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秩父ニューボーン PEATED#451


秩父蒸溜所、2009年秋に発売されたオフィシャル商品の1つ。

2009年6〜7月蒸溜、
2009年7月New American Oak樽No.451へ樽詰め、
2009年10月ボトリング。
アルコール度数61.3% ボトル数360本
大麦品種:オプティック(ヘビーピート・フェノール値51ppm)

オフィシャルコメント
二か月ちょっとの熟成とは思えないピーテッドモルト。
スモーキーにほんのりヨード香。
ブラインドで出されるとアイラモルトと思ってしまうかもしれない。

香り
強いピート香。ピート香の中に海苔塩と、プラムの酸味を感じる。
まるで、のり塩味のポテトチップスにしょっぱい天然梅干しの果肉をディップしたかの様。

しばらく楽しみ続けるとニューボーンらしい、チーズや魚醤の発酵臭、
甘くならずに熟してしまった杏子のタンニンを持った甘味が出てくる。
そしてなぜか、ミズナラとは違う、安いお線香のクドイ香りも感じられる。

味わい
ニューポットのエグ味は感じるものの、スモーキーに紛れてしまって、
たった2ヶ月ちょっととは思えない程に嫌味は少ない。

生姜汁の如く少しホット。
そして勢い良く踏んで空気中に飛び散った灰を吸い込んだ様にスモーキーで、
一瞬ポワッと酸味が弾み、まだ甘く熟していないものの渋くも無いリンゴと、
フルーティーなタンニンが出てきて、
やがて脱穀の現場にいるかの様なモルトらしい麦の香りと
生クリームのしっかりとした甘味がじわじわと湧いて来る。

加水後の味わい
スモーキーはあるものの隠れてしまい、
トマトのどろどろした部分に似ている、ニューポットならではのエグい香りが
「これでもかっ!」という程、ハッキリと現れる。

チーズの発酵具合が緩まり、厚塗りバタートースト程度の旨みとなるが、
ニューポットのエグい香りが引き立ち過ぎて、つらい。
正直、この原酒への加水は苦手。

後味
のり巻きあられを感じた後、灰の如くスモーキー、
そして僅かなショートケーキの甘さが長く続く。

総評
面白い!
ピーテッドモルトのニューポットでもなく、ピーテッドモルトでもなく、
ほんのわずかな期間だけ熟成させたニューポットと言う、
極めて微妙な位置の原酒を楽しめた事は、
モルトウイスキーの歴史においても、本来は製造者しか味わう事が
出来なかったであろうと考えるだけで、ワクワクする。

そのワクワクにしっかりと応えてくれる香り、そして味わいに
驚きと感動を覚えるのは確実。

ピートのスモーキーな香りと味わいを感じれば感じる程に、
モルトの芯にある甘味が引き立って、それらが調和する様は、
十分にアイラモルトのそれと同じ。
正直なところでは、ラフロイグのスモーキーな味わいを思い浮かべた。

しかしそれはトップノートだけで、しっかり楽しむと、
これまでリリースされたニューボーンのNo.22〜25
(New American Oak Hogshead)で共通して感じていた
チーズ等の発酵臭を感じつつ、
やがてじわじわ現れてくる甘味に鼻も身体も心も翻弄される。

これまでリリースされたニューボーンと違う点は、
もうこれで商品として定番リリースしても良いと思う程に、
面白い!

#秩父(ichiro’s)

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