荒涼とした大地にも、ところどころ森があります。
森の中は、すでに暗くてライトの光だけが頼りになります。
その時、勢いよく真っ黒い影が道の脇から飛び出てきました!
はじめ、真っ黒い原付?(笑)が道路わきから飛び出てきたと思いました。
「バ、カー~!」(鹿なのに「馬鹿」と言ったことに、あとになって一人で苦笑)
大声で叫び、瞬間ハンドルを切りましたが間に合わず「ボカンッ!!」っと大きな音。
車の右側に黒い物体はぶつかり、あっという間に後方へ。
でも、ぶつかった瞬間に目が合いました。大きな黒い目!鹿!!
急ブレーキで車を止めて、呼吸を整えてから車を降ります。まわりはやっと何か見える程の暗闇。
鹿は、私の70メートルぐらい後方でふら付きながらウロウロし、うずくまりました。
私は、なぜかすぐに近づけません。少し近づいては立ち止まります。
ビビッて少し後ずさりして、立ち尽くしてしまいます。時々鹿が動いています。
相手は手負いの野生動物。
やはり危険だと思い、近づくのをやめます。鹿は、まだ立ち上がりません。
ふと車を見ると、ドラミラーがブラブラしています。コードだけで繋がっています。
暗いのでよくわかりませんが、車の損害はそれだけのようでした。
大丈夫かなぁ。ドラミラーだけで済んだのかな?まずいなぁ。
このまま立ち去ってよいのか?どこかに連絡したほうが良いのか?
日本なら動物病院?スコットランドだと?レンタカー会社?
でもきっと英語が通じない・・・。とほほ。
しばらくして、心残りのまま、その場を後にしました。
さいわいに車は故障はしていないようです。
祈ることは、後続車が来ないうちに、鹿が立ち去ってくれることだけです。
運転して少し落ち着いてきましたが、もし正面からぶつかっていたら・・・。
これが鹿でなくて、人だったら・・・。だんだん怖くなってきます。
スコットランドの空を眺めながら、能天気にハーツ・レンタカーに乗って旅をしていた自分。
蒸留所でウィスキー飲んで、そのまま「幸せだなぁ」と飲酒運転していた自分。
万が一のときに責任を持って対応できたかい?
目的地まであと少し。でもハンドルを握る気持ちが重くなりました。
#オーバン ベンネヴィス