2012.05.14
エルギン最後の朝。ここの宿はとても居心地が良かった。シャワーは勢いよくしっかりと温水が出るし、シャンプーとボディソープ付きだし、トイレは清潔だし、なにより朝食にシリアルは食べ放題だったし。
おかみさんに挨拶してチェックアウト。4泊も滞在した割には殆ど会話することもなく、世話好きのスコッツの印象とは違ってあまり干渉しないおかみさんだったけど、それはそれで気楽で良かった。
久しぶりに大きなバックパックを背負って、まずはエルギンのバスステーションへ。そこから本日最初の目的地であるグレンバーギ蒸留所へ向かいます。
が、しかし。調べてもグレンバーギの辺りにバス停は無いらしく、よく分からない。運転手さんに聞けばいいか、と思っていたので、フォレス行き11番のバスに乗り込み「グレンバーギで降ろして欲しいんだけど」と言ってみるも、どうも要領を得ない。何か言い返されたのは分かるのだが、何を言っているのかは分からず、ぼんやりと「ダメ」っていうようなことだけな分かった。
グレンバーギ蒸留所は、エルギンからフォレスへと至る幹線道路A96号線沿いにある。フォレス行きのバスなら途中で降ろしてくれるだろう、と高を括っていたのだが「ダメ」と言われては仕方が無い。
横目でグレンバーギ蒸留所の煙突を眺めながら一旦フォレスまでいき、そこから今バスできた道をてくてくと逆行。1時間ほどかけて蒸留所に到着しました。
A96沿いとはいえ、例によって正確には「A96から一本奥まった場所」にあります。しかし、周りが気持ちのよい平原となっているのでA96からでも蒸留所の姿は確認できます。
(私が入っていったのはどうやら裏口だったようで、ちょっとした木々が生い茂る通りになっていた。なぜか蒸留所内に馬に乗った淑女がいて、こちらの裏口から去っていく。狭い道だったので馬のでかい体躯にビビりながらも挨拶をして通りすがる)
(裏口から入って真っ先に目に飛び込んでくるのは、ずらりと並んだウェアハウス。黒い壁面に赤い窓や扉が可愛かった)
(両サイドにずらーっと並んでいる)
正面玄関の方へ出ようと、所内をふらふらします。
(ポットエイルその他のタンクたち)
正面へ出ると同時にガラス張りのスチルハウスを発見。
(ガラス越しにどっしりとしたスチルの姿が確認できる)
こちらの蒸留所は初留、再留各3基ずつの計6基。蒸留過程で特筆すべきことは2つ。
まずは初留釜の加熱方式がエクスターナルヒーティングという特殊な方法で行われているということ。この手法は発酵の終わったもろみ(ウォッシュ)を、まず温めてからスチルの中に入れるという大変変わった手法です。
そして2つ目は、かつてローモンドスチルが使われていたことがあるということ。これは、円筒形をした連続式蒸留釜とにたような構造をしたスチルで、モルト蒸留所に導入された例は、こちらの蒸留所を含めて数えるほどしか無い。現在ではローモンドスチルは取り外されている。
(角度を変えてもう一枚。天気が良すぎてあまり見えない…)
外から見ることはできたが、せっかくなので中も見学できないかなーとオフィスへ乗り込みます。
(オフィスの壁にはグレンバーギのロゴがデザインされていた)
(中に入るとバランタインのボトルがお出迎え。こちらの蒸留所もいわゆる「バランタイン魔法の7柱」の一つです)
奥へと続くドアは閉ざされており「御用の方はチャイムを鳴らしてね」の貼り紙がされている。これに臆してしまって、どうもチャイムを押せない。突然人が現れたらそこから自然に交渉できるのだが、わざわざ呼びだして訊ねるとなるとかなりハードルが高い。英語喋れないし。
そんなことを言いながらしばらくふらふら。ドアの向こうを覗き込んでみたり、監視カメラを探してみたりと不審者の動きをしていたのだが、朝早いせいもあってか誰も出てこない。しかたなく諦めて、オフィスを後にします。
(蒸留棟全景。壁にもバランタインのロゴが刻まれている。こちらの建物は2004年に改修されたばかりの新しい建物)
なんとなく見学を終えて、再び今きた道を戻ってフォレスまで。スペイサイドは蒸留所が密集し過ぎていて、1日に5つも6つもまわっていたものだから、この辺りの蒸留所はとっても見学が雑になってしまっていた。今にして思えばもったいないことをした。
#Glenburgie