12月8日に発売されたばかりの、本坊酒造のシングルモルトウイスキー、
モルテージ駒ヶ岳シングルモルトシェリーカスク10年。
2樽のシェリー樽原酒をブレンドした、1272本限定商品。
アルコール度数は加水のため40%と、低めとなっている。
先週末に信州ファクトリーで買い求めましたが、スタッフによると、
「いわゆる白陶器シリーズはこれで最後。」との事。
オフィシャルコメントは次の通り
シェリー樽で熟成したウイスキー特有のドライフルーツのような甘い香りと味わい、
スモーキーフレーバーの余韻が心地良いシングルモルトの10年ものです。
香り
トップにマルスのシェリー樽原酒らしい硫黄臭の「やっちまった」感を
ストレートに感じた後、ほんのりと香るピート、
刺し身醤油の発酵臭とトーストの香ばしい香り。そして軽いウッディ。
その奥にやっと出てくるマルス特有のフルーツ、酸味がかったオレンジ、
グレープ、キウイ、パイナップル、ドラゴンフルーツ、
パッションフルーツの果実香とマンゴーの柔らかい甘味を感じられるが、
いずれも硫黄に包まれている。
味わい
硫黄に包まれつつも、軽く焦した麦の旨みと、焦げた餅の苦みに、
シェリー樽原酒らしいフルーツ(酸味と甘味)が出会っているのを感じられ、
さらに幼児用シロップのコテコテな甘さを感じるが、すぐに渋味も加わる。
気持~ち、生姜の温かみも感じられる。
しかし、しばらくすると香りと同じ様々なフルーツが口の中を漂い始める。
また、葡萄を食べつつ種を噛んでしまった時の様な軽いタンニンも感じられる。
なお、飲み続けると渋味が引き立ってくるので注意が必要。
加水後の味わい
軽くスモークとエステルが出て、嫌な硫黄臭はやや落ち着くものの、それでも残る。
同時にフルーツ感も低くなってしまい、ややドライなウイスキーに変わる。
どことなく辛味も残る。
後味
シェリー樽原酒ながらフィニッシュは割りにドライ。
ドライな中に焦して苦くなった黒糖やビターコーヒーを感じ、
軽く干し葡萄の酸味を感じつつ、
何よりもバルサミコがかかったカシューナッツが適度に続く。
総評
ウイスキー初心者には受け入れ難いストレートな硫黄臭があり、
お勧めするには人を選ぶ事になりそう。
しかしマルスのシェリー樽原酒の持つ、硫黄臭の奥にある
盛り合わせのフルーツが放つ強烈な果実香の良さは、
薄い味わいの中でもしっかり表れていて、それを手頃な価格で味わうのには十分だと思う。
正直、個人的にはやはり新樽とシェリー樽の原酒をブレンドした
旧駒ヶ岳10年のパンチのある味わいが恋しくなる。
また、マルスウイスキーの(モルトギャラリー1988等の)シェリー樽には、
素晴らしく果実味が溢れていて美味しいものがあるのを知っているので、
「マルスのシェリーカスク」という言葉に期待し過ぎていたのかもしれない。
さらにマルスのシェリー樽原酒の様に硫黄臭いっぱいの原酒は、
仮に国内外の他の蒸溜所で出来上がったとしても、
それをボトリングして販売する事は考え難いので、
こういう視点からみればマルスの個性の一つとして硫黄臭を受け止める事もできる。
いわゆる白陶器シリーズはこれで最後…。
#マルス(本坊酒造)