僕の住んでいる所から、車で小1時間ほど。
雄大な自然の風景をバックに、赤煉瓦の建物があります。
キリンの「富士御殿場蒸留所」です。
キリンのシングルモルト「富士山麓」は、日本人の味覚に合う味わいを追求して造られたシングルモルトだそうで、サントリーの「山崎」が「世界に通用するモルト」を目指しているのとは趣が異なります。
「富士山麓」の味わいを簡潔に表現するなら「クリアで甘い熟香」…でしょうか。
「富士山麓18年」は、クリアな味わいの中に上品さ、力強さを秘めたシングルモルトです。
キリンがウイスキーを作る際に目指した理念は、「澄んだ味わいのなかに広がる甘い樽熟香」。
まさに「富士山麓」の味わいそのものだと思います。
富士御殿場蒸留所では、仕込みからボトリングま全行程を行っており、さらにグレーンまで作っているというから驚きです。徹底した自社ブランドへのこだわりですね。
御殿場市は高原に位置しているので、特に蒸留所の周辺は、夏でも涼しく空気が澄んでいます。これに併せて、富士山の雪解け水が地中深くに染み込み地下水となって流れていて、この天然水を使用してウイスキーを造っているとのこと。
美味しくないわけがない、といったところでしょうか。
【色】
赤味を帯びた琥珀色。クリアでサラッとしています。
グラスを振ってみると分かるのですが、オイリーさはほとんど感じられません。
【香り】
ほのかなピートの香りとドライフルーツのような甘い香りを同時に感じ、まろやかで上品な印象です。わずかに麦の香りが粗く感じますが、それは1つの個性として受け止めても良いかと。
【味わい】
飲み口は、カラメルのような甘さと、なめらかな口当たり。
そして深い熟成香と、柔らかくほのかに香るピート香が口中に広がり、それらが一体となってバランス良く感じられます。意外なほどにしっかりとした味わいです。
シリアルのような穀物の風味が、やや雑味のように感じることもあるかもしれませんが、香りの華やかさと味わいの重厚さに程良く調和していて、味に奥行きを出しているようにも感じます。
【フィニッシュ】
上品でスムース。リッチで長い余韻。
一口で「美味い」と感じるシングルモルトだと思います。
個性を求め過ぎてスコッチばかり飲んでいるときに、こういったジャパニーズ・モルトを飲むとホッとするというか、安心して愉しむことができるのではないでしょうか。
ちなみに富士御殿場蒸留所は、御殿場市と協力して環境保全にも取り組んでいるようです。
豊かな自然を利用するだけではなく、その自然を守っていくことで「富士山麓」の品質を守っているわけで、そういった意味では「自然との調和、共存共栄」という言葉がピッタリなのかもしれません。
#富士山麓 #ジャパニーズ