行く手に見えるは水平線が総て。
このウィスキーの大海原で、六分儀が自らの位置を知らしむ。
Bowmore 20yo 1965-85 49.1% Sestante
香り味ともに初めはもの足らない位に穏やか。
シトラスが皮を連れて、その下からパッションフルーツとドライ気味のマンゴー。
潮、煙ともに感じられるが控えめ。
その後、段々と時間とともにこれらの風味が強さを増す。
後から後から、南国の果実と潮、煙が湧いてくるが、いずれが突出するわけでもなく、不足でもなく、バランスが非常に高いレベルで保たれている。
余韻もさらにバニラを少し加えて、長く続く。
時間をかけるとともに、味は深まり複雑さを増す。
しかし、パッションフルーツ+マンゴーが湧きたつにも関わらず、決してその他の潮、煙、カカオorチョコ、スパイスを封じこめない。
むしろ周りを引き立たせる。
結果として、非常に完成度の高い飲みものみ仕立てられている。
遠い目になるようなやすらぎとくつろぎ、矛盾するように感動と興奮。
それらいくつもの線から、ウィスキーに対する自分の位置を割り出すことのできる六分儀。
素晴らしい。
では、おやすみなさい。
#Bowmore