2012.05.15
翌朝。
フランシスはすっかり私のことを英語の分からないガイジンだと思っているようで、朝食のメニューも黙って差し出すと、選びなさい、とでもいう態度。
苦笑いをかみ殺しながらフルブレックファーストをいただき、食べ終わると後はもうすることもない。
ジョンに「時間ができたら蒸留所の見学させてね」と伝えると、なんやらかんやら言った後で「オーケー」と言われたので、おとなしく待っていることに。どうやら「あとで他にもツアー希望の客がくるから、来たら一緒にまわろう」みたいなことを言われていたような気がする。
幸い、下のラウンジではWi-Fiが通じたので、そこにパソコンを持ち出して、例の出発日のバスのスケジュールを確認。
ちょうどよくフランシスが「そこじゃまぶしいでしょ?こっちでやれば」と声をかけてくれたので、そのタイミングでパソコンの画面を見せながら「このバスに乗りたいんだよ」と翌朝8:20に出るバスを指し示して「だから明日は朝食摂ってる時間もないんだ」と説明。
フランシスは画面を確認すると納得したようで「時間無いことはないんじゃない?車で送るわよ」と言ってくれる。一瞬、アラプールまで車で送ってくれるのかな?と都合のいいことを考えましたが「どこまで?」と訊ねると、当然のように「バス停まで」と言われてしまい、結局時間はあまりない。「それだと朝食は何時になるかな?」と問うと「そーねぇ…。7時…45分で」ということで、明日の朝の予定が決まる。
なんだかんだで一番不安だったバスのタイムテーブルも間違いではなかったみたいだし、これで一安心。蒸留所ツアーの時間までゆっくりと待ちます。
(小高い丘にあるホテルからの眺め。入り江を見下ろす景色は、絵はがきにも使えそうなほど)
(視点を反転させてみると、ご覧のような荒涼とした景色が広がる)
(私がずっとパソコンをいじっていたホテル内のレストラン)
(上からいろんな種類のジャグがぶら下がっている)
(片隅にはスチル型の暖炉(?)も)
私がぼけーっとしている間も、ジョンはあっちからこっちに樽を運んだり急がしそう。
樽と言っても今まで見たような樽とはモノが違って、簡単に両手で抱えられるくらいの小さなモノで、とてもそれで熟成が行われているとは思えないようなサイズ。よくバーやなんかでカウンターの端っこにおいてあるようなシロモノと同じようなサイズだったのだが、あとで訊ねたら「このサイズで熟成させている」とのこと。蒸留所を見せてもらう前に、期待が膨らみます。
そうこうしていると、今度はフランシスがカウンターの仲でなにやら作業をしている。何をしているのかな、と覗き込むとなんとボトリング作業をしているじゃありませんか!
100mlの小さなボトルをずらっと並べると、そのボトルに一枚一枚ラベルを手作業で貼っている所。
(こんなボトルに中身を詰めて…)
(こんなシールを一枚一枚切り取って貼って…)
(完成!)
(裏にはこのように蒸留日とボトリング日、度数と熟成に使用した樽が手書きで書かれている。左から順にデメラララム、スパイスドラム、メルロー、ヘネス(シェリー)の順。メルローのピンク色が鮮やか。熟成期間は最短4週間から、長くても8ヶ月程度。樽のユニークさもあるがその短い期間でここまで見た目にも変化が起きるのはとても面白い)
(カウンターの中はご覧の通り。ボトルを入れる筒もある)
(一見ディスプレイ用に見える樽は、正真正銘、熟成庫から持ってきたそのままのもの。お客さんには直接樽から注いで提供する。面白いのが、各樽に手書きのメモがセロテープで貼られていること)
まだ見ぬ蒸留所にどんどん期待は膨らんでいきます。ここまでの情報でも、ここが従来の蒸留所とは比べ物にならないくらいヘンテコな蒸留所だということは理解しました。
(こちらは元々ジョンが集めたボトルを出すウイスキーバーとして有名だったホテル。蒸留所ができる2004年までも、ウイスキーラバーの注目するホテルだった。玄関には「WHISKY BAR OF THE YEAR 2001」の賞状が誇らしげに飾られていた)
(こちらはコレクションの棚だろうか。エレガンスをはじめ、グレンモーレンジのボトルが並んでいた。自分の所のボトルは下段に…)
(ロッホユー蒸留所のツアーを知らせるフライヤーもしっかり置いてあった)
さて、そんなこんなでようやく、待ちに待ったツアー客様のご来店。ようやく一緒に見学が開始です。
というわけで、引っ張って申し訳ないですが次回!遂に密造酒蒸留所の内部に潜入です!
#Loch Ewe