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005. エドラダワー/Edradour

2012.04.14

 今日は、ピトロッホリーの町から徒歩で行ける二つの蒸留所を目指します。まずは3マイルほど離れた位置にあるエドラダワーへ朝一で向かいます。一時間もあれば行けるかなー、と思っていたのだけれど、意外と歩いた。


(道中、振り返って見たピトロッホリーの遠景)

 てくてくとしばらく歩いていると、後ろから近づいてきた車がゆっくりと減速し、私の隣で静かに止まる。なんぞ!?と思いつつそちらを見遣ると、窓を開けて中から「エドラダワー蒸留所ってこの道であってる?」と訊ねてくる。「そう思う。俺も行くつもりなんだけど」と答えると「オーケー、カモン!」で助手席のドアを開けてくれる。これは世に言う相乗りってやつか!と興奮しつつ、まさかヒッチハイク犯罪に巻き込まれやしないよな、という逡巡をもろともせずに乗り込む。
 乗車している時間は5分かそこらの短い間だったけど、間を埋めるように色々話したし、色々話しかけてくれて楽しかった。彼はフランスから奥さんと子供連れて旅行に来たんだそう。残念ながら奥さんはウイスキーが好きじゃないからっていまは町をふらふらしてるよ、とか言ってました。
 あっという間に蒸留所に到着。アホみたいに「サンキューベリーマッチ」言って、なにか気の利いたこと言えないかなー、と思っていたら、あっちの方から「Have a nice day !」と言ってくれて、これだ!と思った。このフレーズは次から使おう。


(山道の谷間に現れる小さな蒸留所)


(白壁に赤と黒のデザインが可愛らしい)

 ツアーに申し込んだあとにショップをぶらぶら。小さい蒸留所だけれども観光に力を入れているのか、ビジターショップはとてもきれいだった。


(Welcome !)

 ツアーはまず蒸留所の歴史を伝えるビデオ鑑賞からスタート。始まる前に、入り口で早速試飲用のグラスを手渡され、それを飲みながらVTRを観ます。見終わってから、案内のおばちゃんによる口頭での説明がある。冗談まじりで話してくれて、英語は分からないけれどいい雰囲気だった。途中「あなたが好きなモルトはなに?」とおばちゃんが参加者にふる場面があり、ここはやはりエドラダワーって言った方がいいのか。。?など考えていると、周りは、やれスキャパだの、やれモーレンジだの言っていて、誰もエドラダワーを挙げない。しまいにゃ、おばちゃんさえ「私はタリスカーが一番好き」みたいなことを言っていて笑った。
 最初の説明の時、私の他にアジア人のおっちゃん二人組がいたので、こっそり近づいていったらビンゴ。日本の方で、出国以来初めて日本人と出会う。軽く挨拶してからツアーはスタート。


(蒸留所内を流れる小川)

 なぜか一番最初にウェアハウスの見学からスタート。見学を終えて中から出ると、さっきまで晴れていたのに雹のような雪が降っていた。急ぎ足で建物の中に入ります。すると、目に飛び込んで来たのが、ご存知、スコットランド最小のスチルです。


(手前の赤が初留釜、奥の青が再留釜)

 スコットランドでは、密造を防ぐためにスチルの容量が法律で決められているのですが、こちらのスチルはその容量の下限ギリギリのサイズ。特例を除いて、スコットランドで最も小さいポットスチルとして有名です。


(ウォッシュバックはオレゴンパイン製のが2槽)


(中では元気に酵母が活動中でした)


(これは、糖化作業が終わった麦中を冷やすためのウォート・クーラー。他の蒸留所では水冷式が一般的で、このような空冷式のものを使っているのはエドラダワーだけ!バケツ乗ってる!)

 部屋の中は、入り口から見て左手側に蒸留釜が2基。右手手前にウォッシュバックがあり、右手奥にウォート・クーラーがあります。奥にある階段を下りて行きます。


(スチルを下から見るとこんな感じ。人の大きさと比べると、その小ささが分かります。奥の再留釜なんかは人の背丈ほどしかない)


(奥にあるスピリット・セーフ)


(伝統的なオープンエアのマッシュタン。分かりづらいですが、赤と緑のクリスマスカラーで、可愛らしかった)

 一旦外に出て、ぐるっと建物の裏手にまわります。


(屋外ワームタブ。スチルで熱せられて気化したスピリッツを、外で冷やしてまた液化する工程です。てか小っさ!なんだこれ!)

 どれもこれもコンパクトで、こじんまりとしたいい雰囲気の蒸留所。
 ツアーを終えて、一緒にまわっていた日本人の方とお話をしていると、今日はこれから、グレンキンチーへ行くとのこと。さらにそこを見学したら、一気にロンドンまで帰って、今日のうちに帰国するんだそう。車があったら、一日でピトロッホリーからロンドンまで帰れるんか。。?と、今更ながら車の無い自分の行程の不便さを思い知らされました。

#Edradour

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