2012.05.14
インヴァネスからバスに乗り、目指すは本島の西海岸沿い。2時間以上の長旅です。
このバスの旅がなんともアドベンチャーで、とにかくバスが跳ねる跳ねる。まぁ山道なのでそれはしょうがないとしても、私にはもっと深刻な問題として無事、目的地に降り立つことができるだろうか、という問題があった。
というのも、この長距離移動のバスでもバス停の表示などは一切無いので、周りの景色などを確認しながら、自分で「次、降ろして」というようなアピールをしないといけないのである。
コンパスと地図で、今バスがどっち方向に向かっているのかを確認しつつ、タイムテーブルで大体の現在位置を掴みながら行くのだが、どうも景色と手許の地図が合わないような気がしてくる。
そうこうするうちに、右手に海岸線が見え始め、時間も予定到着時間の10分前くらいになり、とうとう我慢できずになって、意を決して走行中の運転手さんに話しかける。
「オールトベアってまだ?」「それなら次だよ。どこまでだい?」と。「ドラムチョークロッジホテル」とバリバリのカタカナ語発音で答えると、無言で親指を立ててくれ、どうやらノープロブレムな感じ。
安心して待っていると、ほどなくバスストップに停車したので、さてここか、と降りようとしたのだが、運転手さんにそれを制され、曰く「ここはバスストップだから、ホテルの前で降ろすよ」とのこと。こちらの運転手さんはこういった融通を利かせてくれるのでとても好きだ。
言った通り、ホテルの前の道まで乗せてくれ「この坂、登っていったらホテルだからな」と降ろしてくれる。
天気は雨。それもかなり強い雨で「サンキュー」とバスを降りると、フードを目深に被って坂を上り始めます。
(雨上がりにはきれいな虹がかかっていた。なにか歓迎をうけたような気がして嬉しかった。大雨だったけど)
そして目的のドラムチョークロッジホテルに到着です。
(右手の大きな建物がホテル兼、パブレストラン。そして左手奥にある蒸留所の看板に気がつくだろうか…)
門をくぐるや否や、写真で見たことのある手作り感満載の「LOCH EWE DISTILLERY」の文字がある蒸留所の姿が!
興奮しつつも、いまは雨。先にチェックインを済ませよう、とホテルの受付に入っていきます。
受付をしてくれたのは蒸留所オーナーご夫妻の奥さんのようで、ふっくらスコットランド体型のフランシスさん。
「何でここまで来たの?」と訊ねられたので「バスで。インヴァネスから」と答えると「それは長旅だったわね。運転手は○○?」と名前を出して訊かれたのだが、そもそも運転手さんの名前など知る由もない「いや名前は分からないけど」と答えると「多分、彼ね」みたいに言っていて、どうやら馴染みの運転手さんのよう。
出発の日のことも訊かれたので、これはいい。ちょうど出発の日のバスは少し分かりにくくて、訊けたら訊ねようと思っていた所だったので「出発の日はバスでアラプールまで行きたいんだ」と告げると「あら。アラプール行きのバスがあるのは木曜日だけよ」と言われ一瞬固まる。
タイムテーブルを見せつつ「ほら、このバス」みたいに説明するも「まぁ信じないならいいけど」みたいに言われてしまい、不安は解消するどころか2倍3倍に。
とりあえずチェックインを済ませて部屋に案内してもらい「ご飯食べる?」というので、そのままバーまで降りていく。
バーには地元のおっちゃんが一人と、ご夫妻が一組、なにやら談笑していて、蒸留所オーナーのジョンがカウンターに立っていた。
とりあえずステーキパイとビールを注文して、それを待っていると、突然フランシスが隣から日本語のウイスキーマガジンを放ってきて、その乱雑さに思わず笑った。
その私の笑顔をどのように解釈したのかは分からないけど、フランシスは満足そうに「うちにはなんでもあるのよ」とにやり。
そのウイスキーマガジンをぺらぺらと眺めている間に料理も到着し、それを食べながら周りの人とも何となく会話。
(ステーキパイ。つけあわせのキャベツがおいしかった)
もぐもぐ食べていると、フランシスがジョンにバスのスケジュールを確認してくれている。しかしジョンも「アラプール行きは木曜だけだと思うけどなぁ」みたいな答えで私の不安はもうどうしようもなく高まるばかり。そんな私の困り顔をみて、夫妻やその他のお客さんまで巻き込んであーだこーだ言って、最終的には「心配ない。ノープロブレム」と。本当に大丈夫であろうか。蓋し不安である。
そんなこんなで食事と晩酌を済ませ「明日はウイスキーを飲むね」と言って部屋に戻る。
ぬるく、勢いも弱いシャワーを浴びてひとまず落ち着いてバスのスケジュールを改めて確認しようとするも、部屋にはWi-Fiが通っていないようでインターネットも使えない。
まぁどうにかなるさ。それよりも明日は念願のロッホユー蒸留所だ。それを楽しみにしよう。と、2日後の心配を見ないフリして、明日の楽しみだけを胸に就寝。思えば今日はエルギンからの大移動。それも蒸留所をまわりながら。それは疲れるわけだ。
(「部屋に持ってっていいわよ」と言われたので持ってきた)
思いの外、長くなりそうなので少し分けて上げていこうと思います。ロッホユー蒸留所はすぐそこ!ドラムチョークロッジホテルはサービスは悪いかもだけど最高のホテルだよ(笑)!
#Loch Ewe