MENU

ケスラー

 
 
「アメリカン・ウイスキーの歴史」の記事に手こずっているので、今週はウイスキーのブランド紹介でお茶を濁しておきます。

創業年:
生産者:ジュリアス・ケスラー社
所在地:メリーランド州ボルチモア(ラベル記載地)

「Smooth as Silk」のキャッチフレーズを謳うケスラーは、知名度ではセブン・クラウンに遠く及ばないものの、2番目によく飲まれているアメリカン・ブレンディッドです。ブランドネームは、禁酒法が施行されるまで多くの蒸留所を経営していた、ジュリアス・ケスラーにちなんでいます。 
  
 ジュリアス・ケスラーはハンガリーのブタペストの出身で、1870年代にコロラド州のリードヴィルでウイスキーの行商を始めました。もしかすると、1848年のハンガリー革命で故国を追われた亡命者の一族だったのかもしれません。
 1888年にこのケスラーを発売後、1901年にケンタッキー州バーボン郡のパリス蒸留所、翌年にハリソン郡のG・R・シャープ(のちのオールド・ルイス・ハンター)蒸留所とバーボン郡のピーコック蒸留所を買いとって、サム・クレイ、パリス・クラブ、G・R・シャープ、オールド・ルイス・ハンターなどのバーボンを販売しました。
 それらのウイスキーで成功をおさめたケスラーは、禁酒法のさなかの1921年に引退すると、ヨーロッパに戻り、オーストリア・ハンガリー二重帝国が崩壊してまもないウイーンで余生を過ごしています。
 彼が手放したケスラー社は、1933年、もしくは1935年にシーグラム社の傘下に下りました。
 
 以前の「世界の洋酒辞典」には、「フォア・ローゼズの原酒をブレンドしている」と記されていました。しかし、ジム・マーレイ氏は、「ジム・ビーム・ブランズ社の少なくとも4年ものの原酒に、72.5パーセントの割合でニュートラル・スピリッツを加えている」と著書で言及しています。どちらかいっぽうが誤っているわけではなく、1991年にシーグラム社がアメリカン・ブランズ社に売却した7つのブランドのなかに、ケスラーも含まれていたと考えるべきでしょう。

  オフィシャル・サイト
 
 
 

#ブレンディッド

この記事を書いた人