2012.05.09
トミントールの町から、山登りのアトラクションとヒッチハイクを経て、6マイル離れたトミントール蒸留所へ到着。
写真の看板でもお分かりの通り、こちらの蒸留所は予約をしておかないとツアーは出来ない。
当然、行くことが確定していたのであれば私も予約をしたのだろうが、如何せんこの日は、ヒッチハイクの移動がメインとなる運頼みのルート。ここまで到着できるかどうかも怪しかったので、予約はしていないのである。
結果、どうしようかなー、と思いつつも、オフィスっぽい建物を無視してそのまま中へ。ほどなく第一スタッフを発見したので声をかけると「オフィスに行きな」と言われてしまい、だよねー、って感じでオフィスへ。
オフィスのドアを開いて、出てきたおっちゃんに交渉。「予約してないんですけど。。」と言うと「アポが無いのは分かってる。ホントはダメ」と言いながらも、どこかへ電話をかけてくれる。
なにかを確認するように二、三言葉を交わした後に電話を切ると、私に向かって「マッシュマンが一人残っていたから、彼に案内を頼むことにする。でも、全部は見せられないからね」と、わざわざ私のために人員を割いてまでツアーをしてくれると言うではないか。
申し訳ないやら嬉しいやらでオフィスで待っていると、ほどなくしてスキンヘッドのおっちゃんが登場。一見、無愛想でちょっといかつい感じのおっちゃんだな、と思ったが、私と一言二言喋って、私の英語力が低いと言うことが分かるや否や、そこに合わせたシンプルで丁寧な解説をしてくれて、とても親切なおっちゃん。名前を名乗りつつ自己紹介をしたら、突然「ケンドーナガサキ!」と叫ばれて、ぎょっとする。なんのこっちゃ分からなかったのだが、彼の話によると、昔、そんな名前の覆面レスラーがいたんだそうだ。私の名前と、日本人ってことで思い出したのだろうが、残念ながら私はそのレスラーのことを知らなかった。当然、彼の前では「あーあー、あのケンドーナガサキね!」みたいな相槌を打ちましたが。。
そんなこんなで、強面の割に優しいおっちゃんと二人でツアー。「忙しいから20分くらいだぞ」と言いながらも、かなりしっかりとガイドしてくれた。
(ステンレス製のマッシュタン)
(こちらはアンダーバック。マッシュタンから取り出したウォートの具合を確かめたりするための装置)
(それらの工程は、コンピュータでしっかり管理されている)
(ウォッシュバックはステンレス製のものが6槽。こちらの部屋に3槽と)
(隣の小さめの部屋に3槽)
(そしてお待ちかねのスチル!)
(スチルは計4基。壁を挟んで初留と再留がペアになっているのが2ペアです)
(すべてボール型のスチルです)
(後ろからも)
(ネックはどちらもやや上向き気味にコンデンサーへ)
(残って作業していたスチルマンのおっちゃん。アポ無し訪問にも笑顔で応えてくれた)
と、そんなこんなでツアーは終了。蒸留所入り口の所まで案内してもらって、軽くおっちゃんと世間話。さて、これからまた、クラガンモアの宿までヒッチハイクだなー、なんてことを話していると、おっちゃん。「急ぐかい?」と。
暗くなってはヒッチハイクしづらいだろう、と思いつつも、最悪歩いても3時間かそこらで帰れるだろうし、と思い「ノー」と。すると「こっちきな」みたいなジェスチャーでオフィスの中へ再び案内してくれる。はて?と思いつつ案内されるままにしていると「テイスティングする?」と言ってくれるではないか。これはラッキー。モートラックで飲ませてくれたみたいに、オフィスの入り口で試飲だけでもさせてもらえるのだろう、と、すかさず「イエス!」と元気よく返事をする。おっちゃんはニヤリと笑うと「カモーン」みたいに私を奥へ連れて行き、ドアを開ける。
そこは会議室のような小部屋で、中央にあるテーブルには10名ほどが席についている。そしてテーブルの上に並べられているのはトミントールのボトルたちである。
どうやらテイスティング会が開かれていたようで、えー!?と思い立ちすくんでいる私を、おっちゃんが「日本からのゲストだ」と言って皆さんに紹介してくださった。
(ドアを開けたらこんな感じ。いきなりこんな部屋に通されて困惑気味の私を、みなさん温かく迎えてくれた)
なんか、とんでもないところにお邪魔させてもらったんじゃなかろうか。。と、かなり恐縮しつつも、みなさん、もうほどよく酔いもまわっているのか、かなりフレンドリーに接してくれた。
(みなさんフレンドリーに接してくれた)
けっこう、冗談なんかもばんばん言われているようなのだが、残念ながら英語が分からずに曖昧な表情をしていると、そのうち「シリアスなボーイね」と、冗談を真に受けている真面目な青年、という感じに受け取られてしまった。
(みなさん真剣に話をしている場面も)
こちらだと「サントリー」といった企業名は知られていても「山崎」みたいな蒸留所名まで知られていることは少ない。町のパブでおっちゃんに「日本がウイスキー作ってるだって!?」と顔をしかめられたこともあるくらいで、それほど一般に知名度は高くないのだなーってことを思い知らされたのだが、さすがにこの場にいた方々はよく知っていて、秩父や羽生のことまで話題になった。色々と日本の蒸留所やウイスキーのことについて聞かれたのだが、英語力不足で、しっかりと伝えることが出来まかったのが本当に残念。申し訳なかった。
(卓上にあるボトルを「あれ飲みな、これ飲みな」とどんどんグラスに注いでくれた)
(しまいにゃおつまみも出てくる始末)
マネージャーによる解説なんかもついて、あっという間に1時間足らずも過ごしただろうか。そろそろ散開の時間である。
マネージャーも私に話しかけてくれて「これからクラガンモアまでだって?どうするんだ?」と。答えづらそうに「ヒッチハイクかなー。それか歩き。。」みたいに返すと「彼らに聞いてみたらどうだい?」と、口添えをしてくれて、その中の一組のご夫妻に交渉してくれる。ちょっと迷惑そうではあったけれど、それでも、ご夫妻は私を乗せてくことに了承してくれたようで、宿までの足まで見つかって本当にラッキー。得難い経験をさせていただきました。
(最後は看板の前で雷鳥(?)と記念撮影)
私を乗せてくれたご夫妻はオランダから来たんだそうで、ここ8年ほど連続で「スピリット・オブ・スペイサイド」には参加しているとのこと。車内でも、拙いながらいろいろとお話をして、貴重な時間を過ごせました。
無事、宿の近くまで送ってもらい、今日のディスティラリー・トレイルは終了。当初は、とてもじゃないが全部はまわれないだろう、と思っていたのだが、蓋を開くと計5台の車に乗せてもらって、4つ全ての蒸留所を巡ることに成功。蒸留所を巡るだけでなく、そこへの移動なども含めて、人とのふれあいが濃い一日でした。
(今日一日のルート。最初のクラガンモア→グレンリベット以外は全部、車に乗っけてもらったことに)
#Tomintoul