2017.1.25
セントアンドリュースで一泊。今日中にエディンバラに帰る、その道すがら、途上にある蒸留所の訪問を目指します。
というわけでこの日一つ目の蒸留所はダフトミル。
個人的な話になりますがこのダフトミルという蒸留所は、2012年当時、私が初めてのスコットランド一周蒸留所巡りの旅をやった際に、訪れることができなかった2つの蒸留所のうちの1つであります。当時はまだまだ旅の序盤で、旅のやり方なんかもいまいち掴めていなかった頃。加えて、ローランドにあった現役蒸留所といえば、キンチーにオーヘントッシャン、ブラドノックの3つのみ。ダフトミルのあるファイフ地方はそこ以外にに行くべき所はなく、まぁ飛ばしちゃおうかな、と簡単な気持ちで通過してしまった場所なのです。その後、やっぱ行けばよかった、と後悔したのは言うまでもありません。
そんなこんなで、私にとっては念願の蒸留所。しかし、ご存知の通り、ダフトミルはいわゆるファームディスティラリー。2005年の創業。すでにスコッチとしては十分な年数を経ているにもかかわらず、未だに一度のリリースもなく、そもそも情報そのものがえらく少ない。年間を通して、ウイスキー製造に割く時間は、農業の閑散期の2、3ヶ月のみ。年間生産量は2万リットルと言われているが、これは同じく、ファームディスティラリーとしてスタートした(奇しくも創業年も同じく2005年の)アイラ島、キルホーマン蒸留所の現在の年間生産量が15万リットルを超えているのと比べても、異様に少ない生産量です。それにしても、すでに創業12年という、スコッチウイスキーの世界ではある意味節目と言える年数を経ているにもかかわらず、未だに沈黙を守っている非常に謎の多い蒸留所なのです。
一般へのツアーなども基本的には行っておらず、アポイントメントオンリー。私も、オフィシャルホームページからメールを送りはしたのですけれど、結局この日の朝まで返事が返ってくることはなかった。大丈夫かなーと思いながら、バスでまずはボウオブファイフというバス停を目指します。セントアンドリュースからは1時間程度で到着し、そこから10分ほどてくてく歩いて行くと、こちらの看板が見えてまいります。
(念願のダフトミル蒸留所はすぐそこ!)
(道の途中には一面の麦畑?も)
(豊かに水をたたえた池の辺りに建つのがダフトミル蒸留所と、おそらくはオーナー家の住む住居です)
朝一ということもあってか、この辺りはとても静か。果たして見学させてくれるだろうか。。不安を抱えながらも、遂に到着です。
(パゴダ屋根!昨日行った二つの蒸留所は近代的でパゴダ屋根がなかったので、これはテンションあがる)
(敷地内も人気がない)
ずかずかと入って行くも、まるで人気がない。向かって右手側には、おそらく住居と思しき建物もあったので、一応そちらに「ハロー?」と声をかけてみるも、何かが動く気配みたいなのさえない。うむむ。とりあえず無人のあちらこちらの愛想を振りまきながら中へ入っていきます。
(DAFTMILLの名が刻まれた空き樽が外の薪置き場の片隅に)
(奥はウェアハウスだろうか?)
(入り口を入ったすぐ左手には、ガラス越しにスチルの姿が!)
しばらく敷地内をふらふらして、中を見学できるチャンスがないか探っていたのですが、いよいよ誰もいない風である。仕方なく、外からガラスに張り付いて、中を見ます。
(「Still House」の表記さえかっこいい)
(スチルは最小の2基。向かって左がウォッシュスチル)
(右がスピリットスチル。どちらもアームがかなり上向きに伸びており、ローランドらしい軽い酒質を求めていることが伺える)
以前聞いた話では、こちらの蒸留所ではほとんどがジム・ビームからのバーボンバレルで、シェリー樽はごくわずか出そうだ。少量ではあっても、しっかりと製造はしているよう。いつかダフトミルのモルトが一般に出回ることはあるのだろうか。。
(パゴダ屋根にスチル)
一通り外から見える場所は見尽くして、それでも1時間に1本しか来ないバスの時間まではまだしばらくある。なんとか誰かと会えないだろうかと、しばらく粘っていたのだけれど、結局私がいた30分ほどの間、誰かが出てくることはなかった。私が出したアポのメール、なんの効果もなかったな。。
せっかくの念願の蒸留所でしたが、なんとなく不完全燃焼のような感じで後にします。
#Daftmill