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好きな人

今日はなんとなく外食して帰りたいな…と、家の近くのファミレスに寄りました。
私の案内された席の隣では、女子高生3人組がおしゃべりに花を咲かせています。

「女子高生」だった頃、私にもあったなぁ。あの頃は自分たちがどれだけ若くてどれだけ悩んでてどれだけ特別だったかなんて、気付いてなかったなぁ…。
そんなことを思いながら、私は買ってきた雑誌を開きながらフライドポテトをつまみ、ビールを飲んでいました。

途中から、隣の女子高生3人組の話がなんとなく気になって、聞くともなしに聞いてました(もちろん雑誌を読むフリをしながら)。
「Tくんと付き合いたい…」
「ていうか、Tくんの家の前に行くだけでもいい」
「メルアドだけでも欲しいよね」
「でもKと付き合ってるってウワサあるよね」
「マジで?!」
「Kかぁーかわいいもんねぇ…」
どうやら、3人で同じ男子を好きになってしまい、しかもその男子には彼女がいる、というような状態のようなのです。

ああ、恋せよ乙女たち、と、本人たちにとっては絶望的であろうそんなシチュエーションすらも青春の1ページなのだよと、微笑ましく思いました。がんばれ、乙女たちよ!

しかし、食事を終えてレジで支払いをしている最中、突然私はあることに思い当ったのです。
「あ…Tって、あのTのことかぁ」
レジ後ろのキャンペーンポスターで、某アイドルグループのメンバーTがにっこりと笑っていたのでした。

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