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062. グレングラッソー / Glenglassaugh

2012.05.11

 この日はエルギンのB&Bに一泊。前回にも説明したが、B&Bとは Bed & Breakfast の略で、つまりは朝食とベッドを提供しますよ、というスタイルの宿のこと。だが、エルギンで私がお世話になったB&Bは Bed Only での宿泊も可能で、朝食がつかない分、料金も幾らか安くなる。これはいい、とベッドのみの予約をしたのだが「キッチンにあるシリアルは好きに食べていいからね」ということで、かなり得をした気分。ゆっくりとシリアルを食べて、この日の予定をおさらいします。

 この日、まず訪れる予定のグレングラッソー蒸留所(グレングラッサとも)の、ツアーは完全予約制。私もメールで予約を申し込んだのですが、当初の希望日が土曜だったこともあって、何回かメールをやり取りして、結局最後のメールが来たのが、今朝のこと。それによると、今日のツアーは10時からの一回のみしかやっていないとのこと。
 さぁ、シリアルを呑気に食べている場合ではありません。急いで支度して、エルギンのバスステーションから、蒸留所のあるサンデンドという場所を目指します。

 最初、バスの運転手さんに「ポートソイまで」と言ったら「ポートソイのどこだい?」と。「グレングラッソー蒸留所に行きたいんだ」と答えると「蒸留所ならポートソイじゃないぜ」と、正しいバスストップまでの切符をくれた。
 話は少し変わりますが、今回、この記事を書くために、またグレングラッソーのオフィシャルHP(http://www.glenglassaugh.com/)を覗いてみたら、現在はツアーの種類も豊富になって、予約無しでも行けるようになっているみたいです。また、バスストップ名も正式に「Glenglassaugh Distillery」になっているみたいなので、バスで行く際はそのまま運転手さんに伝えればいいかと思います。

 さて。なんとかエルギンからバスに飛び乗ったはいいですが、ここからグレングラッソーまでは1時間強の道程。タイムテーブル通りに到着したとしても(ただでさえ遅れるのがあたり前なのに!)、サンデンドのバス停につくのは10時18分の予定で、ツアーには間に合わない。
 しかし、まぁ、とにかく言ったらなんとかしてツアーに合流させてもらおう。私だけしかツアー客がいなかったら、それはそれできっと多少の遅刻には寛大なはずだ。お国柄的に。など、希望的観測をしながらも、奇跡的(?)にバスは定刻通りにサンデンドに到着。ダッシュします。


(矢印に従って小走りでオフィスを探します)

 急いで所内を駆け回っていると、人の姿を発見したので、近づいていき「すみません、オフィスってどこですか?」と訊ねる。すると、職員のお姉さん。「もしかしてツアーに参加したいの?」と、非常に話が早いリアクションをしてくれて、私が頷くと「フォロミー」と案内してくれる。最初に入った建物がスチルハウスで、目の前には立派なスチルが2基並んでいた。


(左右から中心にあるスピリットセーフに向かうように設置されたスチルは、さながら風神・雷神像のよう。妙に厳かな雰囲気が漂っていました)


(向かって左手が初留釜。多分。。通常、スチルは蓋の所がカラーになっていて初留が赤、再留が青と一目で分かるようになっているのだが、こちらのスチルは、長年の休止のためか色がくすんで判別できなくなっていた)


(右手側が再留。サイズ的にも、多分。。)


(そして、真ん中にはスピリットセーフが。ロゴ入りの台もカッコいい)


(滔々とニューポット(or ローワイン)が流れております)

 てっきり、私をここまで連れてきてくれたお姉ちゃんが、そのままツアーをしてくれるのかと思いきやそうではなく、お姉ちゃんは先行したツアー隊を探している様子。その間、私はゆっくりスチルハウスを堪能しました。


(スチルハウスの片隅にはこんなものも)


(上から見るとこんな感じ)

 ようやく先行のツアー隊をお姉ちゃんが発見してくれて、私もそこに合流。とは言っても、ツアー客はドイツでウイスキーショップをやっているというご夫妻の一組だけで、私も加わってわずか3名のツアーである。


(マッシュタンとグリストホッパー)


(ウォッシュバックはオレゴンパイン製のが4基にステンレスが2基。木製とステンレス製の両方を使用しているのは珍しい)


(敷地内には空き樽がごろごろ転がっていた)


(こちらはフィリングストア。どんどんニューポットが樽詰めされていきます)


(ピーテッド麦芽を使用したモルトも仕込んでいるとのこと)


(そして圧巻は、こちらのウェアハウス!この蒸留所は、個人向けに「オクタブ」と呼ばれる小樽を販売しており、購入された樽は、こうしてまとめて眠りにつきます。種類は、通常のモルトを使用したものと、ピーテッド麦芽を使用したものとの2種類があって、料金はどちらも500£と、決して手が届かない値段ではない。買えばよかったなー)


(ずらずらずらーっと。一緒にまわっていたドイツ人ご夫妻の奥さんが、ずーっと旦那さんに「買おうよー。ねー、買ってよー」と言っていたのが面白かった)

 そして最後は、テイスティングルームで、当時販売したてのリバイバル3年を頂く。まだ、ニューポット特有の甘みがかなり強く感じられて、今後の熟成が楽しみだった。


(テイスティングルームに飾られていた様々なグレングラッソー)


(こちらはサンプル的な意味で、様々なグレングラッソー)

 しばらく楽しく、復活したての蒸留所の今後の展望を聞かせていただいたりしていたのだが、そろそろ次のバスの時間が迫っている。「バスの時間だ」と言って帰ろうとするのだが、その前にツアー代金を払っていないことに気付いたので「ツアー代はいくら?」と訊ねたら「あなたは途中からの参加だったから5£でいいわ」と、通常7.5£のところを少しおまけしてくれた。遅刻してきてツアーに参加させてくれただけでもありがたかったのに、この神対応である。お礼を言って、バス停へと急ぎます。

#Glenglassaugh

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