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030. グレントファース / Glentauchers

2012.05.02

 オルトモア蒸留所で取りつく島もなくあしらわれてしまった私は、今度はキースからA95をひたすら西へ向かった場所にあるグレントファース蒸留所へ行くことに。
 個人的に三大難読蒸留所の一つです。(「Glentauchers」は普通に読めない。あと一つはもう訪れた「Glengarioch」。最後の一つはなんでしょう?)
 ちなみに表記は「グレントファース」とすることが多いと思いますが、実際聞いた発音に忠実な表記だと「グレントウファース」ってなるかと。紛らわしいので前述の表記で統一します。

 というのも、キースの街中にある3つの蒸留所はどこも30分徒歩圏にあるからで、先に遠い方を済ませておけば、街中のは後でいくらでもまわれるからである。

 オルトモアから南下し、A96とA95が交わるところで右折して、あとはひたすらに歩き続けます。


(さすがはスペイサイドといった風情の看板も)

 さて、ここからは1時間ほどでつくかなーと歩き始めたはいいものの、行けども行けども煙突の影さえ見えない。
 余談ではあるが、蒸留所探しの時に一番の目印となるのはやはり煙突。とはいっても、煙突だけだと蒸留所以外の工場だったりする可能性もあるので用心が必要で、次に目印となるパゴダ屋根が見つかれば、もう確定したようなもの。まずは煙突を見つけて「おっ!?」となって、その次にパゴダ屋根を見つけて「おおっ!!?」となって、そこにガラス張りのスチルハウスなんかが目に入れば、もうわくわくってなもんである。

 そんなこんなで見つからない不安。もともとネットやなんかの情報をもとに、グーグルマップ先生とにらめっこして大体の位置を目算しているに過ぎないので、A95沿いだと思ってはいたものの、実際にはここからひとつ丘を越えたその陰にありました、なんていわれても気付くわけもない。起伏もあるので、一つ丘の向こうにあっただけで見落としてしまう可能性は充分にあるわけで、どうもそわそわしてしまう。
 ちなみに、このA95沿い、というのはグーグルマップ先生のストリートビュー機能で完全に見ることが出来るので、お暇な方は、キースから出発して、ひたすらに西進するルートを確認していただきたい。どこまでも続く牧歌的な風景の中、私が猜疑心に駆られながらも蒸留所の影を探し求めた心情、というのが分かりやすく体験できると思います。あと、キースのそこら中を走っていたシーバス社のタンク車も写りこんでましたし。

 そんなこんなで、猜疑心もピークに達そうという頃。右手の平原からにょきっと伸びる煙突、そしてパゴタ屋根が!ぐんぐん近づいていくと、あっという間にガラス張りのスチルハウスも!


(おおっ!!)


(おおおっ!!!)


(到着。シーバス社の持つ蒸留所です)

 到着までの不安も手伝ってか、平原に悠然と建つ蒸留所の姿は感動すら覚えるロケーション。
 とはいえ、こちらの蒸留所もノービジター。オフィスも見当たらないし、とりあえず、すかずか入って行きます。


(窓越しにスチルの姿が)


(熟成棟(?)の壁面には古く見にくくなったロゴの上に新しくきれいなロゴが。見やすくはあるが風情ってもんが。。)


(煙突とドラフの排出口)


(パゴダ屋根がきれい)

 うろちょろとしていると、ある建物の中に人影が!どうやらそこは事務所のようで、パソコンやらの事務用品が並んでおり、外をふらふらしている私と、中でコーヒーかなにかを飲んでいるおっちゃんとが、窓越しに目が合う。
 軽く会釈しながらドアに近づくと、私がノックをするまでもなく開けてくれる。「見ていー?」「ノー」と、ノービジター蒸留所では最早お決まりとなったやり取りを済ませ、仕方がない帰るか、と思ったのだが、ふと周りを見渡したら、オフィスのすぐ真裏のドアに「スチルハウス」の文字が!!

 興奮しながらも、たった今「みちゃダメ」って言われたばっかり。それもオフィスの真裏で、裏手にも窓があるから、中のおっちゃんが私の動向を注意していたら怒られてしまうかも、と思いつつも、興味には勝てずスチルハウスのドアを覗きます。


(むむっ!?)


(むむむっ!?)

 覗いて見ると、確かにスチルの姿を認めることは出来たのだが、如何せん下から覗き込むようにしか見ることが出来ず、全貌を確認することが出来ない。うむむ。逡巡したものの「ハロー?」とか声を出しながら、一歩、また一歩と建物の中に入っていきます。


(コンデンサーの姿と右手にはパソコンも。でも誰もいない)


(そしてどーん!!ストレートヘッド型のスチルが等間隔に6基)

 稼働中で熱気もすごかったのですが、しかし人がいない。オフィスで「ダメ」と言われている手前、あまりここに長居するのはよろしくないだろう、と写真を撮ったらそそくさと退散。
 なんとかスチルも見れて、長い距離を歩いてきた甲斐があったというもの。帰りもまた同じだけの時間をかけて、キースの町まで帰っていきました。

#Glentauchers

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