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059. クラガンモア / Cragganmore

2012.05.10

 朝。降りしきる雨の中、二晩泊まった宿をチェックアウトして出ると、まずはデルナッソーのバス停まで歩いて行く。
 今日は、こちらのバス停を9:18に出るバスに乗り、朝一でクロムデールの町まで行き、その町外れにあるバルミニック蒸留所を訪問してスタートする予定。こちらのバスの本数も、この時間のを逃したらもう次は無いくらいに本数が少ないので、朝一ということはあっても、なんとしてでもこちらのバスに乗らなくてはならなかったのだ。

 順調に、宿から20分足らずほど歩いた場所にあるデルナッソーのバス停に到着したのは、バス到着時刻の15分ほど前。さすがに余裕を持って待っていられると思ったのだが、これがそうでもなく、というのも私はバス停に到着するや否や当惑。
 というのも、バス停の位置がどうにも妙で、本道から少し逸れた脇道にわざわざバスストップのタイムテーブルなんかが出ている。こっちの脇道に一旦入ったら、もう一度本道に出るためにわざわざUターン(道幅が狭いのでほぼ I ターンだが)しなくてはならないつくりになっていて、どうもおかしいな。これは、本道で待っていた方がいいんじゃないか。いや、しかしバス停は確かにこちらの脇道に立っている。一旦、こちらの道に入ってから折り返すのではないか。今まで、バスが乗客を乗せてままバッグしたり折り返したりしているシーンには何度か立ち会ったことがある。きっと今回のこれも、そういったルートの一つに違いない。と、最終的にはバス停の位置を信用して、かたくなにバス停の位置で待つことにした私。
 
 そして、定刻の9:18が過ぎた頃。。目の前の本道を、脇道を一瞥もせずに通過していくバスの後ろ姿を、呆然と見送る私の姿が。

 この時の「あー、やってもうたー」感はハンパじゃなかった。一瞬で色々なことを諦めた。そりゃそうだよ。ここにバス停立ってようが、ここどうみても脇道だもん。本道で待ってるのが当然でしょう。じゃああのバス停はなんなんだよクソッタレ。まぎらわしいじゃねぇか。
 と、色々頭の中をぐるぐるさせながら、早くも今日一日の予定を組み替えねばならぬ。昨日のヒッチハイク成功例もあることだし、今からヒッチハイクでクロムデールを目指して。。いや、その前に、すぐそこにあるクラガンモアが10時オープンだから、先にそっちのツアーを済ませてから、バルミニックに向かった方がいいか。バルミニックはノービジターで見せてくれるかどうかも分からないし、確実性のあるクラガンモアを先に済ませとくのが賢明だな。うん。

 ということで、10時のオープンと同時にクラガンモア蒸留所に突撃。今回泊まっていた宿の真裏にあります。


(ビジターセンターはこちら)

 雨の中、オープンの10時を待ってビジターセンターに突撃。中の職員さんも驚いた様子だったので、さすがにオープンと同時に蒸留所にやってくるような酔狂な客も少ないのかな、と思いつつツアーの受付をしようとしたら、なんと最初のツアーは11時からである、というではないか。うむむ、困った。さすがに1時間もここで時間を潰すのはなぁ、と思い、ならばやはり先にバルメニックに向かおう、と「シーユーレイター」と言い残して、一度ビジターセンターを出る。

 しかし、強い雨である。再び幹線道路までやってきて、道路沿いを歩きながら、車が来ると親指を立てる。
 が、1、2度やっただけで完全に心が折れてしまい、親指を立てる気力が無くなってしまう。
 もうあかん。昨日が劇的についとっただけや。これはおとなしくバルミニック諦めて、クラガンモアのツアーに集中して、いや、一旦いまでてきたばかりの宿に戻って、おかみさんにお願いしてタクシーを呼んでもらって、それでもってクロムデールまで行けばいいんちゃうか?
 と、貧乏旅行にあるまじきプランまで考えてしまう有様で、すっかり精神的に弱ってしまっていた。
 結局、そのままクラガンモアのビジターセンターに戻っていき「ここでツアーまで待たせてもらっていいかな」と濡れ鼠状態の身体でお願いすることに。受付のお姉さん(可愛い)も何かを言っているのだが、あまり何を言っているかは分からず、とにかく「ビジー」だってことだけは分かったのだが、ここで待つぶんには構わないらしい。はて、なにが「ビジー」なのだろうと思いながらしばらく時を過ごしていると、ほどなく大人数のツアー客がやってくる。

 狭いビジターセンターは溢れんばかりである。ようするに、この時間に団体さんの予約が入っていたので「ビジー」と言っていたのだな、という思いに至り、団体さんにもみくちゃにされながら過ごす。
 結局、団体さんは蒸留所ツアーは行わず、ビジターセンター内のショップを眺めて、お土産を購入して、そのままだだだっと30分ほどで帰っていく。
 蒸留所来て、中を見ないでお土産だけ買って、何が面白いんだ、など心の中で毒づいているのも、この団体さんのせいで11時の予定だった私のツアーが20分も押したから。まぁ、受付の女の子(可愛い)がすまなそうにしてくれたからいいか。

 そんな気分で、ようやくツアースタート。ガイドをしてくれたのは、受付の女の子(可愛い)ではなくて、職員のおばちゃんだった。文句は無い。


(所内の様子)

 こちらはディアジオさんの蒸留所なので、内部の撮影は例によってNG。見所はスチルハウスで、かなり狭い屋根の下に計4基のスチルが並んでいる。特筆すべきは、再留釜のてっぺんが平らになっている、いわゆる「T字シェイプ」と呼ばれるタイプであるということ。スチル自体も大きくはなく、かなりこぢんまりとしたスチルだったのですが、ツアー自体も、私がふんふん頷いていたら、わずか20分ほどで終了。なんともあっさりしたものでした。なんかなぁ。


(所内にはクーパレッジもあった)


(蒸留所全景。一帯が窪地になっているため、少し離れた上の方から見ると、人里離れた山間にあるひっそりと建つ蒸留所、といった赴き)

#Cragganmore

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