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トーモア10年

 少し前の話だが、いつも仕入れをしている酒屋さんに配達のお願いをして、陳列棚をふと見ると「!」お~ぉトーモア10年ではないか!現行ボトルは左の青いラベルの12年物。しかし、その前のオフィシャルは「モルトウイスキー大全」にも載っているこの10年物。水彩画をあしらったとても綺麗なラベル。トーモアは当店初の一見のお客様にリクエストされて仕入れたのだが、飲みたいとおっしゃっていたのはこちらの方なのだと思う。よし!これは買わなくちゃ!と思いレジに持ち寄り値段を聞いてみると・・・。「高ぇ~~!」(←貧乏人の僕はこのフレーズが多い(笑)なんと現行ボトルの倍以上のいいお値段・・・。昔に仕入れた時に値段が高かったのでしょうか・・・。諦めムードになった・・・。

 そのまますごすご帰ろうとしたがあの人(当店初の一見のお客様Arze様)の顔が浮かんできた。やっぱり買わなくちゃ!と思い引き返した。さぁ社長との一対一の勝負!値切り交渉タ~イム!(笑)「すんません社長・・これ前のオフィシャルボトルで価値あるええ奴ですよねぇ・・。」豪快な社長「ガハハッ!そらそやで!どないや買わはるか?」したたかな僕「・・・人気あるボトルでめちゃくちゃ欲しいんですけどねぇ・・・こっち(懐具合)の方があかん言うてますねん。」すると社長は値段を見て「う~んちょっと高いかも知れへんなぁ。なんぼやったらええ?」心中ニヤリと僕「この値段から3割ほど引いてもらえたら買えるんですけどねぇ。」社長「いくら何でもそらちょっと厳しいで。」さらに僕「そうですか・・やっぱりお酒は飲まなあきませんよねぇ・・このトーモアの価値がわかって買いはるお客さんがおったらええですねぇ・・」社長「・・・・。」ニヤリと僕「うっとこやったら絶対に人気になるんですけどねぇ・・」社長「・・・考えとくわ。」そして「ほんならもう開店時間近いから行きますわ。」とだけ言い残し店に戻った。

 開店してしばらくして僕が氷を割っていたら’ガチャ’と扉の開く音がした。お客様かな?と思い出迎えるとそこにはトーモア10年を小脇に抱えた社長が居る。開口一番「持って来たでぇ~。この値段でかめへんか?」そして僕「う~ん。なんとか頑張りますわ!」僕の提示した金額よりかは若干高めだったが交渉成立!まぁダメもとで言うた金額やから納得なんですけどね。社長おおきに!いつも無理言うてすんません。

 そして先日Arze様がいらっしゃった!いつものようにジンリッキーから入りバックバーを見渡して「おぉトーモア10年じゃないですか!」ニヤっと「そうです!偶然に発見して仕入れました。」早速オーダーされた。10年を開栓する時に(かなり古かったのでしょう)コルクがちぎれるというアクシデント発生!ソムリエナイフで慎重にコルクを抜いた。そんなアクシデントにもめげる事無く、10年と12年の比較テイスティング開始!二人いつになく真剣な顔で香りや味を確かめる。そして満場一致(二人だけですが(笑)で軍配は10年にもたらされた。

 

#新入荷ボトル

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