結局、美味いと感じるのは自分の舌だけが頼りなわけで、目の前にあるモルトが、どんなに希少性があっても、どんなに絶賛されている逸品だったとしても、自分の好みに合わなければそれまでなんですよね。
逆もまた然り。
ありふれたスタンダードであっても、自分にとって美味いと思えるものであれば、それを飲んでいる時間は至福のひと時、何にも代え難い時間を過ごせると思います。
常に舌を鍛えなきゃ、って思うと同時に、情報過多な時代だからこそ、ある程度の懐疑的なスタンスと情報に惑わされないバランス感覚って、とても大事なことだと思うのですが、いかがでしょう?
で、この「ロングロウ18年」です。
1990年以降、その品質の高さから毎年生産されるようになったロングロウ。
オフィシャルのスタンダードは、10年が一般的ですよね。
需要が多く、生産量が追いついていない状況が長く続き、それを解消するために、現在では全生産量の15%がロングロウになっています。
この「ロングロウ18年」は、現在の生産体制になる一番古い樽、1990年のリフィル・シェリーカスクを使用しているとのこと。あっという間に売り切れましたよね。
近所のBarをハシゴして2軒目。
時間も遅かったのと、少しホロ酔い気分だったので、何も決めずに入店。
マスターに何か無いですか?、と聞いてみたところ、ニヤッとされながら
「こういうのはどうでしょう??」
なんて出されたら、酔いも吹っ飛ぶってもんです♪
さて、飲んだ感想は…
【色】
濃い蜂蜜のよう、やや曇った銅色です。
【香り】
非常にリッチかつ複雑ですね。
まずリンゴの皮、メープルシロップのような甘い香りを感じつつ、焼きたてのトーストのような香ばしい香りが広がります。そこに蜂蜜とオレンジのフレッシュさが加わり、最初の甘い香りと合わさって、複雑な層を成した香りだと気付きます。乾いた樹皮や、ほんのりとバターも。
【味わい】
飲み口は、思った以上にオイリーですが、ベタっとしているのではなく弾力がある感じ。
サワークリームやヨーグルトのような滑らかで爽やか酸味とともに、アップルパイ、バターとメープルシロップをタップリかけたホットケーキ。非常に温かな味わいです。
徐々に舌がピート香で包まれていき、ほんの微量ながらイソジンっぽささえ感じてきます。
あ、でもホント微量です。気のせいかも(笑)
深く濃い甘さと、爽やかさ、ほんの少しのエグみが複雑ですが、1つにまとまっているところが凄い!
【フィニッシュ】
完熟したリンゴとバターの甘さ、同時にヨーグルトのような爽やかさ。
ほんのりと爽やかな甘さ、でも深いコクのある余韻が長く続きます。
生産本数は全世界で2280本。
日本に入ってきたのは120本。
この希少性が美味いと感じさせるのか?
オフィシャルはボトラーズよりも面白さに欠けるのか?
さあ、後は皆さんの舌で確認してください!!
#ロングロウ #キャンベルタウン