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グレンギリー蒸留所へ

2017.5.20

 ダブリン発、朝一7時のフライトでアバディーンに向かい、アバディーンに到着したのが8時40分。アバディーン空港は、シティセンターから少し離れたダイスという場所にあるのですが、この日一発目の私の目的地はオールドメルドラムにあるグレンギリー蒸留所。シティセンターに向かうよりも、空港から最短で行けるようなバスを探し、一回乗り換えをしながら10時ごろにはオールドメルドラムに到着します。
 

 ギリーでの一発目のツアー時間は11時から。時間が来るまでショップの片隅でおとなしく待ちます。

(石造りのかっこいい、ハイランド最古の蒸留所)

(ショップは充実しており、ハンドフィルのボトルも3種類も。左からいい色したファーストフィルシェリー1997 19年の130ポンド、リフィルバーボンのなんと1978!38年!495ポンド!そしてバーボンカスク1991の25年もの195ポンド。うむむ。高いな。しかし。。ギリーのオフィシャルシングルカスクで38年ものて。。こんなななな)

 先にネタバラシをしてしまうと、結局、このハンドフィルのやばいやつは買わなかったんですよ。これからまだ旅は続きますし、そもそも荷物はすでに重いですし。でもね。いまね。ホントに後悔してます。495ポンド、7万円超。。うぐぐ。うぐぐぐ。

 さて、少し取り乱しましたが無事にツアーはスタート。

(ツアーはキルンの中からスタートします)

 現在、グレンギリーはご存知日本が誇るビッグカンパニー、サントリーの所有。94年にサントリーに所有が移った後、95年には一度操業を停止し、97年にリオープンを迎えるわけですが、この操業停止以前と以後で、明確に変わったのがピート使用の有無。元々ギリーとピーテッドモルトの関わり合いは深く、ディアジオの前進であるDCLが所有していた60年代後半まで、同社のピート原酒を供給する重要な蒸留所としての役割を果たしていました。それが、同社がヘビーピートモルトの生産を、当時の「クライヌリッシュ蒸留所」(現ブローラ)に賄わさせ、代わりに「第2クライヌリッシュ蒸留所」(現クライヌリッシュ)の建築を始めたことにより、ギリーのピート原酒製造工場としての役割が軽くなり、結局モリソン・ボウモア社に売りに出されることになります。その後、サントリーにわたるまでピーテッドモルトの製造は続けておりましたが、そこでサントリーが仕掛けた大きな変革が2つ。一つはノンピートモルトの製造への切り替え、そしてもう一つが、ブレンド原酒としてではなくシングルモルトとしてボトリングするようにしたということ。いまどうなっているのかははっきりと分からないのですが、ゆくゆくは100パーセントシングルモルトにするって聞いたような。。この辺詳しい方いらしたら教えてください。

(ご存知ポーテウス社製のミルマシンに)

(でかすぎて収まらないマッシュタン)

(そしてウォッシュバック)

(からのスチルハウスである)

 ギリーのスチルは1:2の変則組み合わせ。このスチルにはいくつかの情報が混乱していてどれが正しいのかよく分からない。ネッで情報をあたってみると「昔は2基しかなかっただが、1978年に新しいスチルを追加した」という情報が多く出てくるのだけれど、この時ガイドさんに聞いたら「もともと4基だったけど、ウォッシュスチルを1基外したんだ。だから一番奥のスピリットスチルも今ではあまり使っていない」というもの。私の手元にある、グレンギリーのオフィシャルブックにも「以前はウォッシュスチルが2基あった」というふうに記されているので、おそらくはこちらが正しい情報だと思われる。となると、前者の説はどこから出てきたのか。。
 こちらのスチルは面白くって、その変則的な組み合わせもさることながら、一番の特徴はなんと言ってもウォッシュスチルのアームの長さ。今回、その長さをお伝えするためにパノラマ撮影を敢行してきました!そんなこともできる。そう、iPhoneならね!

(びよーん。思ったよりいい感じに撮れて満足です)

(そして、手前のスピリットスチルのアームにご注目ください。ぐぐっと下向きに伸びたかと思えば、コンデンサーにつながる直前でぐいっと水平に曲げられている。さらには2基あるスピリットスチルの形も違う。ホント面白いスチルハウスです)

(ウェアハウスはダネッジ式)

 ツアーを終えてビジターセンターに帰ってテイスティング。定番の12年と、ファウンダーズリザーブを。余談ですが、現在、日本国内では終売となってしまっている12年、早く復活しないですかね。ホントにいいモルトだと思うので切に復活を希望しております。

 試飲も終えて、ショップにディスプレイされたハンドフィルドボトルの前で、うーんうーん。ちょうどまだガイドさんがいたので「ギリーのピートは復活しないの?」とか聞いていたら「そこにあるボトルの一つはピーテッドだぞ。ちょっと待ってろ」と1991を少しだけ試飲させてくれた。クリーミーな質感にややストロベリー系の甘味、そして微かなに香るピートと、非常に美味しかった。その波乱万丈な蒸留所の歴史とともに味わいを変えていったグレンギリー。オールドボトルももちろんですが、97年以降のボトルでどんどん美味しいボトルが出てきてくれたら嬉しいですね。

#Glen Garioch

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