今回は,モルト仲間のとぅーるさんからいただいたプチSBTのブラインドサンプルです。
ありがたく挑戦させていただきました。
プチSBT from とぅーるさん
・香り
穏やかだがじわじわと広がる香り,良いオールド感,まずは滋味深く強い麦感,蜂蜜,紅茶,奥から穏やかだが洋ナシやオレンジやバナナなどの十二分に熟したフルーツ,少しクリーム,淡く土やオールドピート,多彩で陶酔感あり。
・味わい
こなれた軟らかな口当たりからスパイシーに広がる,香りより華やかで多彩なフルーティ,しっかりと古いカルヴァドス,洋梨や桃に加えてパイナップルやリンゴ,シナモン,ミント,それでいて素朴な麦の旨みもある,淡いショウガ,輪郭のくっきりとした味わいでキレあり,甘味は蜂蜜のようでコクもあるが強くはない,少しブリニー,ほど良いオークのタンニンが味を深める,余韻は長く陶酔感がある。
・総評
瓶詰後20年以上は経過したようなオールド感はあるがネガティブな要素は無く,こなれているがボディは保たれたハイプルーフのカスクストレングスと思われ,未だイキイキしている。
まさに飲み頃という感じ。
素朴な麦感があるにもかかわらず多彩なフルーツも感じられ,陶酔感があって素晴らしく美味しい。
特に味わいで感じた華やかで多彩なフルーツ感からは,スペイサイドの古酒も考えられるが,香りはどちらかというと無骨な麦感がベースでハイランドスタイルの様にも思われる。
オールド感があるのにボディがあり,熟成は長くなさそう。グリーンケイデンやこなれたセスタンテなどのイタリアンボトラーにも感じるニュアンスでもあった。
そして,特徴的なカルヴァドスっぽいリンゴのニュアンスやオークの出方からは,60年代後半から70年代前半のブルイックラディのカスク,特にオフィシャルの70前後蒸留を考えた。
実は第一印象がそのブルイックラディ一択で,その印象が最後まで抜けなかった。
他はあまりピンと来なかったのだが,スプリングバンクの短熟カスクストレングスにも感じるニュアンスがあり,第2予想にした。
他の蒸留所のものでもたまに感じるニュアンスでもあったのだが,どうしても出てこなかったのが歯痒かった。
第3予想は数あるセスタンテ短熟ハイプルーフの中からなんとなく印象が近いように思ったベンリネスを選んでみた。
いずれにしてもどこかで飲んだことのあるボトルだと思う。
【Very Good/Excellent】
予想蒸留所:①ブルイックラディ、②スプリングバンク、③ベンリネス
蒸留年:1970年前後で90年前後のボトリング
熟成年数:16~20年
度数:55~58%のハイプルーフ
カスクタイプ:リフィルシェリーもしくはそれ主体のヴァッティング
以上のようなテイスティングと予想で回答メールをお送りしました。
正解は・・・、
グレングラント GLENGRANT 15yo (57%, 100 Proof, Gordon and MacPhail, 75cl)
※手前のボトルです。
GMグラント15年の100プルーフで,1960年台末期~70年代半ばの流通ということでした。
オールドの短熟ハイプルーフというところは評価できていましたが,思っていたよりさらに古いヴィンテージでした。
蒸留所予想はオマケといいつつも,今回はこの独特のカルヴァドスっぽいニュアンスからブルイックラディ予想に結構自信を持っていたので,ちょっと残念でした。
グレングラントは,昔から流通量も多くてオールドも比較的手に入れやすい時代が長かったですが,本当に美味しいものが多いですね。
高貴で妖艶なシェリーのものが素晴しく好みだったりするのですが(ここのところExcellent評価はそういうグラントばっかりです),こういう太さもある王道タイプもとても好きで,太い酒質がベースにあるからシェリーも余計に美味しいんだろうなと思います。
出題者のとぅーるさんも,この辺のグラントがたまらなくお好きなようです。前々から思ってましたが,これに限らず好みが合うことが多いんですね。
さすがに最近は手に入れにくくなってきましたが,それでも同年代の他の有名蒸留所よりは買う機会もありますし,この辺のオールドボトルは今が最後の飲み頃という気もしますので,ぜひじっくりお付き合いしたいと思います。
とぅーるさん,貴重なボトルをありがとうございました。
#グレングラント (GLENGRANT) #SBT