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フィンラガン、そしてポートシャーロットへ

2012.05.25

 無事カリラでの見学も午前中には終えることが出来て時間にはかなり余裕がある。次なる目標のフィンラガンの移動はどうしようかと思い悩むも、結局は徒歩で移動することにして、カリラ蒸留所を出発します。


(カリラからバリーグラントへ戻る途中に看板が出ている)

(測道に入ると、ゴースの黄色い花がきれいに咲き乱れていた)

(アイラにも羊はたくさんいます)

(そして見えてきたフィンラガン湖)

 前日に引き続き、とてもいい天気。半袖になってアイラの風を感じながら歩いても、汗が吹き出るくらいの陽気です。しっかりと準備しておいた水分をこまめに補給しながら1時間強も歩いただろうか。目的のフィンラガン湖が見えてまいります。

 こちらは湖畔にたつ遺跡群。とは言え、ウイスキー愛好家のみなさんにとっては同名のシークレットモルトのボトルの方が馴染み深いかもしれません。グラスゴーの独立系ボトラーさんのボトルで、アイラ島のシングルモルト、ということ以外は秘密で蒸留所などは明かされていないボトルですが、その味わいや、こちらの遺跡の蒸留所からの距離などを考えると、やはりあちらの蒸留所であることが容易に想像できます。

 私も、遺跡自体には興味があまりないのですが、それがウイスキーのボトル由来の地ということで、とりあえずは訪問しておこう、というくらいの軽い気持ちで見学に行きます。
 しかし、そんな軽い気持ちで行ったものですから、こちらの遺跡群がどういったものなのかはさっぱり。ビジターセンターにあった資料などに目を通して見ると、英語が理解できずにあまりピンと来なかったので、結局ネットで調べました。いま。
 それによると、かつてアイラ島を含めた島々を統治していたマクドナルド一族(こちらもウイスキー好きの方にとってはドランブイのエピソードなどで有名ですね)が居を構えた場所で、政治の中心となる議会などを含んだ集落があった場所、とのこと。
 そんなことはつゆしらず、単なる遺跡としてざーっと見学をします。

(ビジターセンターからは短い橋を渡って、離れ小島のようになっている場所に集落の跡があります)

(なるほどなるほどー)


(私にとっては遺跡それ自体よりも、近くを流れる小川の色の方が気になりました。この赤!)

 そんなこんなでさくーっと見学を終えた後は、バリーグラントのバス停まで移動。次のバスがくるまで1時間半ほどあったので、どこかで一杯やろうかとも思ったのだが、まわりにパブはなく、強いていえば今朝方チェックアウトしたばかりのバリーグラントインがあるにはあるが、バス停からはまた少し歩かなくてはならないのでそれは諦め、バス停の正面にあったカフェ&ブティックみたいなお店で涼みながら待つことにします。


(小腹も空いたのでトマトとハムのベーグルも。アイラ島(とジュラ島)の地域誌「Ileach」が置かれていたので、それを眺めながら)

(「Ileach」はバックナンバーも揃っていたので時間つぶしにはもってこい。ガリレオが話題になったアードベッグの宇宙での試みも記事になっていて、当時はまだガリレオのボトル情報などは一切なかったので、アードベッグは面白いことするもんだな、くらいにしか考えていなかった。スポーツ欄には、サッカー地域リーグでポートエレンのチームが優勝したことを伝える記事があったのだが、そのチームのオフェシャルスポンサーがアードベッグ蒸留所らしく、ユニホームの胸にしっかりとアードベッグのロゴが。ちなみにアードベッグのチームももちろん参加しており、なんだかとてもややこしかった)

 そうこうするうちにバスの時刻となったので店を出てバスに乗り込みます。
 車内はフェスのお客さんと思しき人で一杯。大きな荷物で溢れていて、中には飛行機の荷物預かり票をつけたままの鞄もいくつかありました。
 
