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004. アバフェルディ/ Aberfeldy

2012.04.13

 今日は、ピトロッホリーからバスで40分ほどの距離にあるアバフェルディに向かいます。

 まずはピトロッホリーから24番のバスでバリンルイグという場所まで移動し、そこで23番のバスに乗り換えてアバフェルディまで行きます。こちらのバスはアバフェルディが終着駅となっているので、いつものように降りるタイミングを計ってそわそわする必要もあまりない。ででーんと構えていたはいいのですが、時間が経つに連れどんどん乗客は少なくなっていく。さすがにそわそわしていると、遂に最後の一人も降りてしまう。さすがにびびって、運転手さんのもとへ行き「Is this last stop ?」と訊ねる。が、なに言ってんだこいつ、みたいなリアクション。うむむ、と思いつつ「アバフェルディに行きたいんだ」と伝えると「アバフェルディのどこだよ。ここらへんは全部アバフェルディだぜ」と。全く持ってその通りだ、と思いながらも「ディスティラリーに」と言うと「OK。じゃあ乗ってな」と再びバスを走らせ始める。どうやら、もう蒸留所は通り過ぎてしまっていたらしく、わざわざいま来た道を戻って蒸留所の前まで乗せて行ってくれた。日本じゃあり得ないなー、と思いつつも「サンキュー ベリーマッチ」の定型句を使って降車。降りる前には「帰りはここで待ってればバス来るからな。ちゃんと手を振るんだぞ」みたいに教えてくれて、ホント旅行者に優しいな、と感じた。
 
(蒸留所の正面)


(壁には「JHON DEWAR & SONS LTD」の文字が)

 ブレンデッドスコッチ「デュワーズ」のホーム蒸留所としてのカラーが濃いようで、施設名も「Dewar's World Visitor Centre」だった。
 

(入り口付近にあった樽のオブジェ)
 
(開けっ放しのボイラーハウス。スチルをかたどった門飾りがかわいい)

 まずはデュワーズの施設を見学。ここにも日本語のオーディオガイドがあったので、それを聞きながらゆっくりまわる。平日だったので、お客さんも殆どいないようだ。ウイスキー製造の手順から、ジョン・デュワーさんの生い立ちから、ウイスキー造りを始め、いかにしてこのような会社を創り上げてきたか、という歴史を見学。施設内には、いままで出したデュワーズのボトルが、初代からずらーっと並べてあって歴史を感じた。他にも、歴代の広告だったりTVCMだったりの展示もあって、どのようにしてウイスキーが現在のように全世界で飲まれるに至ったか、という片鱗を見れた気がした。


(見たことも無いような年季の入ったボトルも)

 なかでも面白かったのが、ブレンデッド開発当時のブレンドルームを再現したスペース。ずらーっとボトルが並ぶ様は、それだけでも圧巻。こんなにもたくさんのボトルの中から、それぞれの個性を利きわけて全く新しい「ブレンデッド」というボトルにするという作業は、まさしく神業というより他ないだろう。中身は空だったけど、ボトルには一枚一枚ラベルも貼ってあって、これはどこのモルト蒸留所、これはあっちのグレーン蒸留所、とそれを見ているだけでも面白かった。部屋中央にはタッチパネル式のゲームがあって、6地域+グレーンの7種のボトルをブレンドして、完璧なブレンデッドを作る、という内容。ヒントを見ると「フローラルが足りない」だとか「ちょっとスモーキーすぎる」だとかコメントしてくれて、これも面白かった。


(ブレンドルームを再現したという部屋。ボトル数は圧巻!)

 日本だとシングルモルトがもてはやされがちだけど、こちらでは「ブレンデッドこそ芸術品!」という自信のようなものを感じた。

 見学を終えて一杯試飲。アバフェルディのモルトをいただき、席でぽけーっとしていると「蒸留所も見る?」と訊いてくる。こちらでは、デュワーズの施設だけで、蒸留所内は見れないのかと思っていたので、喜び勇んで「イエース」と答える。「人が集まったら行くからちょっと待っててね」というようなことを言われたのでおとなしくしていると、しばらくして5名の団体さんがやって来て、受付を済ませた辺りで「それじゃ行きましょうか」となる。
 

(施設内のショップの様子)


(立派なキルンと煙突)

 残念ながら、ここの蒸留所も内部での撮影はNG。大きなストレートネック型の初留釜の窓から、ぼこぼこと沸いている中身が見えたのが印象的だった。スチルハウス内部はとても暑い!


(仕方が無いので外からスチルハウスを。手前の看板には「関係者以外立ち入り禁止」の文字が)


(表にあった巨大なポットエイル・タンク。ドラフと混ぜて家畜飼料にでもするのですかね)

 ツアーを終えて、また最後の試飲。もう一杯飲めてラッキー♪と思いつつこんどはデュワーズの12年をいただく。飲み終わる頃に、ツアースタッフの女性が「カスクも飲む人は新しいグラスをどうぞ」と。これは!と思いながら素早くグラスを手にしようとしたら「あんたはダメ!」みたいに怒られて、どうやらツアーの種類で、カスクも試飲できるコースもあったご様子。一番安いツアーの私にカスクを飲む資格はないわけか、と即座に理解してしょぼんとしていると、一緒にまわっていたドイツ人のご夫妻が「よかったらちょっと飲んでみる?」と自分のグラスをこちらに渡してくれる。もう、目ぇキラッキラさせながらいただく。嬉しかったなー。


(ビジターセンターの片隅に無造作に転がる樽。カスクの試飲は、この中から直接取り出して飲めた)

 いい気分で蒸留所を後にし、バスを掴まえてピトロッホリーまで帰る。酔っていたのか、例の「着いたら教えてね!」フレーズを言って、おもわず落睡してしまう。運転手さんが「おーい!バリンルイグだぞ!へーい!」みたいに知らせてくれたので目が覚めた。ホントに人の親切を感じざるを得ない。


(蒸留所の目の前にはテイ川が流れている。これは「帰りはここで待ってな」と行きのバスで告げられたバス停(?))

#Aberfeldy

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