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ジュラからターバート、そしてキャンベルタウンへ

2012.06.04
 
 ジュラ島、クレイグハウスのホテルで昼食を終え、バスを待って港へと戻ります。結局、先に昼食を終えて出て行ったクリスティーン一行と再び顔を合わせることはなかったな。

 このバスもワンボックスカーで10名ほどしか乗れない。たまたま隣に座ったおばちゃんが、結構陽気な方で、いろいろお喋りしているうちに、あっという間に港に到着。まずは一旦アイラ島まで戻ります。


(到着したフェリーに乗り込みます。渡し船と言った方がしっくりくるか…?)

(アイラへ渡る船の上からは、カリラ蒸留所を望むことができた)

(船上で後ろを振り返ると、ジュラ島の「おっぱい山」が私を見送っていた)

 ほどなく船はポートアスケイグへ到着。続いてはケナクレイグ行きのフェリーを待ちます。
 次の船までは1時間ほど余裕がある。一瞬、ポートアスケイグのパブに入ろうかとも思ったが、ジュラでの試飲で少し酔っぱらっていたので、大人しく待合室で待っていることに。

(待合室の壁にはこんな貼り紙がしてあった。ボウモアの30年、セラミックドラゴンボトルが800£!)

 待合室でだらだらと船を待ち、船が到着したらそのままだらだらと乗り込みます。船のタラップを踏む前に、最後にアイラの空気を思いっきり吸っておこう、と深呼吸をしてから。

 船に乗ると、そそくさと自分の居場所を確保して、出航も待たずに落睡。それはもうぐっすりと。疲れていたということもないでしょうが、この時はホントにぐっすりと眠ってしまい、次に目覚めたときにはケナクレイグに到着。アイラへの想いを募らせることもせずに本島へ戻ってきました。

 さて、眠い頭ひきずって船を降り、今度はここからキャンベルタウンまで行かなくては行けません。
 そこまでは、このケナクレイグからバスが出ており、一本で行ける予定。さてとー、とバスのタイムテーブルを確認しますが、どうやら10分ほど前にキャンベルタウン行きは出発してしまっていた模様。うむむ。もしかしたらフェリーと接続しているかもなーなんて甘い考えでいたのだが、そうでは無かった様子です。
 困った困った言いながらも、偶然ジュラ島のバスで隣り合ったおばちゃんもここまで同じルートをたどってきており、バスのタイムテーブルを見上げて呆然としている私をみて「どうしたの?」と声をかけてきてくれる。
 「キャンベルタウンまで行きたいんだけどバス行っちゃったみたい」と、軽く答えるも、おばちゃん「えっ?なにそれ!?大丈夫なの!?」と呑気な私をよそにあわあわし始める。すると、私もそんなおばちゃんの様子を見てあわあわし始めるってなもので、二人してあわあわ。
 しかし、私には少しだけ余裕があって、事前に調べていたタイムテーブルには21時5分発、キャンベルタウン行きのバスがしっかりと記載されていたからである。現時刻は19時と、かなり長い間待たなくてはいけないし、到着もかなり遅くはなるが、それでも辿り着けないわけは無いと考えていたのである。
 おばちゃんにもそのタイムテーブルを見てもらうも、どういうわけかおばちゃんのあわあわは止まず、挙句「この時間からだと一旦ターバートまで行ってうんたらかんたら」と私がこれからどう移動すべきかを考えてくれている。
 おばちゃんがあまりにあわあわするものだから、私の不安もピーク。「とにかく確認してくるよ」とフェリーターミナルの中へ入っていき、インフォメーションのおばちゃんにバスのタイムテーブルを訊ねます。
 
 結果、キャンベルタウン行きバスの有無に対する答えは「NO」。インフォメーションでも、おばちゃんと同じように「一旦ターバートまで行って〜」と言うルートを示される。
 なんとなく釈然としないまま、それでもインフォメーションのおばちゃんも言うのであれば間違いはないのであろう。そう言うならそうしましょ。と、おばちゃんのもとへ帰っていくと、どうやらこちらのご夫人もターバートまで行くらしく、またも一緒にバスに乗り込みます。
 

 本来行く予定の無かったルートとあって、少しく不安が沸いてきます。しかし、隣のおばちゃんは「ターバートもシーフードがおいしいわよ。もしなにか食べるつもりなら、ボートの中で食べられるところがあるから、そこ、いいわよ」なんて観光案内までしてくれる。ホントにスコティッシュは世話焼きで親切な方が多い。

 ほどなくバスはターバートへ到着。おばちゃんはこの次の町まで行くとかで、ここでお別れすることに。「気をつけるのよ。グッドラック」と見送ってくれ、私も「いろいろとありがとう。サンキューソーマッチ」と言ってバスを降りる。

(町の様子)

 ターバートは湾に面したきれいな町。オーバンの町と似たような雰囲気があり、規模もそれより少し小さいくらいか。しっかりとキャンベルタウン行きのバスの時刻を確認してから、町をふらつきます。

(おばちゃんが教えてくれた「ボートのレストラン」も発見。言われたときは、なんのこっちゃと思いましたが、なるほどこれは「ボートのレストラン」だ)

 折角なのでボートのレストランで時間を潰そうと考えるも、どこでどうやってなにをオーダーすればいいのか分からず、結局一瞬乗り込んだだけですぐ下船してしまった。そのまま斜め向かいにあったパブへ。

(久しぶりにギネス)

(店の一角にはライブスペースもあった)

 このパブがなかなかよかった。この旅で一番かもしれないな、と思うほどだった。
 特に何かがあったわけではなく、むしろ何もなかったのだが、それ故、お客さんやカウンターの中の様子をじっくり見ることが出来たのが良かったのかもしれない。
 カウンターの中には女性が三人。一番偉いのは多分、モヒカンにあごピアスのパンキッシュなおねーちゃん。その次がピンクのふりふり着た可愛らしいおねーちゃんで、一番年嵩に見えたおばちゃんはお手伝いといった風情。
 若いおねーちゃん二人はカウンターの中で踊ったり歌ったり自由にしながら、たまにお客さんが来たらその相手をして、それもまた気ままな感じで、オーダーを渡し終えたらまた腕組んでお喋りしたりしている。もちろんお客さんのこともほっといているわけではなく、ちょくちょく笑い合いながら、なんとも楽しそうに働いている。
 いわゆる日本のバー(というか飲食業、サービス業全般)では、こんなおねーちゃんの態度は言語道断だと思うのだけれど、このパブにはこのパブだけで完結している空気感があって、そこには日本的な丁寧な接客や態度は必要ない。それでいてみんなが楽しそうに酒を飲んでいるのだから素敵である。この旅で何度となく触れあってきたパブカルチャーというものの魅力に、また一つ触れることができたような気持ちになって、結局ギネス一杯で2時間足らず粘って店を後にします。楽しかったー。

 そしてバスに乗り込み、キャンベルタウンまでは1時間。アイラでのホステル暮らしから、この日はゆっくりB&Bに宿泊、なんて思ったのだが、逆にホステル暮らしに慣れてしまい、久しぶりの個室ではなかなか寝付けずにいた。明日はスプリングバンクにグレンスコシア!

(なんとか無事に辿り着いたキャンベルタウン。バス停からB&Bまでも結構離れており、宿に着いたのは22時半頃で、おかみさんを随分と心配させてしまった)

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