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ウイスキー・マガジン・ライブ2009 – (4)

「ウイスキー・マガジン・ライブ2009」のレポート、最後の記事です。
気付けば約1週間、まるまるマガジン・ライブの記事ですね(汗)
この記事でライブ風景のレポートは終了です。
どうぞ最後までご覧頂きますよう…。

さて、最後のマスタークラス「スプリングバンク」です。
去年は操業停止の発表もあって、非常に気になっていたわけですが、
どうやら操業停止は一時的なものになったようで一安心ですね。

 マスタークラス – 3 スプリングバンク

パネラーは、フランク・マッカーディー、ピート・カリーの両氏。
まずはマッカーディー氏の略歴から。
インバーゴードン蒸留所入社から氏のキャリアがスタート。
タムナブリン蒸留所、ブルイックラディ蒸留所を経て、スプリングバンク蒸留所へ。ブッシュミルズ蒸留所へ移った後、再びスプリングバンク蒸留所へ戻る…と、まさにウイスキーとともに歩んできた人生ですね。

左:フランク・マッカーディー氏
右:ピート・カリー氏

マスタークラスは、プロジェクターを使った丁寧な説明と、ユーモアを交えた軽快なトークで進められました。
マッカーディー氏の経歴とともに、スプリングバンク蒸留所の製造方法、特にヘーゼルバーンがブッシュミルズ蒸留所のものと同じであることに触れ、氏のキャリアが現在のスプリングバンクに大きな影響を与えていることを窺い知ることができました。

さらに、去年の操業停止について。
世界的大不況による原材料費・燃料費等の高騰が、蒸留所経営に大きな打撃を与えたこと、”96~”97年度製造のストック樽で現在の供給量を賄える、と判断したことが操業停止の大きな理由だったようです。
結果的には、来週~7月には操業再開という、嬉しいニュースの発表があったわけですが、これは高騰した原材料費が安定してきたこと、市場の需要が高まったことを挙げていました。やはり不況の影響というのは大きいですね。

さらに、2004年に復活したグレンガイル蒸留所「キルケラン」の新リリースは、今年秋ごろの予定だそうです。
もう、この段階で9,000円くらいになると言っちゃってました(笑)

ところで、スプリングバンクの2回半蒸留って、特徴的なので比較的有名ですよね。この2回”半”とは、どういうことなのか?
このことについても細かな説明がありました。

まず最初のポットスチルで蒸留した”Low Wine”を作ります。
次にLow Wineをさらに蒸留した”Faints”を作ります。。
さらに1回目の”Low Wine”を20%、2回目の”Faints”を80%の比率で混ぜ合わせて、3回目の蒸留を行います。
このように、3回目の蒸留で1回目の”Low Wine”と2回目の”Faints”を使用していることから2回半としているわけです。

ちなみにストレートに2回蒸留したものがロングロウ、3回蒸留がヘーゼルバーンですね。

それではテイスティング。
…と、こうしている間にも、両氏の軽快なトークで会場が笑いに包まれます。機智的で少しブラック・ユーモアなところが面白かったです。

(上段左) キャンベルタウンロッホ30年
 40%グレーン、60%モルト。 60年代のスプリングバンクを使用。
 スムースでデリケートな口当たり。パイナップル、サトウキビのような
 青臭い甘さ、レモンとハーブ。

(上段左2) キルケラン5年 ワークインプログレス(サンプル
 今秋発売予定。 オイリーで麦の甘さがシリアルのよう。
 レモンとバニラのフレッシュさ、ナッツの香り。
 硬水のような舌ざわりを感じる

(上段左3) ヘーゼルバーン12年(サンプル)
 8月発売予定。 蜂蜜と麦の芳香が淡く感じられるが、口当たりは
 刺激的でパワフル。塩っぽさ、シロップ、レモンの酸味など複雑。
 口中に厚みのあるボディを感じる。軽いが長い余韻。

(上段右端) スプリングバンク1999 スモールカスク
 オレンジとチョコレート、木炭、アプリコットのドライフルーツ。
 香りの割に軽い飲み口。アーモンド、レーズン、フルーツケーキ
 厚みは感じられるが、まだ若い木香。

(下段左) スプリングバンク18年(サンプル)
 6月発売予定。辛口でシェリー香が強い。オレンジマーマレード、
 豊かな木香。生キャラメルのような甘さ、チョコレート、塩っぽさが
 シトラスのような柑橘系の酸味を思わせる。複雑で立体的。
 口の中にまとわりつくようなオイリーさ。

(下段右) スプリングバンク11年
 4月発売予定。 スモーク香が際立つ1杯。シリアルと黒糖の香り。
 粉っぽい灰、ドライで喉に強い刺激を感じる。シナモンと木香が
 力強く感じる余韻。

意外なのは、スモールカスクが香りの割に軽快な飲み口だったということ。飲む順番も関係ありそうですよね。すべて順番良く飲んだ後に再びスモールカスクへ。最初よりはチョコケーキのような味わいを感じ、しっかりとした印象。やっぱりなぁ、という感じですね。
加水すると、予想以上に滑らかで淡く繊細な口当たりになります。
恐らく、これ単品で飲むと、全く違った印象を感じるかもしれません。

個人的には18年が最も美味かったように思います。

少し残念だったのはロングロウが無かったこと。
ロングロウ好きなのでガッカリしましたが、それでも新商品メインのラインナップには満足できる内容でした。

というわけで、すべてのマスタークラスはこれで終了。
あっという間の1日だと感じる濃い内容でした。

ちょっと時間があったので、急いでアデルフィーとトマーティン、モーレンジを試飲してきました。よほど急いでいたのか、写真がブレまくり(泣)

ここで時間が迫ってきたので会場を後に。
これから吉祥寺で約10年ぶりに友人と再会です。
それにしても腹が減りました…(笑)
まずは食事ですね♪

 簡単なまとめ

今回、初参加のウイスキー・マガジン・ライブでしたが、非常に充実した内容だったと思います。
一番良かったのは、やはりマスタークラス。
時間の重複もあって、本当は受けたいクラスもたくさんあったのですが、これは次回のお楽しみですね。

今回マスタークラスを受講するにあたって気付いたのは、新商品リリースの情報をキャッチしておくこと。これは非常に大切です。
試飲会場で飲めないモノが、ほぼ確実に出た印象でした。
今は、オフィシャル・サイトを持っている蒸留所も多いわけですから、マスタークラスを選ぶ際に、何らかの情報がないかチェックすべきです。

また、スコットランドからはるばる来日した各蒸留所のパネラーの方々。
やはり間近で見れると嬉しいですよね。
「あぁ~この人たちが造っているんだなぁ」と、感慨深いものがあります。

残念だったことも幾つかあるのですが、これは上手くまとめられないので、熟慮して、後々別記事にしたいと思います。

とにかく、トータルで満足だったことは間違いなし!
今回、参加できなかった方々、次回はぜひ参加してみてください!
もちろん僕も、次回も参加したいです!!

#マガジンライブ2009

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