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スプリングバンク(続き)

いよいよ本編です!

スプリングバンク10年(46度、700ml) Springbank
 
ハイランド南西部のキンタイヤ半島に位置するスプリングバンク蒸溜所は、キャンベルタウン・モルトの最盛期の1828年に創業。最初にライセンスを所有していたのはレイド一族であったという。1837年ジョン・ミッチェルとウィリアム・ミッチェルによって買い取られ、経営難やモルトの過剰在庫により操業停止していた時期もあったが、現在のオーナー会社であるJ&Aミッチェル&カンパニーが設立される1897年までミッチェル一族の多様なメンバーによって運営されていた。
 
蒸溜所はキャンベルタウンの街の中心にある。同蒸溜所の特徴は昔ながらの製法にこだわり、原料である二条大麦の発芽から瓶詰めまで蒸溜所内でおこなっている事。
 
瓶詰め設備を持っている蒸溜所は、スプリングバンクとグレンフィディックの2ケ所だけである。更に、カラメルなどの色調整のための添加物を使用せず、また冷却濾過をせずに瓶詰めを行うなど、独自のテイストを追及している。ポットスチルが3基あるという事実は、ウィスキーを3回蒸留するかどうか検討する理由となった。
 
一般的な初留・再留の2回蒸留によってモルトが生産されている。
 
発酵漕はスコットランド産カラ松製が5基。ポットスチルは初留釜1基、再留釜2基。仕込用水は5km離れたクロスヒル湖の水を使用しているが、これはキャンベルタウンの全蒸溜所のために、アーガイル公キャンベルが19世紀につくらせた貯水池だという。年間の生産量は65万リットルである。
 
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク12年(46度、375ml) Springbank
 
スプリングバンクは独特のコクのある風味をもちながら、しつこくないピート香を感じさせ、熟成の妙味を特徴としている。また、熟成期間の違いでボディの違い、微かに甘味が変化する楽しさを体験できる。加えて、蒸溜所がキンタイヤ半島の南端に位置する関係上、長期間海風を吸い込みながら熟成する。即ちアイラ・モルト的な特徴も若干加味され、より独特なテイストが誕生する。
 
スプリングバンク12年は、同蒸溜所オフィシャルボトル。以前リリースされていたバーボン樽熟成の物で、既に終売(現行品はシェリー樽熟成)。
 
ホワイトワインの色調。塩辛く、草や葉の香り。スムースかつライト~ミディアムボディ。塩辛くややオイリー、フルーティで甘やかなキャラクターを伴う。塩辛く、かつ、甘やかなフィニッシュは食前酒に最適。
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク・バーボン・ウッド12年(58.5度、700ml) Springbank Bourbon Wood
 
ウッド・エクスプレッションシリーズの第4段として発売された、スプリングバンク蒸溜所オフィシャルの12年物で、カスクストレングスでのボトリング。5986本限定。
 
Cask Type: Hogsheads / Barrels
Distilled: 1991
Bottled  : Feburary 2004
Outtum   : 5986 Bottles
Contents : 70cl
Strength : 58.5%
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク・ポート・ウッド13年(54.2度、700ml) Springbank Port Wood
 
ウッド・エクスプレッションシリーズの第2段として発売された、スプリングバンク蒸溜所オフィシャルの13年物で、カスクストレングスでのボトリング。3120本限定。1989年蒸留の原酒をバーボン(ホッグスヘッド)樽で熟成させた後、ポートワインの熟成に使用した樽(パイプ)で、さらに4年間熟成させたもの。ほとんど郵便ポストのような鮮紅色、だと形容される。
 
Cask Type: Port Pipes
 
Distilled: 1989
Bottled  : Feburary 2003
Outtum   : 3120 Bottles
Contents : 70cl
Strength : 54.2%
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク・ラム・ウッド12年(54.6度、700ml) Springbank Rum Wood
 
