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チョコレートと逆立ち

英語で自分の国のことを話すとき、いちばんに話したいことって飲食文化だと思いませんか?
でも、意外とわかっていそうで答えられないのも飲食文化です。
学生の頃、イギリス人の英語の先生に、
「自分の国の食べ物で、何が一番すき??」
とたずねたところ、
「そりゃぁ・・・カレーだね。」
と答えられたこともあるくらい。

まぁその先生は、日本の食べ物ではラーメンが一番すきだって言ってましたけどね。

でも私は、こんな私よりもずっと飲食文化について詳しい女性を知っています。
彼女はスコットランド人。
私がスコットランドに勉強に行ったときの、ホームステイ先の女主人でした。
ホームステイ中のある夜、近所の子供たちが居住区内の公園で遊んでいたので、私は可愛い子供たちに日本のお菓子をおすそわけしようと、明治のチョコレートを持って表へ出てかけました。
女主人はつたない私の英語をサポートするように、
「ほら、canaが日本のお菓子をくれるって。キレイでしょ、ひとつひとつきちんと包装してあって。あまり甘くなくて美味しいのよ。」
と思ってもみなかったコメントを、私よりも詳しく付け足してくれました。
そして子供たちはわーっと私の周りに集まると、あっという間にひと箱のチョコレートをおいしいおいしいと言って食べきってしまいました。
すると女主人はにっと笑って、
「ほら皆、canaにお礼はしないの?」
と言いました。
すると子供たちは靴を脱いで芝生に上がり、逆立ちやらブリッジやら、トランポリンやらの可愛い芸当をみせてくれました。
私はすっかり嬉しくなってしまって、鼻高々に
「私もそれ、できるわよ。」
と言って、子供たちの前でブリッジをしてみせたのでした。

なんていうと、物語みたいにきこえません??
でも、こんな平和な場所が、スコットランドにはまだあるのです。
すごいことですね。

彼女は他にも、日本のお米が大好きだと言って夕食にふるまってくれたり、その夕食を黙ってたべはじめる私に、
「まぁcana、あんたは日本人じゃないわね。『いただきます』はどうしちゃったの?」
と笑いながら両手を合わせたりと、とにかく、なんだか日本人の私よりも、日本の文化を愛してくれているように見えました。

住んでみなければその国の文化はわかりません。でも、外からみなければわからないことも、もしかしたらあるのかも知れません。
私達はいま日本にいて、沢山の外国の食べ物飲み物を口にすることができます。
そんなとき私達は、その国の人たちとはまた違った文化を、その食べ物の中にみつけているのかもしれませんね。

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