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ケンタッキー・コロネル


 

 今週もウイスキーのブランド紹介でご勘弁願います。紹介順は適当でとくだん意味はありません。
 
創業年:1856年
生産者:ザ・ケンタッキー・コロネル・ディスティラリー社
所在地:ケンタッキー州クレアモント

In the Blue Grass region
A paradox was born
The corn was full of kernels
And the Colonels full of corn.

 
ブルーグラスの地方で、
逆説が生まれた。
玉蜀黍(トウモロコシ)は穀粒(カーネルズ)で満ち、
大佐(カーネルズ)は玉蜀黍(ウイスキー)で満たされている。

 第4代連邦最高裁判所長官のジョン・マーシャルが1825年ごろにこう詠ったコロネル、カーネルは、ローマ帝国時代の縦隊長 Column を語源とし、本来は軍隊の階級における大佐のことですが、ケンタッキー州では、地元に貢献した人物をケンタッキー・カーネルの尊称で呼んでおり、1813年に州知事が授ける公的な称号になって以来、チャーチルダウンズ競馬場の歴代の支配人など、およそ9万人が栄誉に浴しています。とくに、ケンタッキー・フライド・チキンの創業者、カーネルおじさんこと、ハーランド・サンダースは有名でしょう。
 ウイスキーの業界にも、エドモンド・H・テイラー・ジュニア、アルバート・B・ブラントン、ジェイムズ・B・ビーム、フランク・B・トンプソン、ウィリアム・リンゼーら、多くのカーネルがいます。

 このウイスキーは、1856年にデイヴィス郡オーエンスボロの蒸留所で誕生したと伝えられています。その蒸留所がどこかは定かでありません。ただ、19世紀末から20世紀の前半にかけては、ヒル&パーキンス、のちのロック・スプリング蒸留所で造られていたようです。
 最初はオールド・ケンタッキー・コロネルと名づけられ、グレンモア社が蒸留所を買収した1920年に、ブランドネームからオールドが外されました。
 禁酒法により蒸留所は閉鎖されたものの、ケンタッキー・コロネルはアメリカン・メディセナル・スピリッツ、AMS社が薬用ウイスキーとして販売を続けています。
 1934年、ブリット郡のマーフィー・バーバー蒸留所でウイスキー造りを再開したジェイムズ・B・ビームが、同年、ケンタッキー・コロネルのライセンスをAMS社の母体のナショナル・ディスティラー社から買いとり、以来今日に至るまで、ジム・ビーム・ブランズ社が生産を続けています。
 ジム・ビーム・ブランズ社にとっては、ジム・ビームとともに創業当初からの伝統あるブランドといえるでしょう。 

 ライトボディの4年もののストレート・ウイスキーで、1980年代までは日本でも五指に数えられるほど人気の高いバーボンでした。しかし、最近はあまり見かけません。また、バーボンにベネディクティンを加えた同名のカクテルもあります。

 なお、ロック・スプリング蒸留所については、ヒル&ヒルを紹介するさいに詳述します。
   
 

#バーボン

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