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028. マクダフ、そしてバンフ / Macduff, and Bunff

2012.05.01

 アードモアから一旦ハントリーへ戻ってきても、この日は朝一から行動していたので、まだ午前11時前。思い切って一気に北上し、マクダフを目指します。

 ハントリーからはバスで50分ほど。海に面したマクダフの町に到着です。
 インフォメーションで地図をもらうと、マクダフと隣町のバンフが一緒になった地図がもらえたので、自分の位置を確認してから、まず向かうはマクダフ蒸留所。歩いてインフォメーションからも歩いて10分ほどの場所にあります。


(デブロン川にかかる橋から。潮の香りが届くほどに河口近くにあります)


(同じ橋から反対方向を見るとこんな感じ。川を挟んで写真左手側(東)がマクダフ、右手側(西)がバンフです)

 橋を渡ってデブロン川沿いに10分ほど歩くと、蒸留所の看板が見えてまいります。

 ここは、蒸留所名「マクダフ」とオフィシャルのボトルブランド名「グレンデヴロン」が異なるという珍しい蒸留所。看板をこえて緩やかに坂道を下っていった先に蒸留所はありました。

 とはいえ、こちらの蒸留所はノービジター。今までの経験から、ノービジターの蒸留所の場合は、オフィスに声をかけても断られることがほとんど。現場で働いている人に直接話しかけた方がいける可能性が高いんじゃないか、ということを思いついていたので、ここは大胆にオフィスっぽいドアをスルーして中に入っていきます。
 
 しばらく中をふらふらしていると、半分開いたシャッターの中からオレンジ色に輝くスチルが!


(出入り口の影から覗くスチルハウス)

 ノービジターの蒸留所でスチルが見れるとは、とてもラッキーな気がしたのでなんだか満足したような気分。
 それでも、他にも何かないかと敷地内をうろちょろします。すると、ちょうどスチルハウスの裏手を歩いていた時に、中から一人のおっちゃんが!私に気付くや否や怪訝な表情を浮かべたので、間髪入れずに「ハーイ!」と挨拶する。どこでもそうかもしれないが、不審がられたら、相手のリアクションよりも先にこっちがフレンドリーな対応をする。これが基本である。
 その「ハーイ!」でも、やはり不審顔は解けなかったのだが、そこはだめでもともと、相手のリアクションを待たず「見学したいねーん!」と浴びせかける。
 すると、ようやく私の目的を理解したのか、今までの不審顔から今度は困り顔のような表情になって「いま忙しいねんけどなー」みたいに言ってくる。
 そりゃあそうだろう。仕事中にカタコトの英語を喋る部外者が来たら迷惑この上なかろう、と「じゃあ大丈夫です。お仕事中ごめんなさい。ありがとう。ソーリー、サンキュー」みたいに言って私が行こうとすると、なぜか「まぁまぁ」みたいな感じで呼び止められ、ぶつぶつ独り言を言いながらも「カモン」というジェスチャーをしてくれる。
 
 そこからはおっちゃんのミニツアーの始まり。
 「忙しい」と言った割には、ミルマシンからスタートして、マッシュタン、ウォッシュバックと、仕込みの量やそれぞれにかかる時間なんかも説明しながら、下手なツアーなんかよりもしっかりと教えてくれる。最後はスチルハウスに連れていってもらい、そこにいたスチルマンのおっちゃんに紹介してくれて
「あとは好きなようにみてくれ」と言ってくれる。ミニツアーに関しても「俺が言ってたこと理解できたのか?」と聞かれたので「少しだけ」とジェスチャーで返すと「少しだけか」と笑って肩を叩き、自分の持ち場に帰っていく。短い間だったけど、すごく楽しいツアーだった。

 それからはスチルマンのおっちゃんに断ってこころゆくまで見学。写真も撮らせてもらう。ここのスチルハウスも面白く、見物でした。
 
 まず初留釜は2基。ここの見物はなんといっても、その折れ曲がったネック!


(初留釜)

 ネックがぐいんぐいんと直角に近い角度で曲げられてコンデンサーにつながっていく。それも多くのスチルのネックが下向きに伸びているのに対し、こちらのネックはどちらも微妙に上向きにコンデンサーにつながっていくというもの。さらに、初留2基でネックの長さが異なっているという無茶苦茶おもしろいスチル。


(手前の初留釜は2回90度に折れ曲がってコンデンサーへ)


(そして奥側の初留釜は90度に1回だけ。こちらの方がネックが短い)


(ネックの途中からパイプが伸びていて、さらにコンデンサーからもパイプが伸びている。なんのパイプだろう?リフラックス。。。?)


(そして再留釜は3基。こちらもぐいーっとネックが折れ曲がっている。そして初留よりも急角度で上向きに伸びてコンデンサーへつながっていく)


(こちらで特筆すべきはこのコンデンサー!横向き!なんだこりゃ!そしてやはりネックから何かパイプが伸びているな。。)


(再留3基はコンデンサーが全て横向き。違和感あり過ぎで、最初はコンデンサーだと気付かなかった)


(横向きコンデンサーと各種パイプのおかげで、上のスペースは配管がごちゃごちゃ)


(再留釜を真上から見るとこんな感じ。すとーんとした寸胴ボディ)


(すべて管理はコンピュータ。今日はスチルマンの彼と、最初に案内してくれた彼の、たった二人だけで操業をしているらしい)


(2:3の変則スチルに特徴的なネックと、ホントに面白いスチルハウス)

 多いに満足してお礼を言うと「帰るならこっちからの方が近いぞ」と帰りの出口も教えてくれた。


(ありがとうマクダフ!一気に好きな蒸留所になったよ!)

 ノービジターの蒸留所で、こんなにしっかり見学が出来たのは初めてだったので感動しきり。うわついた足で、そのまま隣町のバンフへ向かいます。

 バンフ蒸留所跡地は、調べたところによるとバンフの町外れ。1時間ちょっとかかってようやく、跡地と思しき場所に到着するも、完全な更地で跡形もない。


(砂浜のビーチがあるきれいな町)


(跡地と思しき場所にはこんな看板も。まさか蒸留所跡に建設予定のアパートの広告じゃないよな?と思いつつも、場所的にも、広さ的にも、もしかしたらそうかも、と思ってパシャリ)

 それにしてもこの日はいい天気。1週間前までオークニーで寒風に凍えていたのが嘘のような陽気で、海の見える眺めもあってとてもいい気持ち。バスの来る2時間後まで、のんびりバンフにあったパブでグレンデヴロンを飲んで過ごしました。
 夕方のバスでハントリーまで帰り、夜7時半過ぎという遅い時間のバスで、この日は一気にキースまで。遂にスペイサイドエリアに突入です。

#Macduff, Banff

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