2002年5月、「ウッド・エクスプレッション」シリーズの第1段として発売されたスプリングバンク蒸溜所オフィシャルの12年物で、カスクストレングスでのボトリング。限定5700本。1989年蒸留の原酒をバーボン(ホッグスヘッド)樽で7年間熟成させた後、デメララ・ラム樽(バレル)でさらに5年間熟成させた、同蒸溜所新機軸のファーストリリース。
 
Cask Type: Hogsheads / Barrels
Distilled: 1989
Bottled  : April 2002
Outtum   : 5700 Bottles
Contents : 70cl
Strength : 54.6%
 
Colour: Gold with a green tinge.
Nose  : Good balance. Very fragrant with underlying notes of sweet fruit.
Palate: Substantial flavour. Hints of ripe fruit and cloves with a rich malty character
Finish: Lingering spicy-sweet finish.
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク1999年 スモール・カスク9年(52.7度、700ml) Springban Small Cask
 
日本市場限定のスプリングバンク。樽がどれほど重要かをこれほどまでに分かりやすく提示したモルトは初めてではないだろうか。カカオの割合が高いチョコレートとの相性抜群な激ウマモルト。
 
熟成樽として最小サイズの50リットルと100リットルの小樽で熟成した革新的なウイスキー。
 
好評のヴィンテージ1997を超える商品として、フランク・マッカーディー(生産責任者)が送り込んだ商品がこのスモールカスク。
 
ライトなキャラクター&ボディな今までのスプリングバンクには無い、濃密で、圧倒的な個性とフレーバーだ。
 
容量の小さい樽を使用すると熟成が早く進み、色は9年熟成としては異例の黒に近い茶色で、蕎麦の花の蜂蜜、レーズン、ハイカカオのチョコレート、タバコがバランス良く、おいしいモルトを予感される美しい香り。
 
味は、オレンジマーマレード添えのラム酒の効いたブラウニーで、正に夕食後の大人のデザートだ。
 
9年とは思えないほど複雑で、重厚感、立体感に満ち溢れている。
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク・クラレット・カスク12年(54.4度、700ml) Springbank Cralet Cask
 
年1回リリースのウッドエクスプレッションシリーズより、今年はクラレットカスク12年がリリースされた。
 
ウッドエクスプレッションは熟成樽によるウイスキーの風味の違いを楽しんでいただく為に加水は一切せず、自然な状態でボトリングしている。
 
スプリングバンク・クラレットカスク12年は、2段ではなく、3段熟成ウイスキーで、熟成の詳細は
 
1.リフィルバーボン…7年
2.フレッシュクラレット…3年
3.リチャー(内側を再度焦がし直した樽)…2年
 
香りは、ヘーゼルナッツのシロップをかけた塩キャラメル、コナコーヒー、コーラ、イチジク、デーツ(ナツメヤシの果実)、ブドウガム、土と大変バラエティーに富んでいます。
 
味わいは、フルーティで甘やか、そして極めて優しくスムースな口当たり。オレンジ、ミルクチョコ、ジンジャー、塩、バニラ、ハチミツ、アップルタルトで、タンニンが丁度良く効いている。
 
4月でスプリングバンクを去った、ディスティラリー・マネジャーのスチュワート・ロバートソンのサインが入った最後のエクスプレッションだ。
 
Springbank Distillery、イギリス

 

スプリングバンク9年 マルサラウッド(58度、700ml) Springbank Malsala Wood
 
スプリングバンクのウッド・エクスプレッション・シリーズよりマルサラ・ワイン(イタリア、シチリアの酒精強化ワイン)の樽でフィニッシュしたスプリングバンク9年がリリースされた。ウッド・エクスプレッションは、熟成樽によるウイスキーの風味の違いを楽しむためのシリーズで、リフィル・バーボン樽で7年の熟成後、マルサラの樽で2年間フィニッシュしたもの。マルサラ特有の酸味のあるは黒蜜の様な香りと、スプリングバンクのクリーミーな麦芽の香りが見事なバランス。甘みが強く、食後酒として最適なデザートウイスキー。2006年のボトリング。
 
