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109. タリバーディン / Tullibardine

2012.06.09

 ディーンストン蒸留所の見学をせわしなく切り上げた私は、一度スターリングへとんぼ返り。違う路線のバスに乗って、慌ただしくブラックフォードへ向かいます。

 目指すはタリバーディン蒸留所。スターリングからはバスで30分強といった場所に位置しています。
 ディーンストンで慌てて飲んだ試飲の一杯が効いたのか、バスの揺れに合わせて船を漕いでいるとあっという間に到着。運転手さんに「ついたよー!」と起こされます。

 ブラックフォードという町自体はとても小さな町。サイズ感的にはピトロッホリーと同じくらいの印象です。
 町の西端にあるバス停に降り、眠い眼をこすりながらふらふら歩いていると、右手側に現れるのが、この小さな町にはそぐわないくらい巨大なショッピングモールです。

(ガラス張りでシャレた印象もあるショッピングモール。巨大な駐車場も完備されている)

 田舎の町に随分と不釣り合いなものがあるもんだと、ともすれば失礼な感想を抱きつつも、私はそのショッピングモールの隅っこにある建物を目指します。

(タリバーディン蒸留所は、そのショッピングモールの端っこにあります)

(きれいなショッピングモールの印象と比べて、どことなく雑然とした薄汚さがいい感じです)

(ツアーは、併設されたカフェ1488内で受け付けているそう)

(中はこんな感じ。奥にはカフェスペースもある)

 随分と小洒落た雰囲気のショッピングモールやカフェに対し、なにやら薄ぼんやりとした蒸留所の佇まいに、妙に心地よい不協和を感じつつも受付を済ませ、開始時間まで折角なのでウインドウショッピングとしけこみます。

(ショップにはお酒はもちろん)

(ブラックプディングなどの食料品。さらには雑貨、衣料品に至るまでなんでも揃っているような印象だった)

 しばらくショッピングモール内を探検して時間を潰すと、定刻通りに蒸留所ツアーの開始です。

(正面から見ると様になっている。写真の手前側には川が流れていた)

 ツアーといっても、マッシュタンからスチルまでの設備が全てワンフロアにぎゅっと収められたこじんまりとしたもので、製造棟に入るとまず目の前を覆ったのがこちらのマッシュタン。

(入り口を塞ぐような場所に設置されているマッシュタン。上部には赤いグリストホッパーがある)

(マッシュタン内部の撹拌様式も蒸留所によって様々だが、タリバーディンではご覧のようなタイプ)

 大きな(或いは部屋の小ささに比して大きな)マッシュタンを避けるようにして右手方向へ進むと、一段高くなったところには計9槽のウォッシュバックが並びます。

(全てステンレス製)

(狭いために全景を収めるのは無理)

(ぶくぶくぶくー)

 そして、ウォッシュバックの並んだ高台からぐるりと振り返って右手側に並んでいるのが4基のスチルです。

(左手のストレートヘッド型の2基が初留釜、右手のランタンヘッド型の2基が再留釜です)

(デルム・エヴァンス設計によるスチル。手元の『シングルモルトウイスキー大全』によると「コンデンサーの前にプレヒート用の熱交換器がついている」とのことだが、もう取り外されたのだろうか。。?本来、その熱交換器があったと思しきラインアームの箇所には、継ぎ目めいた跡も認められるし。。)

(スピリットスチルはやや上向きに伸びたラインアームが特徴。奥にある巨大なタンクは初留の際に出た蒸留液を貯めるウォッシュ・チャージャーです)

(各設備の位置関係はご覧の通り。入り口から見て手前側にマッシュタンがどどんと鎮座しており、右手側にウォッシュバック、左手側にスチルが並んでいる。)

 狭い建物の中にけっこうな規模の設備を放り込んでいる印象で、密度の濃い空間。ぐるりと見渡すだけで製造工程を追うことが出来るのは、とても楽しかったです。

 満足のツアーを終えて蒸留所を後に。すでに時刻は16時半を回っており、残念ながらここブラックフォードから宿のあるスターリングまでのバスの最終はすでに出てしまっている。うむむ。と思いつつも、隣町のオーキテラーダーからならまだバスは出ているはず、と小一時間かけてそちらの町へ向かうのでした。

(おまけ。ブラックフォードの東端にあったハイランドスプリング(ミネラルウォーター)の工場。時間があったらこちらもゆっくり見学したかったのだが、今度のバスを逃したら、それこそスターリングまで帰れなくなってしまう危険性があったので横目で眺める程度。かなり大規模な印象でした)

#Tullibardine

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