2012.04.18
今日は蒸留所巡りは一休み。もとより、蒸留所巡りの旅の中で、唯一、蒸留所以外の混じりけ無しの観光として楽しみにしていたネス湖に行きます。
ホステルのあるインヴァネスからはバスで30分弱の場所にある、ドラムナドロケットという町へ向かいます。
いいかげんバスの乗り方にも慣れてきたとは言え、この「Drumnadrochit」という噛みそうな名前の行き先を告げるのは少しく躊躇いがあった。しかし、運転手さんも慣れたもので、私のカタカナ英語でもすぐに目的を理解してくれた。
(ネッシー一色の町です)
バスを降りると、そこはまさしくネッシーの町。お土産屋さんもたくさんあり、カフェやレストラン、ホステルの看板なんかにも例外無くネッシーがデザインされていて、もうわくわくです。
この町には「Loch Ness Exhibion Centre」と「The Original Loch Ness Monster Visitor Centre」という、二つの代表的なネッシーセンターがあるのだが、それは後回しにして、まずはネス湖畔に立つ古城、アーカート城を目指します。
(雨のネス湖。月並みな感想だが、ホントにネッシーがいてもおかしくないような雰囲気を醸している)
静かな水面を湛えるネス湖を脇目で見ながら、歩くこと40分ほど。目的のアーカート城が見えてまいりました。
(湖畔に佇む朽ち果てた古城)
ビジターセンターの入り口には、ここに向かうまでの途中で私の脇を追い越して行った観光バスが止まっており、中からちょうどおばあちゃんおじいちゃんがぞくぞくと降りてきて、建物の中に入って行くところだった。
私もそれに倣って入って行こうとしたのだが、ようく見ると、入り口のところには「admission £7」の文字が。ぐむむ。7£も支払って城に入るのはちょっと。。と元来の貧乏性が首をもたげてきて、せっかくこんなとこまで歩いてきたにもかかわらず、お城も遠くから眺めるのみ。しかし、その佇まいは、スコットランドっぽい曇天と相俟ってかなかなか雰囲気のある光景で見応えがありました。ちょっとした隙に顔を出すかもしれない、と、目を皿のようにして水面を眺めたりして、さざめく波間にネッシーの影を発見しりして、それなりに楽しめました。
ゆっくりと時間をかけて古城を眺めた後は、また同じだけの時間をかけて町の方へ戻ります。道中、やはり観光バスに追い抜かれ「くそぉ。バスで行って入場料払って観光してそんでバスで帰るだとぉ?この道楽者が」と僻み根性丸出しでお門違いな感情を抱いたというのは内緒の話。
そんな貧乏性な私でも、楽しみにしていたネス湖クルーズには是っ非参加せねばならんところ。町まで帰ると、まずは「The Original Loch Ness Monster Visitor Centre」向かいます。こちらの施設では、ネッシー関連の目撃情報や写真、展示などがあります。
(施設の前にどどーんといるネッシー)
(施設の中にもいるネッシー)
(荒ぶるネッシー)
(観光客に媚びるネッシー)
(お土産売り場にももちろんネッシー)
(そんなネッシーについて熱く語るおっちゃん)
とまぁいい具合にネッシーがゲシュタルト崩壊を起こしたところで、そろそろツアーに申し込みをしよう、と「The Original Loch Ness Monster Visitor Centre」の隣でツアー受付をしているクラフトショップへ。
行くと、ドアの貼り紙には「5分で戻るから待ってて」みたいな手書きの貼り紙がされていて、ドアがロックされている。受付終了の時間まで、もうあまり猶予が無かったので少しく心配だったのだが、案の定というべきか、時間になってもお店の人は帰ってこないで、結局その回のツアーにエントリーすることは出来なかった。戻ってきたおばちゃんに確認すると、次のツアーは2時間後の14時から、とのこと。うむむ、と思いつつもお昼時だしお腹でも満たして時間を潰すことに。
近くにあったカフェ&テイクアウェイ店のようなところで、ビーフバーガー&チップスを購入。このビーフバーガーっていうのは、いわゆるハンバーガーの体をなしているのだが、見事なまでに「パン+肉+パン」のみで、間にレタスやらタマネギやらはおろか、ケチャップやマスタードさえ挟まっていない。当時は、このお店がそうなのかと思ったけど、こちらでは「ビーフバーガー」といったらこれが一般的なよう。肉肉しく若干臭みもあってあまり美味しいものではなかったが、空腹を満たすのにはちょうど良く、お約束のようについてくるチップスをつまみながら、町をふらふら。
一番初めのロンドンで気付いたのだが、日本では道でものを食べながら歩くなんていうのはいい顔をされるものでは無いが、こちらではそんなことも無い。「メシがまずい」ことでも有名だけれど、人生に於ける食事の役割が、日本とは根本的に違うような印象はあった。単なるエネルギー源としての食事、という印象で「食事自体を楽しむ」というより「食事をするその場を楽しむ」という印象が強かった。そういう意味で、食べ歩きなどは効率的だし、パブが文字通り「パブリック・ハウス」としての役割を担う文化が形成されていったのではないかなぁ、としみじみ思う。
そんなこんなで、またツアーの受付を出来なくなってはたまらない。時刻の30分ほど前に再びクラフトショップを訪れ「もう受付できる?」と訊いてみる。
が、しかし、受付のおばちゃんはなにやら苦い顔で私に何かを言っている。曰く「いまんところ来てるのあなただけなのよ。一人じゃツアーは履行できないわ」とのこと。思わず普通に「えっ?」と口走る。2時間待ってツアーに参加できないなんて!俺の2時間を返せ!ってかネッシーに対するときめきを返せ!ってな気分でいると、おばちゃんも気の毒に思ったのか、なにやら電話でどこかに連絡してくれて、その上で「ドラムナドロケットホテルへ行け」という指令が私に下る。
どうやらそちらのツアーは運航されるようで、それを確認してくれていたらしい。感謝を述べてそちらのホテルに行くと、私以外にも数名のツアー客がいて、時間になったところでワゴン車に乗り込み湖畔を目指します。
(こちらの船でネス湖をぐるっと一周します)
やけに陽気な船長の運転でボート乗り場まで辿り着き、そのままワゴンから船に乗り換えて出航。ぱらついていた雨もなんとかやんでくれてよかった。
(海中の様子が分かるソナーなんかも備え付けられています。わくわく)
(ネッシーいるかなー?)
(途中、なにやら鳥がボートに舞い降りてきて同乗する一幕も)
(湖上から仰ぎ見るアーカート城)
ネッシーは見つからなかったし、私以外の客がみな男女のカップルだという事実に気付いてしまったけど、なかなか楽しめた。船長が陽気でテンション高かったし。
ツアーから戻ってきたら、もう一つのアトラクション「Loch Ness Exhibion Centre」の方へ。
こちらの施設では、日本語のオーディオガイドに従って6つの部屋を通過して行きながら「ホントにネッシーはいるの?」「いるとしたらどんな形?なにを食べてるの?」というような、より科学的・生物学的にシビアな観点でネッシー存在の可能性を追求するような施設でした。映像や演出も凝っていて楽しめたけど、最終的には「ネッシーの目撃談はいろいろあるし、その歴史も深いけど、どれも勘違いやペテンで科学的に説明がつくものなんだよね」みたいなアナウンスで、なんだかなーと。
とはいえ、怪奇とロマンの溢れたネス湖観光でした。