こんばんは。
只今17時30分。
冒頭のご挨拶を“こんばんは”か“こんにちは”か迷った酒井です。
私的には夕方は“こんばんは”なんですが…。
夏の17時30分は明るくて昼みたい。“こんばんは”が似合いません。
皆さんならどっち使いますか??
さてさて本日は久し振りの「本紹介」シリーズ。
毎月2冊くらいは読んでいたのですが。
自分の中では本の感想を文章にするのはごっついエネルギーを使う作業でして…。
しばらく敬遠しておりましたヾ(;´▽`A
でいかんいかんと思い直しました。またちょくちょく書かせていただきます。
本日はこちら。
山好きな方ならば、名前くらいは知っているであろう有名人、加藤文太郎の著書です。
ヤマケイ文庫から再発行されてます。
加藤文太郎は高峰の冬期登山が一般的ではなかった(ましてや単独など尚更)時代に、たった一人で厳寒の北アルプスを駆け抜け、「不死身の加藤」の異名をとった、大正から昭和初期にかけての登山家。
新田次郎著「孤高の人」や、谷甲州著「単独行者」にも描かれています。
残念ながら、1936年に風雪の槍ヶ岳北鎌尾根で遭難死してしまいました。
ですが、その超人的な身体能力、精神力から、周囲の人間は遭難の一報を聞いてもにわかに誰も信じられなかったようです。
私は加藤文太郎が好きです。
…何故惹かれるかというと、一言で言えばそのほとんどの山行が単独行だから。といって実は、別に人と登るのが嫌いなわけではなく、しばしば山中での一人の寂しさを吐露し、人里を恋しく思う、という相反する思いに悩む人間臭さが好きだから。
そして。
「山行の内容について問いかけない限り、決して自分から成し遂げた偉大な業績を語ろうとしなかった。そしていつものように親しげな、しかもきわめて謙虚な態度でにこにこと笑っている加藤君だった。」-藤木九三談
という、シンプルに“自分の中の山”にこだわるところが好きだからです。
私はよく一人で山に行きます。
…でも行くと大抵は人恋しくなる。
自分から人のいない山へ出かけていって、山ん中で人を想うって。
なんじゃそら!?的な心境です。
わざわざしんどい思いをして、こんなところまで一人でやって来て、で寂しいとか。
??(?д?)??です。
挙句に人里まで下りてきたらホッとするって…。もう自分でも意味わかりません。
…でも一人で山に行かなくなるのかというと、そんなことはなくまた行ってる。
…本文中にこんな記述があります。
「今日は正月だ、町の人は僕の最も好きな餅を腹一杯に食い、嫌になるほど正月気分を味わっていることだろう。僕もそんな気分を味わいたい。故郷にも帰ってみたい。何一つ語らなくとも楽しい気分になれる山の先輩と一緒に歩いてみたい・・・・・・・それだのに、それだのに、何故僕は唯一人で、呼吸が蒲団に凍るような寒さを忍び、凍った蒲鉾ばかり食って、歌を唄う気分がしないほど寂しい生活を自ら求めるのだろう」-加藤文太郎
…偉大な登山家と私を一緒にするのは大変恐縮なんですが。
文太郎でもそーなんや!とちょっと嬉しく思ってしまいました。
本の内容の記録部分には山行報告が多く、アルプスの地形を理解していないと分かりづらいですが、文太郎の個人的な考察部分は小説のようでもあり、読み応えアリです。
装備品や食料のメモ等の資料も少し掲載されています。
「アマ納豆一日200匁」
1匁=3.75gらしいので、一日750gもの甘納豆を彼は山へ持っていった様子。もちろん他にも食料は持って行っています。
…食いすぎやろ甘納豆。
どんだけ好きやねん。
…そんな甘納豆大好きなおちゃめな加藤文太郎に興味がございましたらぜひ一読を♪