 今日からの宿があるポートシャーロットはカリラから見て島の反対側。一旦、中心地であるボウモアで乗り換えのためバスを降り、その隙に少しだけボウモア蒸留所を覗いてみます。

(ショップは大賑わい。フェスボトルも陳列されておりました)

 買いたいなーと思いつついまは見るだけにして蒸留所はすぐあとに。やはり次のバスまでは1時間以上あるので、今度こそパブでハーフパイントでも、と思ったのだが、それよりも先に買い物を済ませておこう、と思い直してコープに入ります。なんと言ってもこれからの10日間はホステル住まいなので、食料や水分もそれを考えて買わなくてはなりません。

 2リットルのペットボトルを2本と4倍希釈のオレンジジュースやミルク、パンやハム、チーズ、バナナにクッキーなど、滞在が長いことを考えていたら余らす心配もないだろうと大容量のものをばんばん買う。当然、両手の袋にぱんっぱんになってしまって肩から下げたバックパックも重いしもう運び屋みたいな感じになってしまったのでパブは断念しておとなしくバス停で待つことにしました。

 しばらくおとなしくしていると、私と同じくコープから出てきたアジア人が私の方を見ると、なにやら笑顔で話しかけてくる。
 なんぞ?と思いながら、少し構えて見ると「俺は君のこと知ってるよ」と言っているではないか。はて?さて?こんな人どっかで知り合ったかな??スコットランドでアジア系の人はあまりいないので、どこかで会っていれば記憶に残っているはずだが…。と記憶を遡っていると、彼の方から「ダフタウン」という単語が聞こえてきて、それで一気に合点がいった。
 確かにダフタウンに滞在していた時、開催されていたスピリット・オブ・スペイサイドで私と同じくうろちょろしながらやたら本格的なカメラで写真を撮っていたアジア人がいた。さらに、マッカランのツアーでは同じグループでもあったはずだ。話しかけることはしなかったので記憶には薄かったが、言われて見ると確かに会っていたのだ。

 すこし話をすると、彼も同じホステルに滞在しているようで一緒にバスを待つことに。「僕もそのホステルだよ!」と言うと「多分君のルームナンバーは4だよ。俺と一緒。ホステルのおっちゃんが、同室に日本人がいるよって言ってたから」と言うことで、偶然にもフェスの期間中同じ部屋で過ごすこととなった。
 彼は台湾からきたバーテンダーで、大学では酒造りの勉強もしており、やはり私と同じように蒸留所巡りをして「台湾で本にするんだ」というようなことを言っていた。彼と様々なことをカタコトの英語で話していると、バスの待ち時間はすぐで、そのままともにポートシャーロットへ。前日から泊まっているという彼に連れられるようにチェックインを済ませます。

(島にある唯一のホステルは、なんとかつてのロッホインダール蒸留所のウェアハウスを改装したもの。台湾人の彼と共に「10日も泊まっていたら熟成されて色がついちゃうんじゃないの?」なんて言って笑ったりした)
 (ホステルのラウンジ。屋根の感じとかもウェアハウスっぽいといわれたらその通り)


(ホステルのすぐ裏には白い砂浜のビーチが広がっている。いわゆるオーシャンビューってやつだ)

 こちらのユースホステルはご夫妻でされているらしく、ご主人も奥さんもとても親切でフレンドリーだった。チェックインの際に「日本人はもう一人いるよ。えーっと名前はなんて言ったっけな…」とご主人が教えてくれたので、オーバンでも再会を果たした彼女の名前を告げると「そうそう!なんだ知り合いか!」と笑顔を向けてくれた。
 
 台湾人の彼は名をザックというらしい。もちろんイングリッシュネームでチャイニーズネームは別らしいが「この方が呼びやすいから」と私にはそう紹介してくれた。
 同室のザックに親切なホステルのスタッフ。日本人の彼女もいることだし、これからのアイラでの充実した日々が想像でき、とても楽しみです。

(ホントにナイスビューなホステル)

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