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056. タムナブーリン / Tamnavulin

2012.05.09

 グレンリベット蒸留所の見学を終えた私は、次の目的地へ向けてふらふらと歩みを進めます。とは言え、前回の記事でも書いた通り、この日の日程はあるようでないようなもの。グレンリベットを支点に、西回りに行くか東回りに行くかさえ曖昧だったのですが、とりあえず一つでも多くの蒸留所をまわれる可能性のある東回りのルートを選択し、コンパスで方角を確認しながら敷地内を奥へ進んでいきます。
 地図によると、この敷地内を抜けた先に道があって、その道沿いに行けば、当面の目的地であるタムナブーリン蒸留所までは到着するはず。グーグルマップ先生によると3マイルほど。歩いても1時間ちょいで行ける距離。もはや、今日の行程を完遂することに関しては心が折れ気味だったので、まぁのんびり歩いて行けばいいかなー、なんて考えながらふらふらしていると、敷地内をシーバスカーで走っていたお兄ちゃんが「どこに行くんだい?」と声をかけてくれる。

 これはなんたる僥倖!と思いつつも、頭の中で、どっちがシーバスの所有だったかな、と考えを巡らせながら「タムナブーリン。か、ブレイヴァル」と答える。するとお兄ちゃんはちょっと困ったような表情を見せながらも「OK。ブレイヴァルまでは無理だけど、タムナブーリンまでなら」と乗せてくれる。

 話を聞くと、彼はシーバスのエンジニアで、これからはダフタウンに行くつもりだったんだそう。方角的にはまるで逆になるにもかかわらず、私を送って行ってくれて本当に感謝しきり。おかげで、わずか5分かそこらでタムナブーリン蒸留所に到着することが出来ました。


(タムナブーリン蒸留所の看板の下にはしっかりと「SORRY NO VISITORS」の文字が)

 乗せてくれたお兄ちゃんも、看板に書かれた「SORRY NO VISITORS」の文字を指差して「どうする?戻るなら乗って行くか?」と言ってくれた。「行くだけ行ってみる。ありがとう」と手を振って別れる。本当に優しいお兄ちゃんだった。


(ホワイトマッカイのマークがしっかりと。シーバスではなかったか。。)

 例によって敷地内に人気は殆ど無い。お昼時のノービジター蒸留所なんてのはたいていこんなものである。
 みんなお昼休みかなー、なんて思いながら敷地内をふらふら。


(建物からは煙がもくもく。どうやら稼働はしているようだ)


(窓の向こうには、くすんだ銅色をしたスチルの姿が)

 スチルハウスの位置に見当がついた所で、どこかに入れるとこ無いかなー、とその辺りをきょろきょろします。


(空き樽の向こう側に見える緑色のドアに「STILL HOUSE」の文字が!)

 どうしようかと思いましたが、自分の中の弱気な部分を麻痺させて図々しく行くことに。ドアを申し訳程度にノックしたら中に入ります。
 ドアの向こうはスチルの下のスペースになっており、スチルは直接見えない。さて、と思っていると、奥からおっちゃんが出てきたので「見せてーや」と交渉を開始。が、おっちゃん。「1時になったらマネージャーが戻ってくるから、オフィスで待ってろ」と、スチルハウスからは追い出されてしまう。まぁ、当然といえば当然。大人しくオフィスの前で待つことに。


(オフィスのプレートには、しっかりと「TAMNAVULIN – GLENLIVET」の文字が)

 待つこと10分ほど。近寄ってきた人物がいたので、あれかな?と思い交渉するも、答えは「ノー」。ざーんねん。と簡単に諦め、次の蒸留所を目指して歩き始めるのでした。

#Tamnavulin

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