戻ることにしたのだ。
時間にも余裕はあるし、のんびり行こう、と再び小雨が降ってきた中をてくてく。
すると、しばらく歩いた後に、後ろから近づいてきた車がゆっくりと私の横に止まり、さっとドアを開けては、車内から「ストロムネスまでだろ?乗れよ」と声をかけてくれる。
でっかいザックを持って、あまつさえしっとり濡れ鼠状態の私を、である。日本じゃ考えられないわ、などと思いながら乗り込む。
このおっちゃんがすごいいい人で、車内では「ストロムネスは初めてかい?」「時間があるならギャラリーがあるから行ってみるといい。僕の奥さんが働いているから」など、色々話しかけてくれて、あっという間にストロムネスまで到着。
どうせだからと、そのままギャラリーまで案内してもらって、奥さんにも挨拶をして一緒にギャラリー見学。思っていた以上にいっかりしたアートギャラリーで、時間つぶしというにはもったいないくらいに楽しめた。
アートを堪能してギャラリーを後にすると、バスの時間までパブへ。お腹も空いていたので「フードメニューはある?」と訊ねるも、答えは「ノー」。すると、そんなやり取りを聞いていたカウンターのおっちゃんが「フードならあのカフェで食えるぞ」と、窓の外を指差して教えてくれた。
ハーフパイントのエールを飲みきると、おっちゃんにお礼を言って、教えてもらったカフェへ。
(スープとサンドイッチを。サンドイッチには「オークニー・スモークチーズ」がサンドされていた)
こちらでは「Soup of the day」といって、日替わりスープはどこのお店でも出している。野菜不足の身には嬉しいスープなのだ。
やがてバスの時間が来たので、一気に島の中心、カークウォールまで行きます。この日の宿はユースホステル。町の中心部からは30分ほど歩かないといけない、かなり不便な場所にありましたが、そこは貧乏旅行。我慢我慢で、明日の蒸留所に思いを馳せます。
(町外れのユースホステル近くから撮ったカークウォール。雨が上がるととてもきれい。やっぱり雲の存在感がすごい)