色:小豆色
香り:リッチ&スイート。シロップ、クリームキャラメル、コーヒークリーム、ラム、レーズン、はちみつ。
味:濃厚で芳醇。モルティーで甘口。はちみつ、ナッツチョコレート、クリームキャラメル。
 
Springbank Distillery、イギリス
 

 
スプリングバンク15年(46度、750ml) Springbank
 
スプリングバンク15年は、蒸溜所オフィシャルボトルとして、数ある熟成年数の中核として定評のあったボトル。今はライナップになく、寂しい限り。
 
レモン色の輝きを持つ薄い中琥珀色(蜂蜜色)。中程度の重さでリッチ、油分豊かなオークの香り、少々若草の香りを伴う、非常に軽いピート香。すっきりとして、なめらかで中辛口、良好でクリーミーなオークの味わい、少々の甘さと若草の味わいを伴う。長くなめらかなフィニッシュ、少々のタンニン、仄かなリッチさと塩味が後を引く。
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク15年(46度、700ml) Springbank
 
スプリングバンク15年は、2002年7月、蒸溜所オフィシャルボトルとして新たにリリースされた待望のニューフェイス。
 
スパイシー。シェリー樽80%、バーボン樽20%のヴァッティングを行う。以前発売されていたものと比べて、よりシェリー樽由来の香味が強く、シロップの様な濃密な甘やかさが加わっている。スプリングバンクを語るときの一典型と言えるのではないだろうか。
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク15年 (1979年)(46度、700ml) Springbank
 
スプリングバンク蒸溜所オフィシャル、1979年蒸留の15年物。スリムボトルのシェリー樽熟成品。
 
ホワイトラベルに金色でSのイニシャルがあるデザインは、25年、30年、35年物に引き継がれている。
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク21年(46度、700ml) Springbank
 
スプリングバンク21年は、同蒸溜所オフィシャルボトルとして高い評価を受けるが、21年物の供給は暫く停止し、供給再開は2009年の予定とか。
 
濃い琥珀色から暗いオークの若葉色。潮風、シェリー、オークの香り。しっかりしたミディアムボディの酒質。控えめな塩っぽさ、ココナッツやパッションフルーツ、ナッツのトフィーを思わせる味わい。フィニッシュは塩っぽく、ココナッツ、繊維、オークのキャラクターを持つ。
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク30年(46度、750ml) Springbank
 
同社、「ザ・キャンベルタウン」シリーズの系譜を受け継ぐ、スクウォットタイプのオフィシャルボトルの30年物。
 
古金色の輝きを持つ豊かな琥珀色。豊かでリッチな香り、ほとんどレーズンのような、それでいて少々甘草の香りを伴う、強いタール香がある。甘口でリッチなフレーバー。良好なピートのキャラクター、ビターチョコレートの味わいと塩の辛みがある。フィニッシュは長く、辛みと共に良好な甘さがある。ブリニー(塩辛さ)がアクセントを添えていて、飲む香水と言われる所以(ゆえん)を体現している。
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク35年(46度、700ml) Springbank
 
同社、「ミレニアム・セット」シリーズを構成する、ロングボトルのオフィシャル35年物。スプリングバンク35年は、その第3段となる。
 
同シリーズは、
 
1998年9月に発売された25年物を筆頭に、2001年3月に発売予定の50年物で完成する4年越しの遠大な計画によって完結する、好事家泣かせのプロジェクト。
 
計画は以下の通り、
 
□25 YEARS OLD   SEPTEMBER 1998 (£ 69 ,     Loch Fyne Whiskies)
□30 YEARS OLD       MARCH 1999 (£100 ,     Milroy's     )
□35 YEARS OLD   SEPTEMBER 1999 (£155 ,     Milroy's     )
□40 YEARS OLD       MARCH 2000 ( ?  ; £1200, Loch Fyne Whiskies)
□45 YEARS OLD   SEPTEMBER 2000 ( ?  ;              )
□50 YEARS OLD       MARCH 2001 ( ?  ; £7500, Loch Fyne Whiskies)
 
