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自宅テイスティング:スプリングバンク 1999-2011 11年 オフィシャル “ローカルバーレイ” スプリングバンクソサエティ向け

ニューリリースと自宅開栓が偶然かぶりました。

スプリングバンク SPRINGBANK 1999-2011 11yo OB LOCAL BARLEY for SPRINGBANK SOCIETY SPRINGBANK 1999-2011 11yo OB LOCAL BARLEY for SPRINGBANK SOCIETY

スプリングバンク SPRINGBANK 1999-2011 11yo OB "LOCAL BARLEY" for SPRINGBANK SOCIETY 57.9%
one of 516 bottles, Recharred Sherry Butt

・香り:
重厚な香り、ビターチョコレートがけのドライオレンジ、プルーン、黒糖のかりんとう、キャラメリゼしたナッツ、パワフルな麦感と酵母っぽさ、焦がした木材、強めの鰹節、クローブ、青草っぽさを含むハーブ、少しワックス、スモークした魚の油漬け。

・味わい:
とろりとした粘性のある口当たりから力強く芳醇に広がる、濃厚なアプリコットジャム、キャラメリゼしたナッツ、黒糖、ワックス、麦の旨味が濃厚で強い噛み応えを感じる、コク深い甘味、引き締めるほどよい渋味、遅れてくるが強めの塩気、少し木材っぽさとエグ味、奥から淡いヨード、強めのスモーク、ややオイリー。

・余韻:
旨味の濃い麦感とねっとりとした甘味と魚介の燻製っぽいピートがかなり長く続く。

・加水:
紅茶っぽさと淡いイチゴジャムっぽさが出てくるが、不思議と樽感が浮いて相対的に若さやピーティさが目立つようになる。

・総評:
樽感が強いがそれに負けない原酒のボディや太い麦感があり、それらがせめぎ合っているスプリングバンク。
原酒のポテンシャルの高さを感じるが、まだ熟成しきっていないのを樽で強引にまとめた感じもある。
雑味もあるが非常に濃厚で11年とは思えない複雑さがあって、テイスティングはとても楽しい。樽と原酒それぞれに由来する個性のせめぎあいの中、特に麦の旨味の濃さやコク深い甘み、それを引きしめる渋みが好印象だった。
なお、磯っぽさやピーティさが強く、ロングロウ寄りの原酒といえそうだ。
原酒も負けていないのだが、樽が強く雑味もあるためやや飲み疲れするタイプではあった。
リリース時に飲んだ時より粘性を帯びて一体感も出てきたようにも思えたが、加水するとそれがバラけた感じがしたのも面白かった。

【Good/Very Good, Interesting】

2011年にスプリングバンクソサエティ向けにボトリングされたスプリングバンク1999、11年熟成のローカルバーレイです。
恐らくは1999年からローカルバーレイを改めて仕込み始めたようで、最近ローカルバーレイ1999の16年のヴァッティングが満を持してリリースされましたが、私の知る限り、新生ローカルバーレイ最初のボトリングが今回紹介する11年だったと思います。
ニューリリースの情報が入ってくる2週間前くらいに、偶然にも自宅で開栓したのでした。

上記のとおり、樽と原酒それぞれに由来する香味がせめぎあうようなスプリングバンクで、非常に多彩です。未熟感や樽感に伴うような雑味も多いのですが旨味も濃いモルトでした。
まだ11年熟成で、ニューリリースの16年と違って若さを抑える樽感が必要だったのではないかと思います。
というか、いろんな樽に詰めたうちで樽のスペックの問題で一番最初に仕上がったのがこの樽だったのかなという感じもします。
リチャードシェリーバットという特殊な樽で、読んで字のごとくシェリーバットを改めてチャーして(表面を焼いて)再活性化したタイプということになりますが、シェリー由来の要素も結構残っており、生木を焦がしたようなニュアンスもあることから、それほど古い樽を再活性化したというわけでもなさそうです。
なお、90年代後半のバンクらしくロングロウのようなピーティさが強いタイプでもあり、魚介の燻製っぽさが強く麦の旨味に魚介系の旨味をプラスしていました。

樽と原酒の個性がせめぎ合う多彩で深みのある濃い香味で、非常に飲み応えがあって満足感のある一方で、やや飲み心地が犠牲になっていて雑味のために飲み疲れするタイプでもありました。
香味の成分それぞれを、樽由来or原酒由来で分けながら飲め、飲むほどに面白いスプリングバンクでした。

すごい偶然でしたが、良いタイミングで開けられて飲み比べできて良かったです。

 

#スプリングバンク (SPRINGBANK)

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