ねっとりと重たい空気が体にからみつくものだから夜はバーで涼しく過ごしたいKWC企画世話人です。
そんなある夜のこと、わたしはバーカウンターの端っこに座っていた。
炭酸系で喉の渇きをいやしたあとで、今日はこの3本でお願いとオーダー完了。
最初のウイスキーがやってきたところで、くるくるとグラスを回して香りをかいで、長~く口の中においてからゴックン。鼻に帰って来る香りもあ~いいフレーバーと一人悦に入っておりました。
すると、わたしの3つ隣の席からじ~っとわたしを見つめる視線を感じます。
「それおいしいんですか?」
「初心者でもおいしく飲めますか?」
「ウイスキーに苦味があるのが苦手なんです」
と矢継ぎ早に質問を受けました。
「おいしいと感じるかどうかは好みの問題もあるからわたしがおいしいと感じるのを万人がおいしいというかどうかはわからない」
「わたしはこのウイスキーを苦いと感じないけれど、ウイスキーに苦味があると感じる方は、シェリー酒樽熟成の独特の香りや味を苦味と感じることがあるかもしれないですよ」とマスターの助けを借りながら答えました。
「シェリー酒樽熟成?」
どうも、”何かに”はまってしまったかもです(笑)。
「モルトウイスキーには大きく分けて、バーボンを作った後の樽で熟成するものとシェリー酒を作った後の樽で熟成するものの2種類があるんです」
「??? へ~」
「では、わたしのグラスでよければ、これを飲んでみて苦いと思うかどうか確かめてみたらどうですか?」
「え~いいんですか~」
と言って、お連れの方を含めて3人で飲んでいらっしゃいました(苦笑)。
「次はいつここにくるんですか?」
「もっといろいろ教えてください」
あのね、ん~っとね、と思案。
「せっかくバーにこられているんでしたら、わたしに聞くよりバーテンダーの方に聞いてみたほうがいいですよ。わたしよりずっとウイスキーに詳しいんですから。」
「甘いのが好きとか辛いのが好きとか、逆に、こういうのが苦手と、バーテンダーの方に伝えてみてください。」
「もし、そうやって好みのタイプがでてきたら、銘柄を覚えておきましょう。」
「次に頼むときに、あの銘柄がおいしいと感じた、似たタイプで何かありますか?と聞くことができます」
「もし、好みと違ったら、もっと甘いのがいいとかドライなのがいいとかより具体的な情報をバーテンダーの方に伝えると次にはより好みのウイスキーを探してくれます」
「そうやって、何度かお願いするうちにきっとお好きなタイプに出会えるはずですよ」
「アルコール度数が高いのが苦手なら、それも伝えると、飲み方の提案もあるかもしれません」
「バーテンダーの方が作る水割りやロックやソーダ割りはとてもおいしいですよ」
なんとか納得してもらえた様子です。
あ”~っ、一つ伝え忘れた。
混雑しているときに一人でバーテンダーの方を独占するような質問の仕方はやめてね。
このお客さんが帰られてから、様子を見ていた常連の方が「xx(わたしの本名)さん、とても大変そうに見えたよ」と一言。「うん、大変だった(笑)」。
でも、ウイスキーのファンが増えてくれるならこれぐらいお安い御用です。
#徒然日記