2012.05.11
グレンマレイのツアーで三杯もの試飲が出てきたもので、すっかり酔っぱらってしまってふらふら。思えばこの日は、朝一のバスでグレングラッソーに向かってから、インチガワー、グレンマレイと駆け足でまわってきたこともあり、ご飯を食べる時間もない。朝ご飯代わりに、シリアルとバナナを食べたきりで、後はウイスキーでエネルギー源を摂取しているような有様なので、酔いもかなりのもの。しかし、時間ぴったりで各蒸留所をまわれたので、まだ時間は15時半とか。もう一つまわっておこう、ということで、エルギンの南西にあるミルトンダフ蒸留所を目指します。
グレンマレイからは3マイル足らず、歩いて一時間ほどの道程です。
(ご覧のように緑の平原がずーっと続いている。奥の方に煙突の姿が見える)
(途中には、こんなスコットランドっぽい牛も)
ずーっと平原が続いているので、彼方にある煙突も遠くから確認できる。その煙突に向かって、ふらふらと鼻歌を歌いながら歩みを進めます。
(そしてミルトンダフ蒸留所に到着。ペルノ・リカール社の持つ蒸留所です)
(逆光で見えにくいけれど、正門の正面には貯水池と思しき池があった)
(敷地内にはスコットランド国旗とペルノ・リカール社のフラッグ、そしてペルノ・リカール社の本社があるフランスの国旗がはためいていた)
きれいな芝生が広がる敷地内を突っ切って、建物のある方へ向かいます。
(味のある建物。壁にはバランタインのロゴも飾られていた)
ご存知「バランタイン魔法の7柱」の一つである、こちらの蒸留所。その反面、シングルモルトとしてのリリースは少なく、どちらかというとマイナーな蒸留所です。
ノービジターなので、とりあえず誰かいないか所内を散策します。
(パゴダ屋根も、どことなく控えめなデザイン)
ふらふらしていると、裏手で洗車のようなことをしているお兄ちゃんを発見。にこやかに近づいていって声をかけると、洗車の手を止めて私の話を聞いてくれ「それならあっちへ行って〜」というような返事をしてくれる。
しかし、彼の英語が聞き取れずに私の頭には「???」が浮かぶばかり。すると、そんな私の様子をみてお兄ちゃん。わざわざ作業の手を中断して「こっちきな」と案内してくれる。
彼がスチルハウスの前まで案内してくれ、さらには閉じきっているスチルハウスのドアの脇にあるインターフォンを鳴らして、中にいたスチルマンを呼び出してくれ事情を説明してくれる。「なんか、中を見学したいみたいだよ」みたいなことを言ってくれたようで、出てきたスチルマンのおっちゃんも「見学はやってないぞ」とか言いつつも中へ招き入れてくれ案内してくれた。
ミルルームからツアーをしてくれて、かなり丁寧に教えてくれた。蒸留所によっては観光客を受け入れている所もあり、観光の一環としてツアーを行っている場所もあるのだが、そういったツアーよりも、こうして現場で働いているおっちゃんに案内してもらった方が、分かりやすいし分からない所も聞きやすい。ノービジター蒸留所ゆえの特権だろう。しかし「写真はダメ」と言われたので、写真はこちらの一枚のみ。
(どっしりとしたストレートヘッド型のスチル。かつてはローモンド型のスチルも設置されており「モストウィー」という名でボトリングされていたことも)
ツアーを終えておっちゃんと世間話。「ウイスキーは好きか?」みたいな話から「どこのモルトが一番好きなんだ?」という質問に。この手の質問はホントによくあるのだが、未だにどう答えるのが正解なのか探り探り。ここの蒸留所のモルトを上げるのはわざとらしいよなぁ、とりあえずここはシーバスだから、ディアジオ系の蒸留所を挙げるのだけは避けよう、と思い、結局アイランズ系だったらあまり角立たないんじゃないだろうか、と余計なことばかり考えて「ハイランドパークとかタリスカーが好きかな」みたいに答えたら、おっちゃんは何でも無いかのように「俺はダルウィニーが好きだな」と。そこはミルトンダフちゃうんかい、てかモロ、ディアジオさんじゃないですか、ツッコミを心の中に留めつつ、楽しいツアーは終了。
(所内を流れる小川。その名もズバリ「ブラック・バーン」)
(立派な水車もあった)
蒸留所を出て、エルギンの町までてくてく歩いて帰っていると、後ろからトラックが近づいてきて「町までだろ?」みたいな感じで乗せてくれる。
農家をやっているという彼はとても雰囲気のいいおっちゃん。俺の拙い英語にもしっかりと返事をしてくれてとても嬉しかった。「ごめんね、俺は英語が得意じゃなくて」と謝ると「いやいや、そんなことないよ。俺なんか日本語一言も喋れないぜ」と笑ってくれた。
町に到着して「そこのラウンドアバウトで降ろすぜ」と降ろしてくれて「サンキュー、バーイ!アリガト、サヨナラー!」と言って今日の予定は終了。
全て予定がぴったりあって、うまくまわれて、とても満足度の高い一日でした。
(そして、最後はパブで晩ご飯。ラザーニャ)
#Miltonduff