第3回SBTボトルC、テイスティング時には知りませんでしたが、出題者はadamoさんでした。
ブラドノック BLANDNOCH 1990-2012 21yo Malts of Scotland #MoS12019 54.4%
one of 115 bottles
(完全なブラインドテイスティングで評価しています。)
・香り
麦々としたプレーンな酒質、パン生地と焼きあがったライ麦パンを同時に感じる。パン屋さん。アルコール感も少し強く感じる。他の要素が感じにくいほど強いモルティの奥にリンゴ、蜂蜜、アップルパイのような感じ、時間とともにチーズ・酪酸の香りがどんどん強くなってくる。
・味わい
かなりスパイシー、アルコールと蜂蜜と麦の甘さ、麦感はやはりしっかり。
チーズと酸味、ミディアムボディ、余韻は麦とチーズ。
・総評
パン屋さんの香りと、時間とともにどんどん増してくるチーズのような香りが全体を覆っている。
麦感が前面に出ており、素朴で旨みのあるウイスキー。
個人的には結構好きだが、今回の出題では一番の難問。
主に麦感とチーズしかはっきりとした手がかりを見つけられなかったが、このチーズ感はボトラーズのスプリングバンクやロングロウに感じることが多い。
強いピートはないからスプリングバンクを第一候補に。ヘーゼルバーンやキルケランにこういうカスクストレングスってあっただろうか。
麦感はブレンデッドの味わいを底上げしそうな酒質でもあり、ミルトンダフやグレンバーギー、ダルユーイン、カーデュあたりも候補に挙げて絞っていった。
【Good】
予想蒸留所:①スプリングバンク、②ミルトンダフ、③カーデュ
蒸留年:1990年
熟成年数:20年
度数:56%
点数:82
カスクタイプ:ほぼプレーンに近いリフィルカスク
妥当な価格:8000円
このボトルに対するSBTでの評価、正解発表はこちら
⇒ ボトルC評価 ボトルC正解発表
ボトルCの正解は、ドイツのボトラーMoSのブラドノック1990でした。
蒸留年・熟成期間、度数などに関してはかなり近い予想でしたが、蒸留所に関しては全く候補にも挙がってきませんでした。
ブラドノックというと、自分の中ではもうちょっと淡白で植物的なニュアンスを感じることが多い蒸留所で、こんなに強い麦感や、特徴的な酪酸・チーズのようなニュアンスは感じたことがありませんでした。
こういう酪酸・チーズといわれるようなフレーバーは、使い古した樽で熟成されると出てくることがあるということを、昔スミッソンさんのドリンカーズダイアリーで読んだことがあり、初めてはっきりと認識できたときは「これか!」と感激した記憶があります。
有楽町のマスターによれば、割と貧乏な蒸留所で出てくることが多く、トバモリーとかブナハーブンとかで感じることが多いらしいです。そう言われてみればブラドノックも・・・、余計なお世話ですね。(笑)
自分としては今までボトラーズのスプリングバンク・ロングロウに感じたことが多く、たくさん種類のあるサマローリのロングロウ1987からはかなり高率に拾えることが多いフレーバーでした。オフフレーバーとされることもあるようですが、個人的には結構嫌いじゃなかったりします。
なお、今回のSBT出題ボトルの中では、アードモアと並んでテイスターのコメントに共通点が多かったのが印象的でした。強い麦感、乳酸・酪酸・チーズ、蜂蜜などが中心でしたね。
アードモアは特徴がトロピカルフルーツやピートなど比較的ありがちで捕まえやすいものなのに対し、このボトルは麦とチーズですから、それだけ個性的ではっきりしたフレーバーだということだと思います。
テイスティングスキル向上という意味では、こういう典型的なボトルをしっかり飲み込むことで、同様のフレーバーと次に出会った時には確実に拾えるようになるため、貴重なボトルともいえると思います。
自分も舌と鼻に叩き込もうと、こういう個性が典型的なものばかり集めて飲むのに凝っていた時期がありました。
非常に面白い出題をありがとうございました。
おまけ:
これも昔ドリンカーズダイアリーから得た知識ですが、実際のところ乳酸は無臭らしく、乳酸と一般的に言われている香りは酪酸に近いらしいです。スミッソンさんも途中で酪酸という表現に変えてらっしゃいました。
#ブラドノック (BLADNOCH) #SBT