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トバモリー→オーバンへ

2012.05.23

 気付くと、今日の日付が、一年前のこの旅行をしていたこのブログの日付とほぼ同じになってきている。追いつかれないようにさっさと書かなくては!と思いつつも、まぁ次回の記事をあげるまでには追い越されているんだろうなぁ、とさっさと諦めて、今日はマル島からオーバンを目指します。

 トバモリーからはまずはバスでマル島のクレイグニュアという場所を目指します。トバモリー蒸留所のツアー最後の試飲を楽しみながらもバスの時間を気にする。しかし、蒸留所のすぐ前がバスステーションだったので、わりと余裕をもって時間ギリギリまで飲んでいることが出来た。
 試飲を済ませ、さてそろそろ時間だと一緒にツアーをまわっていたアメリカンなご夫妻に声をかけて蒸留所を出る。目的のバス番号は495番。あそこのバスステーションから出るはずだからーっとそっちに目をやろうとすると、そんな私の前を一台のバスが通り過ぎていく。
 ん??!と急いでバスを追って後部に表示されていたバス番号を確認すると、なんと495!!あららららー。遠ざかっていくバスを見送りながら、改めてバスのタイムテーブルを確認すると、どうやら2分勘違いしていたらしく、確かにその時間は過ぎていた。いっつもルーズなのに、こういうときだけ正確なのである。仕方がないので、次のバスがくるまでの時間を、ビールを飲みながら過ごすことにしました。


(「ISLE OF MULL」の名がついているカスクエールが三種類)

 二杯の試飲と一杯のビールでいい感じに酔ってきたころにバスも到着。クレイグニュアまでは40分ほどの道程です。

 クレイグニュアのバスステーションはフェリー乗り場の目の前。そのままフェリーに乗り込んでも良かったのですが、いい天気だし、一本か二本遅らせて、この辺りを散策してからにすることに。
 なんでも、地球の歩き方先生によるとこの辺りには「ミニチュア蒸気機関車」が走る路線があるらしく、クレイグニュアから片道20分ほどの列車の旅。大人が身体を縮こませないと乗れないような可愛らしい列車で、到着した先にはトローセル城というお城があるというのだ。これは少しく楽しそうである。ここらでいっぺん童心に帰ってみるのもオツなもの。わくわくしながら、そのミニチュア鉄道の駅を探したのですが、どうも見当たらない。おかしいなぁ。と思いつつも、ならば歩いてトローセル城まで行き、帰りはミニチュアで帰ってくるのでいいんでないの?とプランを固めて、せっせせっせと歩き始めます。
 手元の地図によるとそんなに距離があるわけでは無さそうだったので、1時間くらいでつくかな?と思っていたのですが、ちゃきちゃき歩いたからか30分強でそれらしき庭園に辿り着きます。


(立派なお城)

 地球の歩き方先生によると「広大な庭園も必見」とのことだったのだが、写真でも分かる通り、庭園へと続く門はがっしりと閉ざされている。ぐるぐると周りを回ってみるも、どこにも入れそうな隙間はなく、そもそも人がいない。オフシーズンってことはないだろうが、たまたま休園日だったのだろうか。まぁ、私にとって城はいわばおまけ。さくさくっと近くにあるはずのミニチュア駅を探索に出かけます。


(周りでは、お馴染みのハイランドキャトルが柵もない所で草を食んでいた。こちらが近づいても逃げようともしない)

 それにしてもいい天気である。近くに海もあり、緑も豊かなこの辺りは散策するのにもってこい。しばし駅とは違う方向へ足を向けてみることにします。


(深い緑の中からこいつが現れたときは「こいつが神か」と思うほどの威厳があった)

 ハイランドキャトルはとにかくおとなしく、私に興味を示すこともなく優雅に草を食んでいる。その前髪のような毛の間から覗きみえる目は常に潤んでいて、純粋を丸めてはめ込んだみたいに光っていた。


(木立を抜けると少し拓けた所に出る。巨大なハイランドキャトルが周りを闊歩する中、一人の少女が海を眺めながら絵を描いていた。ジブリ的なほどにのどかな風景)


(さらにその奥へと歩みを進めると、道のつきあたりにはケルト十字が建つ小高い丘があった)

 この散策は素晴らしい経験だった。なにをしたわけではないが、その光景と、周りを流れる時間はとても心地よく、感動的といってもよいほどの充足感が私を包み込んでいた。天気が良かったのも大きいかとは思いますが、この辺りの散策は本当にオススメ。特に一人旅をしている方だと、この辺りの時の流れを存分に楽しめるのではないかと思います。まぁ特に何があるっていうわけではないんですがね。

 さて。充分に散策を楽しんで、時間も差し迫ってきた。そろそろミニチュア鉄道駅へ向かおう、と足を向けます。


(林の中を走る鉄道)

 やはり無人の駅に到着し、壁に貼ってあったタイムテーブルを確認して待つこと数分…。予定の時間になっても列車は一向に現れる気配をみせません。いやいやまだまだ、とそれから5分…10分…15分…。何度となくタイムテーブルを確認し、オンシーズンであることも確認するのですが、一向に列車は来ない。そして人もいない。仮にも観光鉄道なら、もう少し人がいてもいいはずだ。それが、乗客はおろか駅員さんもいないというのはどういうことだ。じりじりする頭で至った結論は「結局、アタシ、騙されてたのね」ってことで、まぁ騙されていたことはないでしょうが、なんらかの理由で、今日は運行しないのだろうということ。ならばクレイグニュアまでは歩いて帰らねばならぬ。ここは一つ、まっすぐ伸びる線路の上を「一人スタンドバイミーごっこ」でもしながら帰るとするべか、とひらめくも、万が一列車がやってきたりしたらそれは大変なことになるので、結局それも諦め、いま来た道を引き返し、クレイグニュアの港へ戻っていきました。マル鉄道なんだったんだろう?


(海はこんなに澄んできれい!)

 フェリーに乗り込み目指すはオーバン。マル島の美しい景色に別れを告げ、次なる町への期待を込めて過ごすこと45分。オーバンの港に到着です!


(オーバン!こちらの写真にも蒸留所が写ってるよ!さぁみんなで探してみよう!答えは次回!)

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