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069. グレングラント(そしてキャパドニック)/ Glen Grant,(and Caperdonich)

2012.05.12

 グレンスペイ蒸留所の外観だけを撮影した後は、その足でグレングラント蒸留所を目指します。2012年、最も話題にあがった蒸留所の一つではないかと思います。


(ロセスの町の北側にあるラウンドアバウトに看板が出ております)


(看板に従っていくとほどなく見えてまいります)

 こちらの蒸留所は、イタリアのカンパリ社が持つ蒸留所。敷地内にはイタリア国旗もはためいております。


(ポットスチルのオブジェがお出迎え)

 何を隠そう、このグレングラントに来るのは2度目。というのも、数日前、アベラワー蒸留所の見学を終えた後に、一緒にまわっていたおっちゃんにここまで連れてこられたことがあったからです。
 その時は、時間が夕方を過ぎていたこともあって、ツアーをまわることは出来なかったんですが、今回は、きっちり時間通り。
 ビジターセンターに入っていくと、ちょうど前回も受付に立っていた紳士が今回もいて、私のことも覚えていてくれた様子。私の姿を確認するなり、少し口を丸くしながら「ハローアゲイン」と挨拶をしてくれた。
 「ツアーに参加できるかな?」と言うと「もちろんですとも」と、非常に紳士然とした口調で受付を済ませてくれ、ツアーまでの時間はショップを見学です。


(蒸留所限定のボトルはもちろん)


(グレングラントウイスキーを使用した、コンポートやマーマレード)


(さらにはマスタードやピクルスまで)

 ショップを楽しんだ後はいよいよツアーの開始。受付の紳士がそのまま案内してくれた。


(蒸留所のすぐ脇を川が流れている)


(所内には樽で作られたテラス席も。写真奥に写っている柵の向こうは工事中で、なんでもいまボトリング設備を建設中なのだとか。完成し次第、こちらでボトリングまで一貫して行えるようになるらしい)

 まずは、入り口のパネルがたくさん並んだ部屋で、蒸留所の歴史をお勉強。グラント兄弟の功績を学んだ所で、実際に蒸留所の中へ入っていきます。


(こちらの建物は、創業当時から残っている歴史のあるものだとのこと)

 一通り、製造の工程に従って見学を済ませ、そしてなんと言ってもこちらの蒸留所の見物は、なんとも妙な形のスチルが並ぶスチルハウスです。


(どどーん。初留釜、再留釜が交互に各4基ずつ、計8基のスチルが並びます)


(中でも注目すべきはこの初留釜の形状!ボディの四角いシェイプもさることながら、直角に曲がったラインアームも、とっても特徴的)


(さらに特筆すべきは、全てのスチルにピュアリファイアーが取り付けられているということ)


(初留釜の形状に目を奪われがちですが、再留釜のシェイプも面白い。一応ボール型なのだが、その膨らみはとても貧しく、心許ないような印象を与える。さらにさらに、手前から二つ目の初留釜にご注目頂きたい。先の写真でお見せしたように、他の初留釜はラインアームがぐねぐねと折れ曲がっているのに対し、なぜかこちらの初留釜だけはラインアームが直線。ガイドの紳士に「なぜ?」と訊ねたのだが、私の英語がまずかったのか、或いは、紳士もその理由までは知らなかったのか、明確な答えは得ることが出来なかった)


(スチルハウスの外にはコンデンサーの姿も。すすけている。。)

 いやぁ。まったくもって見所だらけのスチルハウス。非常に興味深かったです。

 ツアーも終盤に差し掛かり、そろそろビジターセンターへ戻って試飲といきますか、という頃。
 今回のツアーに参加したのは十数人いたのだが、単身での参加は私だけだったよう。そのこともあって、所内を移動中に、ガイドの紳士となにやら世間話のようなことをしたりしていたのだが、ふと思い出して「そういえば、キャパドニック蒸留所はどこ?」と訊ねてみる。

 グレングラントの第2蒸留所として建てられたキャパドニック蒸留所は2003年に閉鎖。手元の『シングルモルトウイスキー大全』によると「建物は今も残っている」とのことだったので、その建物だけでも見せてもらおう、と思ったのであるが、ガイドの紳士の答えはあっさりしたもので「キャパドニック蒸留所はもう閉鎖されました」と。
 うんうん。閉鎖されたのは分かっている。でも建物は残ってたんじゃないの?と訊ねるも「建物はもう残っていませんよ」と。「ちょうどあっちの方にあったんですけどね」と今では何も無い辺りを指差して、説明してくれ「じゃあいつ頃取り壊したの?」と訊ねると「さて。いつだったか。。この数年の内ですけど、正確には分かりません。なんせキャパドニックについて聞く人なんて滅多にいないから。後で調べてましょう」とのこと。
 てっきり建物は残っているものと思っていたので残念。しかし、後になってから、そういえば数年前に信濃屋さんがスティル・スタンディングってボトルを出していたじゃないか!あれは確か取り壊しが決まった時に出したボトルだったはず!ということを思い出し、勝手に納得。

 キャパドニック蒸留所が無くなっていたのは残念でしたが、面白い形のスチルに、新設のボトリング設備の情報など、色々楽しめた蒸留所でした。

#Glen Grant(and Caperdonich)

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