2012.06.05
さて。とうとうこの蒸留所巡りの記録も、記念すべき100件目の蒸留所紹介となりました。すでに、旅をしていたころから1年半が過ぎ、さらにはこのブログを書き始めてからも半年以上が経ってしまったというのに、いまだに記事上は2ヶ月ほどしか進んでいない。当初は頑張って毎日あげていた記事も、最近はとんとさぼりがちになってしまっているので、ここらでひとつ、気を入れなおして、なんとか最後まで書き上げたいものである。
そんな記念すべき蒸留所としては少しく地味な印象も拭えなませんが、今回の蒸留所はグレンガイル。元々は1872年の創業と、歴史のある蒸留所ではあるのですが、1925年に閉鎖。以降およそ80年間もの間、静かに時を刻むこととなりますが、それを復活させたのが、ご存知、スプリングバンクのオーナー、ヘドラー・ライト氏です。彼が2000年に蒸留所の建物を購入し、その後2004年に復活後初のスピリットが蒸留されました。
こちらの蒸留所も、蒸留所名は「グレンガイル」なのに対し、ボトルブランド名は「キルケラン」。というのも「グレンガイル」の方は同じくキャンベルタウンに居を構えるグレンスコシア蒸留所によって商標登録がされているとかで、使えないんだそう。
そんなわけでキルケランと名付けられたボトルは2009年に5年ものが初めてリリースされて以来「ワーク・イン・プログレス(work in progress)」(進行中、準備中の意味)というシリーズ名で、今年の9年ものまでがリリースされており、来年は遂に10年。おそらくは準備期間を終えた、オフィシャルスタンダード品がリリースされるのではないかと、ある意味注目の蒸留所です。
さて。長い前フリとなりましたが、こちらのツアーはスプリングバンク蒸留所のツアーとセットになっている。
一緒にスプリングバンクツアーをしていた数組のうち、グレンガイルのツアーにも参加するのは、私を含めて2組のみ。もう一組は、若い女のコとその親御さんの、総勢3名の小さなツアーです。
スプリングバンクでの試飲を終えると、ガイドのおっちゃんに「グレンガイルのツアーにも参加する人はこっちきてー」と集められ、そこからはおっちゃんの運転する車でグレンガイルまで移動します。
「おいおい…。おっちゃんさっき試飲のグラス傾けてたじゃねぇかよ…」と思いつつも、きっと私の勘違いだったのだろう、と細かいことは気にせずに車に乗り込み、わずか2分ほどで、グレンガイル蒸留所に到着です。
(歩いてもすぐの距離にあるグレンガイル蒸留所)
(どどーん)
まったくの余談なのだが、この時一緒にツアーを回っていた女のコが、まー可愛らしく、私が日本から来たと言うと、突然両手をハートマークの形にして「ニンテンドー!」って叫んで、驚きつつもその姿に萌え死んだ。ホントに、任天堂さんありがとうございます。イングランドから来た19歳ってことだったけど、年齢よりもっと若く見えた。向こうの人はみんな年齢より大人びて見えるのが常だと思っていたのだが。
そんな話はさておき、グレンガイル蒸留所の中へ侵入です。
(どーん。マッシングから発酵、蒸留までの工程が、全てこの一部屋で行われている)
(マッシュタンはステンレス製。小さな部屋のため、全景を捉えることが困難)
(ウォッシュバックはカラマツ製のが4槽)
(そしてスチルは最小の2基。右が初留で左が再留。面白いのは、このスチルは幻のモルトとして名高い「ベンウィヴィス」蒸留所のお古だということ。とはいえ、設置する際に、ネック上部を継ぎ足して少し細長くしているので、ベンウィヴィスのものと全く同じとは言えないが。よく見ると、確かに継ぎ目のような痕がある)
(こちらは、現役とは思えないほどのオンボロスピリットセーフと)
(やはりくすんでいるレシーバー)
復活したとはいえ、こちらの蒸留所は一年のうち一ヶ月しか稼働していないんだそう。このペースだと、例え「準備期間」を終えたとしても、リリースは年一くらいのペースに限られそうである。
現在は生産期間では無いらしく、建物内はなんの香りもしなければ、なんの物音もしない、さながら時が止まったような空間でした。
最後にケイデンヘッドのショップに戻り、そこで当時リリースされたばかりのキルケラン8年を試飲させていただき、ツアーは終了。
一緒に回ってた彼女らはさらに奥にある例のテイスティングルームでのテイスティングも込みのツアーに申し込んでいたらしく、キルケランのグラスを空けるが早いかすたこらと奥へ消えてしまった。あー。俺もテイスティング付きのにすればよかったなー、など思いながら、そそくさと店を後にします。
#Glengyle