この春に発売されたばかりの本坊酒造マルスウイスキーの新商品。
1988年5月〜2009年4月(20年)、
46%、Sherry Butt、583本。
マルスモルトギャラリー1988の初代の樽No.は565、
マルスモルトギャラリー1988の2代目の樽No.は567、
そしてこれが樽No.は566ですから、樽番号が並んでいます。
もしかしたら美味だったマルスモルトギャラリー1988の初代の味わいに
近いかもしれないという期待があります。
マルスウイスキーの美味しいシェリー樽原酒を飲みたいと思っていたところなので、
新商品6本の中から、早速これをテイスティングしました。
ちなみに、Kumamoto Bartenders Chiceの試飲サンプルとして出されていた
「162、313、566、617、1039」の5本の内の1つみたいです。
オフィシャルコメント
シェリー樽熟成特有のドライフルーツを思わせる甘い香りと樽の香りが強く感じられ、
スモーキーフレーバーの余韻が心地よいウイスキー。
ピート香を抑えた信州らしい優しい味わいが特徴のウイスキーです。
香り
トップに温泉地で食べる温泉玉子(硫黄臭)を軽く、
そして焦げた(ライトピートの)モルトの香ばしく酸味ある香りを感じる。
しかしすぐに、気になった硫黄臭を吹き消す様に、マルスのシェリー樽らしい、
盛り合わせの凝縮フルーツ(琵琶、ライチ、イチゴ、パイナップル、マスカット等)が
香り立つ。
そこに生クリームをトッピングしたかの様な滑らかな甘味が加わり、
さらに微かな化粧香がアクセントになっている。
味わい
甘酸っぱい。甘味も酸味も、驚く程に強い。
寒天にかける黒蜜の甘味。そして香りで感じていた、
琵琶、ライチ、イチゴ、パイナップル、マスカット等のフルーツが
「我こそ1番」と言わんばかりに次々と主張してくる。
酸味のあるスッキリしたフルーツを感じながらもクリーミー。
生クリームと黒蜜をかけたフルーツカクテル!
加水後の味わい
香りの硫黄臭は衰えない。フルーティーな香りは遠のき、
コクのあるエステル香が顔を出す。
一瞬、甘味が遠のいた様にドライな印象を感じるが、
瞬時に強烈な黒糖の甘味と軽いタンニンを漂わせるフルーツ
(種のある青い葡萄や、キウイ)の甘味が押し寄せてきて、楽しませてくれる。
後味
オーク材と(黒糖が染み入った)カステラの、それらの気高い甘味、
そしてリンゴの皮と実の間の美味しい甘味の後味が続く。
さらにしばらくすると、軽い硫黄や、
葡萄の種の苦いタンニンと種の周りの甘い果肉に変わる。
総評
これは美味いと思っていたモルトギャラリー1988がさらに熟成して荒々しさを取り去り、
まだまだ元気が溢れる美人に成長しつつ、クリーミーという色気が増した感じ。
コストパフォーマンスの観点で見てしまうと、
多少若くても方向が同じモルトギャラリー1988に軍配が上がるが、
それでもやはり熟成年数の差を感じられる。
マルスのモルトにはたまに「ここまで染み付くか?!」という
硫黄臭バリバリのシェリー樽原酒に出会うリスクもあるが、
こういったフルーツいっぱいの熟成を成し遂げたシェリー樽原酒にであうと、
そのリスクも許せてしまう。
マルスのシェリー樽原酒独特の幾重にも重なるフルーツの共演は
このシングルモルトが持つ素晴らしい個性だ。
ジャパニーズウイスキーを知りたいなら、
一度はマルスウイスキーの美しいシェリー樽原酒を飲むべき。
#マルス(本坊酒造)