MENU

087. トバモリー / Tobermory

2012.05.13

 トバモリーの町はとてもコンパクト。湾に沿って家々が立ち並び、その湾の曲線を波紋状に広げたように道路が横切っています。


(湾に沿ってメインストリートが横切り、カラフルな家々が立ち並ぶ)

 さらに湾から離れるに従って小高い丘のような地形になっていて、そのため坂道が多く、ドえげつないほどの急角度をもって登らなくてはならない。町自体でミニマムな等高線をとってもかなりくっきりと分かれるんじゃないかというくらい、高低差がすごい。


(こちらの写真だとその高低差が分かりやすいかもしれない。湾から一本奥まった所へ行こうと思ったら、とてつもない急勾配の坂を登らなくてはならない)


(坂を登る途中で振り返ってもメインストリートは見えないくらいに急角度。もくもくと煙を出しているのがトバモリー蒸留所です)

 トバモリー蒸留所は、湾に面したメインストリートにあります。如何に小さい町とはいえ、メインストリートにある蒸留所なんていうと初めてじゃないかな。朝一のツアーが11時からだったので、それまではこの小さな町を散策して時間を潰します。


(道路に面したこちらの建物はスチルハウス。窓を覗き込むとスチルの姿が見えます)


(ビジターセンターもコンパクトでこぎれいな建物)


(創業200年を超える老舗蒸留所の一つです)

 ふらふらするのにも疲れたので湾に面するベンチにでも腰掛けて待っていようとそちらへ向かうと、なにやらのどかな音楽が。音に誘われるままにそちらへ向かうと、やはり同じようにベンチに腰掛けながらコンサティーナのような楽器をブーガブーガ演奏しているおっちゃんがいて、その演奏に耳を傾けながら時間を過ごす。おかげでツアー開始の時間まで楽しく過ごすことが出来ました。

 さて。時間になったのでいざ蒸留所へ。最初は小部屋でお決まりのPVを見せてもらい蒸留所の中へと進んでいきます。


(ビジターセンターには蒸留所やマル島の写真が飾られていた)

 各設備が他では見れない特徴を持っており、例えばマッシュタン。注目すべきは銅製のマッシュタンの上部、ドーム型に膨らんだその部分に、等間隔で4カ所、角張ったツノのようなものが出っ張っていて、私の英語力での理解が間違っていなければ、そのツノは開閉式で夏場などはそれで温度調整をするとのことだった。
 ちょうどマッシュマンのおっちゃんがいたのでガイドのお姉ちゃんがなにやら話をしていた。この時のツアーに参加したのは私を除くとアメリカ人ご夫婦の一組のみ。話の流れで、どうやらマッシュマンのおっちゃんはスコティッシュ、ガイドのお姉ちゃんはイングリッシュで、ご夫婦はアメリカン。同じ英語でもニュアンスは違うらしく、会話しながらその違いを楽しんでいるようだった。置いてけぼりの私に気付いたアメリカンのご夫人が「あなたは違いが分かる?」と訊ねてきたが、そもそも英語が分かっていない私にとってはアメリカンだろうがスコティッシュだろうがイングリッシュだろうがあまり大差はない。「安心して。そもそも日本語しか分からないから」と答えておいた。こちらのご夫人はかなりおしゃべりが好きなようで、ツアーの最中も、ガイドさんが説明したのを改めて私に簡単な英語で説明し直してくれたり、現場のおっちゃんを捕まえては勝手にあれこれ訊ね始めたりと、なかなかアグレッシブな方だった。
 ウォッシュバックは木製のものが4槽。整然と横一列に並んでいて、その先へ進むとスチルハウスです。
 ここのスチル最大の特徴はなんといってもそのラインアーム。上方に伸びているのはいいのだが、その途中で90度近く折れ曲がり、さらに上方へと角度をつけてコンデンサーにつながっていくタイプ。


(ボール型のスチルが計4基)


(こちらの写真でラインアームはかなり上向きに伸びているのがわかる、がそれだけではなく…)


(上に伸びたラインアームは途中で90度ぐいっと曲がって、さらに上方へ伸びていく。これは特徴的)

 このウェアハウスも特徴的で、なにがというとそのサイズ。とても小さなウェアハウスで、説明によるとオロロソのシェリーバットが24樽とバーボンオークが24樽の計48樽しかこちらには貯蔵しておらず、残りは同社がもつ他蒸留所に運ばれるんだそうです。
 最後にトバモリーの10年と、同蒸留所のピーテッドブランド、レダイグの10年を試飲させてもらってツアーは終了。小さな町の小さな蒸留所でしたが、とても歴史が深く興味深い蒸留所でした。

#Tobermory

この記事を書いた人