深々と冷え込む深夜、二日間だけ五月の陽射のような優しさに出会った。
まだ凛とした空気が漂う店内に、男が三人。
秘かに試飲会を開いた。
運び屋から受け取ったその銘酒等は、「凄い!!」の一言。
BAR で行われる「儀式」のような時間、こんな時間がたまらない。
静かな夜がそうでなくなったのは、久しぶりにご来店頂いた
お客様方がいらっしゃってからだ。
彼等はペルー生まれ。
以前も登場した彼等だ。
南米系の陽気な血が流れているせいか、誰とも仲良くなる。
昨夜一番気に入ってくれたのは「ピスコ・リッキー」。
やはり地酒を使った物が、一番しっくりくるらしい。
彼等の隣に座る、五月の陽射のような優しさでいっぱいのお隣さんは、
大ぶりのグラスでヴァン・ルージュを楽しみながら、会話も楽しむ。
昨夜の最後はギネスでしめておられました。
なかなか素晴らしい飲み手のお客様、将来が楽しみだ。
最後までお客様の会話にお付き合いして頂き、ありがとうございました。
優しい笑顔でチャーチルスの紫煙を嗜む、「運び屋」から届いた荷物は
僕の憧れ。
そう、バーテンダーになった時からの憧れだった。
30年程の時間を超え、初めてテイスティング。
最高の芸術でした。
ロメオのチャーチルスが、この短期間で似合い、
扱えるようになったのは、僕のささやかな感動。
数年前から使用しているという、マストロ・デ・パヤのシガー・シザー。
さすが、運び屋。
なかなかの名器でした。
BAR のカウンター、それも一番奥に座る人は、
いずれ「ドン」になる。
「止まり木占い」、昔にそう聞いた事がある。
その場所でカリラを楽しむお客様も、久しぶりに空間に溶け込んでいた。
昨夜も充実した時間を、お客様方にいただきました。
皆様ありがとうございました。
#BAR