2012年、春。
海外へ行くのも初めてなら、そもそも一人旅をするのも初めて。
英語も喋られなければ、お金も無い。
そんな状態にも関わらず、26歳の私の胸の内は、そんな不安が入る隙間が無いくらいに大きな期待で満たされていました。
3ヶ月という期間。
長いようであっという間の旅でした。
(三ヶ月のルート。矢印だらけでめっちゃ見づらいな。。)
ロンドンから深夜バスでエジンバラへ。そこから一気にオークニーまで北上し、そこからはアバディーンへ移動。そこから西へスコットランドを横断するように移動し、アイランドホッピングを開始。最後はグラスゴーからローランドへ行き、そこから北アイルランドへ向かうという旅程でした。
その間、閉鎖・現役を問わず、訪れた蒸留所の数は実に112カ所。現役の蒸留所では、ダフトミルとスペイサイドの2つをのぞく全ての蒸留所に訪れました。
スコットランド滞在は70日ほどだったので、そう考えると1日1つ以上の蒸留所には訪れていた計算に。
この日々で、体内にアルコールを入れなかった日は一日たりともありませんでしたし、朝、目を覚まして一番最初に口にしたのがウイスキー、なんて日さえありました。
慣れない海外の環境に疲れた時もありましたが、そんな時、ウイスキーを飲むと、とてもホッとすることができました。
いまでも鮮烈に覚えているのが、エジンバラのスコッチウイスキー・エクスペリエンスを訪れたときのこと。
まだまだ旅の序盤で、旅の方法さえ分かっていなかった当時。試飲で出されたグレンキンチーを口にした時のことです。その味わいは、日本で口にする味わいとなんら変わること無く、そんなことで気がすーっと楽になったことがありました。自分でも意識しないうちに気が張っていたんだなぁと実感すると同時に、その味わいが私の気をほぐしてくれたことに感動したのを覚えています。
それ以外にも、たくさんの忘れられない体験が出来ました。
ピトロッホリーでは、初めて赤の他人の車に同乗させてもらいました。
ローレンスカークでは、おっちゃんにパブでの過ごし方を教示してもらいました。
キースでは、クーパレッジで樽の解体・再生作業を見学させてもらいました。
フォート・ウィリアムでは、ホステルのみんなとキャンプファイヤーを囲みました。
また、各蒸留所ではとても貴重な体験をさせてもらえました。
特に、観光客の受け入れをしていないノービジター蒸留所では大変な迷惑をかけながらも、アポ無しでやってきた見知らぬ東洋人を温かく受け入れてくれる蒸留所も多く、実際のウイスキー造りをされている方に、機器の操作法などを教えてもらいながらガイドしていただくという、とても贅沢で感動的な体験もさせていただきました。
いま思うと、スコットランドで過ごした日々で、嫌な思いをしたことなんて一度も無かったのではないかと思えます。
みな、とても親切で、世話好きで、お喋り好きで、若干の無神経さと奔放さを兼ね備えた、とても愛すべき方々でした。
(手持ちのパソコンにはエクセルで予定を書き込みながら旅をしていた。中には結構シビアなタイムテーブルも多く『このバス逃したら終わり』『移動手段無いので、ヒッチハイクor徒歩』といった表記もあった)
公共交通機関のみでのバックパッカー旅では、バスや電車のタイムテーブルを把握することがとても大事。
なるべく前日までにはスケジュールを確認して、安心して移動できるようにしておりました。
ネット環境も、Wi-Fiをのぞいては無かったため、前日のうちに、Wi-Fi環境のあるパブやホステルなどで、翌日の地図などを全て確認しておくことがとても重要でした。途中で道に迷っても、現在地を把握する方法はその地図しかないわけですから。細かい箇所にある蒸留所などは、正確な場所を知るためにコンパスや地図を駆使して、現在地と照らし合わせながら向かったものです。
以下、せっかくなので、この旅で重宝したサイトを紹介したいと思います。
同じようなことをしたいと考えている方の参考になればと思います。
・ヴィジットスコットランド(http://www.visitscotland.com/)
スコットランドの総合観光サイト。B&Bやアトラクション探しにはちょうどいい。
・ウイスキーマップ(http://www.maltmadness.com/whisky/map/Scotland/)
蒸留所のおおまかな位置情報を教えてくれるサイト。当初は、このサイトで「どうまわれば効率的に蒸留所を回ることができるか」というルートを決めるのにとても役立った。
・ワームタブ.com(http://www.wormtub.com/distilleries.php)
正確な蒸留所の情報がデータベース化されている。所在の緯度経度が記載されているので、Googleマップ先生と併せて、閉鎖蒸留所などの位置を確認するのにも役立った。旅の途中でこのサイトを発見して以降、蒸留所巡りが格段にしやすくなった。
・トラベラインスコットランド(http://www.travelinescotland.com/welcome.do;jsessionid=FB07A83EA17DB4E7A3577B7D73502B93.sc2)
バスや電車、フェリーに至るまで、公共交通機関のタイムテーブルを一括で検索できるサイト。とっても役立つ。
・ホステルブッカーズ(http://www.hostelbookers.com/)
宿探しの必需サイト。大きな町には必ずホステルがあるもので、安宿を探すのにはとても便利。
少しでも、みなさんのスコットランド旅の参考になればと思います。私の情報はどんどん古くなってしまいますが、もし訊ねたいことなどありましたら、どしどしコメントしてください。答えられる範囲でお答えいたします。
さて。
ブログ本編ではスコットランドを発って、これからアイルランド編がスタートするわけですが、ここらで一旦おわりとさせていただきます。
思えば旅を開始し始めた2012年4月1日から、もう3年の時が経とうとしています。
帰国し、このブログを立ち上げたのが同年の10月1日。
当初は毎日1つずつ記事をあげることを目標に、半年もやれば書ききるだろうと思ってやっておりましたが、ずるずると日常にまみれているうちに、もう2年半も経ってしまいました。
今後は、暇な時間を見つけてアイルランドや国内の蒸留所の訪問記をあげていこうと思います。
ちょうど『マッサン』も終わることですし、タイミング的にもいいでしょう。
帰国後も、この旅で出会った方々とは多くつながりを持ったままでいます。
いまの職場も、この旅での経験が無ければ得ることが出来なかったものだと思います。
この旅は、とても短い期間でしたが、私の人生にとって、とても大きな影響をあたえてくれました。
いまでも、ウイスキーを飲むとき、ふと「この香り、トバモリーのマッシュハウスの香りがする」とか「フェッターケアンで飲んだのと同じシリアル感がある」とか果ては「ダルモアで嗅いだ雨と潮っぽさのニュアンスがある」とか感じることがあります。
その度に、私はスコットランドへの旅情をかき立てられるのです。また行きたいなぁ。ホントに。
私が旅を終えてから、新設の蒸留所の建設ラッシュがあったり、ウイスキーを取り巻く環境は変わりつつあると思います。
今回行けなかった2つの蒸留所も含めて、心残りはありますが、それは次回へのお楽しみということにしておきましょう。
最後に。
この旅で出会ったすべての人に心から感謝を述べたいと思います。
本当にありがとうございました。
これからも、ウイスキーの魅力を少しでも世間に伝えられたらと考えています。
それでは、みなさん。
よいウイスキーを!