それぞれには、この内容を記した写真が同梱されており、これら全てを纏めてスプリングバンク蒸溜所に送れば、これらのミニチュアセットが貰える仕組みとなっている。従い、ミレニアム・セットとは飲まずに飾るコレクターズ・アイテムと言う事になる。
 
注:40年、50年は、現在流通しているものの価格を例示。ギネスブック1990年度版にはスプリングバンク1919年の記載があり、ロンドンのハロッズで1本£6500で販売されている、との紹介がある。今は昔、オークション市場ならいくらの値が付くのやら。
 
スプリングバンク35年のテイスティングノートは、
  
■Michael Jackson, Malt Whisky Companion 4th Edition」Dorling Kindersley, 1999
 
に拠ると、、、
  
Deep, refractive amber; brine, soft, oak, and sherry in the aroma; sweet, smooth, clean sherry in the palate; complex, developing some coconut and seaweed; salt and pepper in the finish. Tightly combined flavours. Very Sophisticated.
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク・ローカル・バーレイ1966年(56.8度、700ml) Springbank Local Barley
 
スプリングバンク蒸溜所が発売したヴィンテージ・モルト。蒸溜所内でボトリングする点は他のスプリングバンクと同じだが、加水せずにカスクストレングスで瓶詰。5樽(約1000本)分のみの限定リリース。
 
1966年2月蒸留、1998年4月瓶詰めの32年物だ。蒸溜所周辺8マイルで産出されたローカル・バーレイを始め、原材料から燃料に至るまで蒸溜所周辺で調達した貴重な酒。バーボン古樽で32年間熟成させた、逸品中の逸品だ。
 
The materials used in the manufacture of the Springbank Malt Whisky in this bottle have almost all come from within a radius of eight miles of Distillery: the barley from Macharioch, Machrimore and Lephenstrath farms,  malted at the Distillery using peat for during from the Aros Moss at the Rhoin and mashed in water from the Crosshill Loch on the flank of Ben Ghuilean above Limecraigs.
 
The coal used for heating the mashing water and the stills was mined from the Argull Colliery at Trodigal near Machrihanish. The outstanding exception to the eight-mile rule are the Bourbon oak casks in which the whisky lay maturing in the Distillery warehouse.
 
The whisky has been bottled at the Distilley at its natural cask strength without any chill-filtering fining or added colorings whish in itself would make the whisky excceptional. The coal mine at Machrihanish has now been closed for many years and there is no prospect of it being respond ensuring that whisky is unrepeatable.
 
Cask No. 1966 493、Bottle No. 95
 
Springbank Distillery、イギリス
 
 
 
スプリングバンク・C.V.(46度、700ml) Springbank CV
 
スプリングバンク・C.V.は、”履歴書(Curriculum vitae)”という意味を持つ蒸溜所オフィシャルボトル。8年から30年熟成までの、スプリングバンクのサンプルをヴァッティングしてスプリングバンクの歴史を取り込むという意図によって生まれた。
 
これは多くの側面を持つ性質を理解するための想像力豊かなイントロダクションであったが、蒸留所自身はスプリングバンクの「決定版」を作り上げてしまったかも知れないことを恐れて個別性に戻ることを決意した。それゆえに、この短命だった実験品はコレクターアイテムになっている。
 
色  :ライム・グリーンからゴールド。
香り :非常に複雑。ココナッツ・クリーム。ココナッツの繊維。穀物。塩。
ボディ:ライト。オイリー。
味  :異常なほどすっきりしている。シャーベットのよう。パッション・フルーツ。塩。
後味 :わくわくする。鉄に似ている。ドライ。気分を爽快にする。食欲をそそる。
 
Springbank Distillery、イギリス
 

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