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045. カードゥ / Cardhu

2012.05.07

 クーパレッジを後にした私が今度向かうはカードゥ蒸留所。自然と急ぎ足になるのも道理で、なぜならこの日はこの旅で一日にまわる蒸留所数最多の7カ所(同動線上にある蒸留所も含めれば、なんと10カ所!)もまわる予定だからである。なにも一日にこんなに詰め込まないでも、とお思いになるかと存じますが、如何せん公共交通機関の乏しいこの地域では、行くなら一気にまわるのが一番の得策。まぁ、言うは易し、まずはこちらの地図をご覧頂きたい。

 見づらいかもしれないが、これが今日まわる予定の蒸留所の位置関係。東西に長いが、ルートさえ間違えなければ、ほぼ一筆書きでまわれる位置関係にあります。ぜひこの地図を参考にしながら、これからの記事はお楽しみ頂きたい。

 地図右上のクーパレッジを出た私は、B9102沿いにひたすら西進。目指すはカードゥ蒸留所である。

 グーグルマップ先生によるとここまでの道程は約8マイル。徒歩で行くにはかなり遠いのだが、残念ながらここに至るまでの公共交通機関はない。ちなみに、前日、ハイランダーインのユミさんとお話しした際も「明日はカードゥ行くつもりなんですよー」と言ったら「歩きじゃ結構厳しいですよー。一回チャリで行ったことがあるけど、それでもなかなか厳しかったですよー」とのお言葉を頂いた。厳しいのは分かるが、今までは9マイル離れたノックドゥまで歩いた経験もあったので、大丈夫だろう、とてくてく。

 しばらく歩くのだが、マッカランの看板を超えた辺りから、むくむくとわき上がってくるヒッチハイクの必要性。幸い一本道だし、つかまえやすいかとは思うのだが、やはりおそるおそる親指を立てたところで、乗せてくれる人はいない。中には運転席からすまなそうに手を振ってくれる人もいるのだが、なかなかうまくいかないものである。

 なにがいけないのかなー、笑顔は大切だよなー、タイミングかなー、などぶつくさ言いながら歩くこと1時間半。かなりの距離を歩いてきたつもりだが、如何せんスタート地点とゴール地点しか分からないために、自分がいまどの辺りまで来ているのかが分からない。そろそろかなーなんて思いながら歩いていると、親指を立てていたわけでもないのに後ろからきた車が止まってくれる。
 
 おばちゃんが「どこまで行くの?」と声をかけてくれて乗せてくれることに。「ハイランダーインに泊まってるんだ」と言うと「あそこには、なんていったか日本人が働いているわよね?」と。「私もあったことあるけど、彼はいい人ね」と言ってくれたので、彼を始め先人が日本人の評価を上げてくれたおかげで、私もその恩恵に授かっているのだな、というような思いを抱いて、皆さんには感謝しきり。私も、迷惑ばかりかけていないで、きちんとしなくてはという思いがつのりました。

 かなりの距離を歩いて来たつもりでいたが、おばちゃんに乗っけてもらってからも車で10分以上は走っていたように思う。蒸留所の入り口まで乗っけていってくれてお礼を言って別れる。おばちゃんが乗せていってくれたおかげで13時のツアーに間に合うことが出来た。


(敷地内の様子。ウェアハウスは黒く染み、その奥の生産棟は白いままで、その対比がよかった)

 久しぶりのディアジオさん系の蒸留所。例のフリークーポンをみせて、ただでツアーをまわれるのはいいのだが、残念ながら中の撮影はNG。


(ビジターセンターの壁には控えめに名前のロゴが)


(キルンもちゃんとある。赤いドアの上にある紋章はエリザベス女王御用達の証)

 この時間のツアーは私一人だったよう。というか、あまりツアーの人気はないのか、私が受付した時も「ちょっとまってて」みたいに言った後に電話で連絡して、事務所にいたおばちゃんを呼んだりしていた。

 ツアーはまず、どこでもあるウイスキー造りの説明からスタート。ここで面白かったのはいろいろなアロマのサンプルを嗅がせてくれたこと。壁に飾られたアロマホイールを眺めながら「これはなんの香りがする?」と次々、サンプルを嗅がせてくれ、私が「オレンジの香りがする」と答えると「残念、これはドライフルーツの香りよ」「これはキャラメル?」「いいえ、これはトッフィーの香り。まぁ香りというのは主観的なものだから、あなたにとってはキャラメルなのかもね」みたいな感じで、なんとなくいなされながらも楽しかった。

 ぐるーっと一周まわって、ガラス越しにウェアハウスが見れる部屋では蒸留所の歴史もお勉強。「女性的」と評されることも多いモルトだが、その歴史も女系の蒸留所であるらしく興味深かった。そういえば、スチルの形もするーんとしたなだらかなストレート型で、女性的なシェイプと言えないこともなかった。

 最後の試飲はカスクを頂く。他にも、日本ではお目にかかることの出来ない15年や18年といったオフィシャルボトルもあった。


(逆光で分かりづらいが、左から12年、15年、18年、カスク)

 試飲も終えて蒸留所を後に。これからは遂に徒歩による怒濤の蒸留所巡りがスタートします。

#Cardhu

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