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スコットランド旅行記 5/24 (8日目最終日) ~ 執筆後記

機内でお世辞にも美味しいとは言えない朝ごはんを食べ、ウトウトしてるともう着陸だった。
日本時間で午前7時過ぎ、無事に日本にたどり着いた。
関空だったのでまだ羽田への乗り継ぎがあるが、そんなことよりボトルの破損が心配だった。ドキドキしながら受取所で待つ。

荷物がひとつ、またひとつと届き、とりあえず濡れている様子は無い。
しかし、ホッとしたのもつかの間、ボトル持ち込みの関税を支払っていると、フワッとだが明らかにウイスキーの香りがした。
大ショック!
どのボトルだろう?もう気が気で無い。

外に出てひとつずつ開けて確認する。
スーツケースや箱の中がめちゃくちゃになっている様子が頭をよぎる。
でもどれを開けても明らかにビシャビシャになっている様子は無い。ひとつずつ調べていくと、1本だけ匂いのするものを発見。どうやら軽い液漏れのようだ。ボトル破損や周囲へのダメージは全くなく、十分に許容範囲内であった。

改めて梱包を手伝ってくれた方々に感謝。梱包から運搬までここ数日苦労したのがやっと報われた気分だった。一緒に荷物を梱包した相方と二人でがっちり握手をして喜んだのは言うまでもない。

いったんパズルのような梱包をといて相方と中身を分けてから、私のぶんを再梱包して羽田行きのANA便にチェックイン。乗換まで結構時間があったのだが、国内線と国外線で重量制限や手荷物のルールが異なったためここで思いのほかてこずり時間をロスした。手伝ってもらわなかったら間に合わなかったかもしれない。
でも、やはり国内線のサービスは素晴らしく、大事なボトルたちはこれまでとは違って丁寧に大事に運ばれていった。
ホッとしたところで関空の中でうどんをさっと食べた。やはり日本の食べ物は口に合うなぁと実感した。

だいぶさみしい気持ちになったが仲間と別れ、ひとりで羽田へ向かった。
この区間を飛ぶのは初めてだったのだが、途中で雲の上に富士山が綺麗に見えた。

旅のことを思い出しながらぼーっと景色を見ているうちに到着。
厳重に運んでもらったため、ボトル達には何の問題もなく受け取ることができた。

あとはそのまま都内の自宅へ帰って荷物を部屋に入れ、まだ昼過ぎだったので娘をお迎えに幼稚園に行き、そのまま娘と一緒に気持ちよく昼寝をした。
梱包を解いたのは完全に昼夜逆転した夜中だったが(笑)、すべてのボトルの無事を確認できたところで翌日の仕事に備えて眠った。

こうして私のスコットランドへの旅は幕を閉じたのであった。

~~今回の旅を終えて~~

今回の旅では本当に多くの経験をさせていただき、考えさせられることも多かったです。
その中でも特に強く感じたことはまず、現地でウイスキーの樽を選んで日本に入れている方々は、本当に大変なことに一生懸命取り組んでらっしゃるということです。
誰も口には出しませんが、いくらウイスキーが好きとはいえ玉石混交のとんでもない数のサンプルを集中してテイスティングするというのは本当に大変です。一部に参加しただけの私ですらそう感じたのですから。
しかも、私はいちドリンカーとして単純に目の前のものを自分の好みだけで評価(ほぼ見学に近いですが)すれば良いのですが、今回同行させていただいたウイスキーフープ幹事の皆さんは、香味が良いのは大前提として、バーテンダーさんが店で使いやすいか否か、過去のリリースとの兼ね合いはどうか、流行の味を追うだけでなく自分達の組織ならではの提案があるか、今後の伸びしろがあるか、リリース可能な値段や本数であるか、などなどたくさん踏まえて評価しており、私の数倍の思考を巡らさなくてはなりません。

そうして1年間、実績を積み現地の人脈を作ってきた結果、樽が枯渇している中にも関わらず、今年は明らかに去年よりも良質なものを出してもらえるようになっていたのです。
良質な樽を選んで輸入するということはそれだけ大変なことの繰り返しであり、もちろん私はドリンカーとして偏った感覚で飲むつもりはありませんが、こういった仕事を応援したいですし今後にも大いに期待が持てると確信しています。目の前の1杯に向き合うドリンカーにとって必須なことではないかもしれませんが、たまには選んだ人の意図や苦労に思いを馳せながら飲むのも意義深いことだと思います。

実際、フープはもちろん、エクスチェンジやエージェンシー、そしてメゾンドウイスキー、ベイヤフロールなどなど、組織ごとになんとなく共通するニュアンスを感じることも少なくありません。ドリンカーの楽しみのひとつになりうるのではないでしょうか。

もうひとつこの旅で強く感じたのは、アイラフェス向けなどの限定ボトルを手に入れて日本に持ってくることの大変さです。お祭りに行ったついでに買ってくる手軽なお土産のボトルだなんてとんでもない。直前に発表される情報を頼りに真剣に作戦を立てて、ものすごい早起きもして寒い中何時間も並び、やっと手にすることのできるボトルでした。
それは売らずにおけば確実にいずれ高額になるボトルなのですが、有楽町ではいつもすぐに開けていただき安価に提供してもらっていました。毎年楽しみにしてくれているお客さんを喜ばせるためにこんなにも頑張ってくれていたのだということを今回実感したのです。
当分はアイラフェスには行けないので来年以降はまた日本で楽しみに待つわけですが、これまで以上に心していただこうと思います。

そういえば強く実感したことはもうひとつありました。
自分が異常なほどの雨男だということです。
今回も、私が来る前日までは晴れており、私が帰った後もずっと晴れていたとのこと。
そういえば結婚式の朝も土砂降りだったなぁ。。。
こればっかりはどうしようもないので、次回からは旅に行く前にもう少し同行者に周知徹底して心の準備をしておいていただこうと思います。(笑)

最後になりますが、英語が堪能ではなく、旅慣れないにもほどがある自分のためにホテルやチケットの予約をしてくださったり、各種手続きのやり方を丁寧に教えてくださったり、長距離の車の運転をしてくださったり、現地でのトラブルの際に交渉してくださったりした同行者の方々に心から感謝いたします。
また、現地でウイスキーに携わる多くの方々ともご縁があって関わりを持つことができましたが、どなたも素敵な方々で、本当に良くしていただきました。
皆様のおかげで素晴らしく思い出に残る旅になりました。本当にありがとうございました。

T.Matsuki


※ハンターレインのテイスティングルームにて

 

#スコットランド旅行記2016

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