モルト仲間の大島さんと以前から定期的にやっているプチSBTの未掲載分,前回に続いてBです。
(以下はブラインドでテイスティングした内容です。)
・プチSBT 2014/9月 from 大島さん SAMPLE B
香りは若さのある強い麦感,シトラス,バニラ,少しオイル,旨そうなパン,淡くワックス,樽は強くなく複雑さはそれほどない。
飲んでみると意外と滑らかな口当たりでやや粘性を感じる,アプリコット,淡くパイナップル,麦の旨みは濃い,柔らかな蜂蜜の甘味,ややブリニー,うっすらピート,プレーンな樽感。
【Good/Very Good】
香りで感じた若さのわりには飲むと刺激は少なく,加水タイプだろうか。
時間と共にちょっぴりだけトロピカル感が出てきた。
プレーンで飲み飽きしないタイプで,自分の好きな系統のひとつ。
ただ蒸留所予想は難しい。
90年代半ばから後半の蒸留で,プレーンに近い樽で15~20年程度の熟成。46%くらいの加水だろうか。
蒸留所は淡白でも麦の旨味が濃厚に楽しめたあたりから選んでみた。
ただ,オイリーさがそこまで強くなかったり,微妙に感じたトロピカル感やピート感を鑑みると,しっくりくる回答とは言い難い。
・予想
1、プルトニー
2、バルブレア
3、クライヌリッシュ
以上のようなテイスティングと予想で回答メールをお送りしました。
正解は・・・、
グレンモーレンジ 1993-2003 10yo OB マウントエベレスト
グレンモーレンジのオフィシャルボトル,マウントエベレストでした。
1993年蒸留の2003年ボトリングということですが,このボトル,イギリス初の女性エベレスト登頂者となったレベッカ・スティーブンスさんに1993年に贈られた樽ということです。かなりレアなボトルですね。
モーレンジらしい華やかなバーボンカスク感が全開というタイプとは異なり,わりとプレーンな樽感で素朴な味わいだったのが非常に印象的でしたが,ボトリングの経緯を考えるとどんな味わいになるかわからない状態(樽に詰めたてほやほや)で贈られた樽でしょうから,普段モーレンジが仕上がった樽からシングルモルト用として選んでボトリングするものとは異なってしまったのではないかと思います。
そしてこのボトル,以前にモルト仲間で集まった時に大島さんから皆で飲ませていただいたことがあり,その時はプレーンなのに熟成感もない薄っぺらなボトルという評価でした。私もそう思いました。
しかし,それから時間が経って美味しく感じるようになったとのことで今回ブラインドで出題されたそうです。
確かにあの時とはまったく異質なものでした。
評価も前回はBadでしたからね。。。
そして今回は思いがけない発見もありました。
予想に挙げた3蒸留所はすべて北ハイランドのモルトです。
淡白でも麦の旨味が濃厚に楽しめ,無骨なニュアンスのある北ハイランドのモルト達の中でモーレンジだけは華やかで異質なものを作っているという認識でしたが,原酒の段階ではそうではなかったようです。
モーレンジの持つ北ハイランドモルトらしさが,プレーンな樽感のものを飲んではっきりと感じられたようです。
逆に,自分の認識しているモーレンジらしさは樽由来のものなんだと実感する機会になりました。
大島さん,貴重な体験をありがとうございました。
#グレンモーレンジ (GLENMORANGIE) #考えたこと