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トマーティン蒸留所へ

2017.5.22

 翌朝、インヴァネスを出て、向かうはトマーティン蒸留所です。

 インヴァネスからトマーティンへはバスで40分ほどの道のり。蒸留所近くの幹線道路沿いに降ろされるので、そこからてくてくと歩いて蒸留所へ向かいます。


(幹線道路沿いに立つ「TOMATIN」の道路標識)

(程なく蒸留所敷地への正面入り口にたどり着きます)

 トマーティン蒸留所はスコットランドでも最大規模の蒸留所。敷地も広大で、蒸留所で働いているスタッフのほとんどは、この敷地内にある家で生活をしているそう。
 生産量も膨大で、特に70年代は計23基のスチルで年間1200万リッター超という、リベットやフィディックに匹敵するほどの量を生産していたというから驚きです。
 しかし、現在のオーナーでもある日本の宝酒造が買収した86年以来、生産量縮小の方向を示します。2000年には11基のスチルを取り外し、各6基ずつの計12基に。年間生産量も2万リッターまで下げられております。これらの意図については、いわゆる「量より質」という側面が大きい。それまではほとんどがアンティクァリーなどブレンド用原酒として使われていたのが、現在では約4割ほどがシングルモルトとしてリリースされている。ピーテッドモルトを使ったク・ボカンなど、新しいブランドも展開しており、モルトラバーとしては嬉しいかぎりです。


(正面の建物がビジターセンター。正門をくぐってから10分くらいは歩いた気がする)

(ショップは、グッズもボトルも充実したアイテムを揃えている)

(中でもハンドフィルできる樽はなんと5種類も。前回2012年の時よりも、ハンドフィルをやっている蒸留所は格段に増えたかと思うが、それでもこんなに充実しているところは他にないのではないか)

 ツアーの受付を済ませると、まずは視聴覚室で蒸留所の紹介VTRを見てから、建物の方へ移動します。

 前回来た際は、紹介VTRの後はすぐにスチルハウスに行き、スチル手前のスペースに設置された展示を見ながら製造の工程を追う、という少しく味気ないツアーだったのだけれど、この5年の間にトマーティンのツアーは大きく進化しておりました。

(まず向かったのはこちら。トマーティンカラーの赤に塗られたモルトビン)

(そしてマッシュタン。ひげもじゃのガイドさん)

(こちらのマッシュタン、なんと中に入れます。大規模製造から方向転換したため設備は余っており、それを使ってより近くウイスキー造りを体感できるようなツアーになっている)

(お馴染み、ポーテウス社のミルも、やたら年代を感じさせる古いものと)

(モダンなデザインのものと2台ある)

(実際に働いているマッシュタンはこちら。ちょうどドバドバいっているところだった)

(12槽のウォッシュバック。発酵にはマウリ社のイーストを使用している)

(そしてスチルハウスへ。前回はこのスペースだけで全てが完結したツアーだった)

(シェル&チューブのコンデンサーも片隅に展示されている。コンデンサーの中を覗き込むなんて経験、ここ以外ではできないだろう)

(スチルの下に入っていくこともできる。全部で12基あるが、現在は初留6の再留4の10基のみが稼働している)

 ここのスチルで面白いのが、現在残っている全てのスチルがまったく同じ形、サイズであるということ。すでにスクラップにされてしまったスチルもやはり、同じ形だったのだろうか。
 そのためというか、初留釜にも窓が付いていないのが特徴。本来であれば、窓から確認できるウォッシュの沸騰具合で、温度を調整したりするのだが、ここにはそれがない。「じゃあどうやって中の様子を知るのかというと」と言ってガイドさんが手にしたのが、スチルからぶら下がっている紐。紐の先には拳大の木片がつけられていて、それを勢いよく降って、お寺の金でも撞くかのようにスチルのボディに打ち付ける。その反響音を聞いて、ウォッシュがどの高さまで来ているかを判断するんだそうだ。マジか。なんだそのアナログなやり方。

(スチルハウスを外から。等間隔でコンデンサーがつながっているのが分かる)

(そして一行はクーパレッジへ。ひげもじゃのガイドさん)

(自社でクーパレッジまで所有している蒸留所は多くない)

(そしてウェアハウスへ。こちらではラック式の熟成庫をメインに使っているが、ダネッジ式のウェアハウスも一部使っているんだそう)

(ふー!76トマーティンだぜ、くんくん!)

(そして最後は試飲へ。通常のツアーが終了した後で「こっちのハンドフィルのも興味あるんだけど。。」と言ったら、それらも味見させてくれた)

 トマーティン蒸留所は2017年の「Icon Of The Whisky」で「Bland Innovator Of The Year」にも選ばれたんだそう。都市部からも近いですし、オススメの蒸留所の一つです。
 

#Tomatin

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