スペイサイド地区T
【T】 TORMORE / トーモア
●ウェブ・サイト・・・・http://www.tormore.com/
●所在地・・・・・・・・Grantown on Spey, Morayshire
●創立・・・・・・・・・1960年
●所有者・・・・・・・・Allied Distillers Ltd.(Pernod Ricard S.A.)
●発酵槽・・・・・・・・ステンレス×?基
●蒸留器・・・・・・・・初留×4基 再留×4基
●仕込み水・・・・・・・クアボッキー川
●ブレンド銘柄
バランタイン
ロング・ジョン
シンジケート 58/6
*シンジケート以外はアライド系ブレンデッド・ウイスキー。歴史的背景は特に無さそうだが、トーモア蒸留所の看板にはロング・ジョンという文字が入っている。
【ティスティング No.66】
トーモア 10年熟成 43% 蒸留所詰め
For Japan(サントリー・アライドライオンズ), 90”s Rotation
【色】
薄いゴールド。(チャート0.3~0.4)
【香り】
カラメル、蜂蜜、溶剤、バニラ、ナッツの香ばしさ、マーマレード。強烈な主張は無くそれぞれの香りがソフト。又は平均的に混和している印象。
【味、フィニッシュ】
蜂蜜、ナッツ、ジンジャー、クローブ。香りの印象よりスパイシー。蜂蜜とバニラの余韻。タンニンはほとんど感じず、切れ上がりは早くスムース。
【総評】
とてもスムースで、モルト・ウイスキーらしい個性も味わいもあるが、残念ながらこのトーモアは誰が飲んでも印象に残り辛いと思う。
決して不味いと言っている訳では無いので誤解して欲しくは無いが、ある意味、バランスの悪いギスギスしたような物の方が印象には残りやすいので、スムースで平均点なモルトは、時によって記憶の彼方へ埋没して行くと言わざるを得ないでしょう。
アイラのピーテッド・モルトを例えるなら分かり易いと思うが、あのヨード香は好きな人には堪らない美味さと言えるでしょうが、片や全くダメだと言う方も居ます。つまり、一方の方向から見ればバランスが悪いとも言え、今回のボトルのようなスタイルが好きだと言う人も実際居るかと思う。しかし、印象に残るのは間違い無くピーティなウイスキーで、「ほら、あの、臭いヤツ」とか言って、再度オーダーが入ったり、そのままドップリはまっちゃったりする方も沢山いらっしゃいます。
現在やたらピーテッドが流行っているのは、こういった背景や、ウイスキー人口が増えたからだろうと思うが、本来のウイスキーの旨みを知る為には、今回のようなベーシックなスペイサイドやハイランドのモルト・ウイスキーで、しっかり舌や鼻を慣らすことをお勧めします。また、そうやって鍛えるとピーテッド・モルトの良し悪しがハッキリ分かるようになります。
正直、ピートだけ効いたつまらない物も横行しているので、アイラ好きの自称ウイスキー・マニアな方は、是非スペイサイドのウイスキーにも目を向けて欲しい。最初は物足りなかったりもするかと思うが、それはそれ、しっかり味わいもあるので、しばらくピーテッドを封印するつもりで飲み続けてみて下さい。結果、ピーテッド・モルトの隠れた味わいや本当の良さが体感出来ると思いますよ。
★今回で一応スペイサイド地区は制覇しましたので、次回よりハイランド地区へ移行致します。リクエストがあればその限りではありませんのでご遠慮無く!!一発目は以前リクエスト頂いたロスト・ディスティラーのベン・ウィヴィスからの予定です!ウイスキーを愛する全ての方、これからも宜しくお願い致します!!
#スペイサイド