2012.05.22
せっかくなので少しだけフォートウィリアムの街の様子を。
(どの町でもそうなのだが歴史的な背景のある建造物が生活に密着している)
久しぶりの都市ということもあってわくわく。入り組んだ路地などもあるのだが、基本的にはメインとなるハイ・ストリートが東西に一本伸びており、その裏に平行してミドル・ストリートがあり、この辺りを往来する。
(こちらはメインストリート。石畳がいい感じ)
メインストリートにはパブやレストランの他に、お土産屋さんなんかもたくさんあって、もとより買うつもりは毛頭ないのだけれど、そういった雰囲気を味わうだけでもわくわく。
ちょうど、地球の歩き方にも乗っているサンド屋さんを発見したのでテイクアウェイしてベンチで食べる。このサンドがまた美味しくて。お肉とフルーツソースを合わせただけのシンプルなサンドで、例によって野菜類などは一切入っていないのだけれど、そのぶんお肉とソースのハーモニーがダイレクトに伝わってきてとても美味しかった。お肉とソースの組み合わせはビーフ&オレンジ、ポーク&アップル、ターキー&クランベリーと全部で3種類。私はポークのをいただいたのだが、他のも食べたくなるほど美味しかった。
賑やかなメインストリートに比して、裏通りのミドルストリートはまさしく裏通りといった感じ。まず陽があたっていない。さらにミドルストリートの一本外側の道を行こうとすると、そこは湖に面した遊歩道になっていて、どうせ散歩するならこちらの方がいい。その道の先には、町の名の由来になったフォートウィリアム城塞跡もあって、まぁただの遺跡でそれも殆ど風化していて、残っているのはわずかに壁とか、平たくいうと石がちょろちょろっと積んである、みたいなもので、さして面白いものでもない。
(ベンネヴィス山のお膝元ということもありトレッキング目的の観光客も多いようだった)
せっかく英国最高峰がそこにあるのだから、と、トレッキングルートも目指してみることに。登山道の入り口となるグレンネヴィス・ヴィジターセンターは町から歩いて3キロほど。そこに至る道も緑に囲まれており大変気持ちがよかった。
(ほどなく到着したグレンネヴィス・ビジターセンターから。仰ぎ見るはベンネヴィス山。のはず)
麓まで来た所で満足し町へ折り返すと、町外れのホステルへ向かいます。
(きれーな花が咲き誇っていた)
こちらのホステルが、この旅の中でもまー印象に残ったホステルで。正確にいうとホステル自体はあまり印象に残っていないのですが、同室のメンバーが大変だった。
私が到着したときは6人部屋に誰もいない。まーこんなこともあるだろうと気にせずにパソコンでスケジュール組んだり作業をしていると、俄に表が騒がしくなったかと思うとドアが開け放たれ、やたらハイテンションな男女が部屋になだれ込んでくる。わーきゃー言いつつ、そのテンションのまま私もなんとか挨拶をすませ、落ち着こうとするのだが、彼らはそんな私を落ち着かせてくれることなく「一緒に行こうぜ!」みたいな感じで階下へ。するとホステルの庭ではバーベキューパーティが開催されていて、気付くと飲めや歌えやの大騒ぎ。あっちこっちで各国の若者たちが手を取り仲良くなっていく中、日本人的シャイボーイの本領を発揮した私。なかなか馴染むことが出来ずに、まーそれでもそれなりに楽しんで部屋に帰ろうとすると、例の同室の5人組。彼らも5人組なわけではなく、ここで知り合ったばかりだと言っていたが、ともかく。彼らが「よっしゃ町へ行こうぜ!」みたいに私を引きずっていこうとする。そのまま引きずられていっても良かったのだが、どうもそのノリに合いそうもなかったし疲れてしまいそうだったのでお断りして部屋へ。
「いやー大変だった」などひとりごちつつ、シャワーなど浴びて準備を済ませ0時前にはベッドに入ったのだが、いつまでたっても彼らが帰ってこない。スコットランドは夜が早いので、飲む場所もそんなにないんじゃないかと思いつつも、フォートウィリアムは都市だから、0時なんてまだまだ宵の口なのかもな、と思い直して落睡。が、私の安眠は長くは続かなかった。
騒々しい物音で眼を覚ますと、初登場の際のハイテンションを倍にしたような状態で五人組が闖入。時計を見ると3時過ぎである。部屋の中で騒がれちゃたまらない。一声かけようと思うも、寝ていた所を理不尽に叩き起こされたときの不機嫌さといったらない。放出すべき感情が内に渦巻いてしまって、そのせいで頭はぐるぐる、半自棄みたいな状態になって、もうどうにでもなれ。そうなると逆に相手を赦す気持ちというか、こんなことで腹立てる私ではありませんよ、という気にもなってきて、そんなポーズ。そうこうしているうちに、泥酔状態の若者たちの中でも冷静だった女のコがさすがに嗜めてくれたらしく、ほどなく事態は沈静化。彼らが床についたのを薄闇で認めると、私も再び眠りに落ちたのでした。
そんなこんなで大変だったホステルをチェックアウト。ホステルのお姉さんも昨日の騒ぎを知っているようで「昨日は眠れた?」と訊ねてくる。気付いていたなら昨晩のうちにちょっとは注意してくれてもいいじゃないか、くそ。そんなことを思いつつも、質問には答えずにただ肩だけをすくめて宿を出る。
この日はフォートウィリアムからマル島を目指すのである。
フォートウィリアムからまず目指すはトバモリー行きのフェリーが出ているキルホーアンとう場所。幸いバスで一本で行ける。一旦乗り込んだら到着は2時間半後の予定なのでうつらうつらと。しかし、ほどなくおかしな揺れを感じて眼を開ける。明らかに通常のバスの揺れとは違う振動に驚いて眼を開けると、なんと周りが海ではありませんか。はて。私はフェリーに乗っていたんでしたっけ?バスじゃなかったっけ?みたいなことを寝ぼけつつよく周りを見渡すと、なんとバスごとフェリーに乗っているじゃありませんか。
(湖の上を走るバス)
どうやら湖をフェリーで横断してルートをショートカットしている様子。こんなこともあるものか、と驚きました。
そしてほぼ定刻通りにバスは到着。最後の一人の乗客になっていた私に「どこまでだ?」と運転手さん。「フェリー乗り場まで」と答えると「オーケー」と私をそこまで乗せて「あっちがウェイティングルーム、こっちがトイレ。じゃっ」と私を残して去っていった。
私は少しく唖然としていた。というのも、このフェリー乗り場というのが、いままでにあったようなフェリー乗り場とは著しく様相を異にしていたからである。
(フェリー乗り場というより完全に船着き場)
なんだこの船着き場は。一体どこでチケットを買えばいいのだ。そもそも人がいないじゃないか。無人駅か。しかし、さびれた雰囲気の中にそぐわない電光掲示板が立っていて、今日のタイムスケジュールと「切符は乗船後に買ってね」というアナウンスが延々流れていた。
(まわりはいい景色)
次の船の時間までは40分。周りには何も無い。いい景色をのぞいて。しかし如何にいい景色といえど、こちらはだいぶ飽きてきているのだ。そもそもなんだこの取り残されたかのような船着き場は。なにがウェイティングルームか、カッコつけやがって。と、わけもなく精神を荒廃させきった頃、遠くから船が近づいてくるのが見えます。船の姿は見る間に大きくなって、それに合わせて大きな音も接近してくる。
(ゴゴゴゴゴーっと)
無事乗り込み、チケットを見せて目指すトバモリーまでは30分超。あっという間に到着です。
(湾沿いに色とりどりの建物が並ぶきれいな町)